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ド・ラームコホモロジー

索引 ド・ラームコホモロジー

ド・ラームコホモロジー(de Rham cohomology)とは可微分多様体のひとつの不変量で、多様体上の微分形式を用いて定まるベクトル空間である。多様体の位相不変量である特異コホモロジーとド・ラームコホモロジーは同型になるというド・ラームの定理がある。.

35 関係: 可微分多様体可縮空間外微分外積代数完全微分形式完全系列層 (数学)層係数コホモロジー局所定数関数微分形式微分積分学の基本定理マイヤー・ヴィートリス完全系列ポアンカレの補題メビウスの帯ユークリッド空間ドルボーコホモロジーホモトピーホッジ理論ホッジ構造ベクトル空間アティヤ=シンガーの指数定理カップ積ケーラー多様体コホモロジー環シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアジョン・ワイリー・アンド・サンズストークスの定理特異ホモロジー鎖複体超球面閉微分形式連結空間次数付き環滑らかな関数1の分割

可微分多様体

数学において、可微分多様体(かびぶんたようたい、differentiable manifold)、あるいは微分可能多様体(びぶんかのうたようたい)は、局所的に十分線型空間に似ており微積分ができるような多様体である。任意の多様体は、チャート(座標近傍、局所座標)の集まり、アトラス(座標近傍系、局所座標系)、によって記述することができる。各座標近傍は微積分の通常のルールが適用する線型空間の中にあるから、各々のチャートの中で考えるときには微積分学のアイデアを適用できる。チャートが適切に両立可能であれば(すなわち1つのチャートから別のチャートへの変換が微分可能であれば)、1つのチャートでなされた計算は任意の他の微分可能なチャートにおいても有効である。 フォーマルに言えば、可微分多様体は大域的に定義されたを持つ位相多様体である。任意の位相多様体にはアトラスの同相写像と線型空間上の標準的な微分構造を用いて局所的に微分構造を与えることができる。同相写像によって誘導された局所座標系上の大域的な微分構造を誘導するためには、アトラスのチャートの共通部分上での合成が対応する線型空間上の微分可能な関数でなければならない。言い換えると、チャートの定義域が重なっているところでは、各チャートによって定義された座標はアトラスのすべてのチャートによって定義された座標に関して微分可能であることが要求される。様々なチャートによって定義された座標を互いに結びつける写像を変換関数 (transition map/遷移写像/座標変換) と呼ぶ。 微分可能性は文脈によって連続微分可能、k 回微分可能、滑らか、正則といった異なる意味を持つ。さらに、抽象的な空間にそのような可微分構造を誘導できることによって微分可能性の定義を大域的な座標系なしの空間に拡張することができる。微分構造によって大域的に微分可能な接空間、微分可能な関数、微分可能なテンソル場やベクトル場を定義することができる。可微分多様体は物理においても非常に重要である。特別な種類の可微分多様体は古典力学、一般相対論、ヤン・ミルズ理論といった物理理論の基礎をなす。可微分多様体に対して微積分を展開することが可能である。これによって exterior calculus (外微分法/外微分学)のような数学的機構が導かれる。可微分多様体上の微積分の研究は微分幾何学と呼ばれる。.

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可縮空間

数学において、位相空間 X は次のようなとき可縮 (contractible) である。X 上の恒等写像が、すなわち、ある定値写像にホモトープである。直感的には、可縮空間は連続的に一点に縮められるような空間である。 可縮空間はちょうど点のホモトピー型の空間である。可縮空間のすべてのホモトピー群は自明であることが従う。それゆえ非自明なホモトピー群をもつ任意の空間は可縮ではありえない。同様に、特異ホモロジーはホモトピー不変であるから、可縮空間のはすべて自明である。 位相空間 X に対して以下は全て同値である(ここで Y は任意の位相空間である).

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外微分

可微分多様体上、外微分(がいびぶん、exterior derivative)は関数の微分の概念を高次の微分形式に拡張する。外微分はエリ・カルタンによって最初に現在の形式で記述された。それによってベクトル解析のストークスの定理、ガウスの定理、グリーンの定理の自然な、距離に依存しない一般化ができる。 形式を無限小 次元平行面体を通る流量を測るものと考えれば、その外微分を -平行面体の境界を通る正味の流れを測るものと考えることができる。.

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外積代数

数学におけるベクトルの外積(がいせき、exterior product)あるいは楔積(くさびせき、ウェッジ積、wedge product)はクロス積をある特定の性質に着目して、より高次元の場合へ一般化する代数的な構成である。クロス積やスカラー三重積のようにベクトル同士の外積はユークリッド幾何学において面積や体積およびそれらの高次元における類似物の研究に用いられる。線型代数学において外積は、線型変換の行列式や小行列式を記述する基底の取り方に依存しない抽象代数的な仕方を提供し、階数や線型独立性といった概念に根本的に関係してくる。 外積代数(がいせきだいすう、exterior algebra)は、ヘルマン・グラスマンに因んでグラスマン代数(グラスマンだいすう、Grassmann algebra)としても知られ、与えられた体 上のベクトル空間 上の外積によって生成される多元環である。多重線型代数やその関連分野と同様に、微分形式の成す多元環を通じて現代幾何学、特に微分幾何学と代数幾何学において広く用いられる。 形式的には、外積代数は あるいは で表され、 を線型部分空間として含む、楔積あるいは外積と呼ばれる で表される乗法を持つ、体 上の単位的結合代数である。楔積は結合的で双線型な乗法 であり、本質的な性質として 上の交代性 を持つものである。これは以下の性質 をも特別の場合として含む。 圏論の言葉で言えば、外積代数は普遍構成によって与えられる、ベクトル空間の圏上の函手の典型である。この普遍構成によって、体上のベクトル空間だけに限らず、可換環上の加群やもっとほかの興味ある構造にたいしても外積代数を定義することができる。外積代数は双代数のひとつの例である。つまり、外積代数の(ベクトル空間としての)双対空間にも乗法が定義され、その双対的な乗法が楔積と両立する。この双対代数は特に 上の重線型形式全体の成す多元環で、外積代数とその双対代数との双対性は内積によって与えられる。.

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完全微分形式

微分位相幾何学における微分形式が完全 (exact) である、または完全微分形式(かんぜんびぶんけいしき、exact differential form)、短く完全形式 (exact form) であるとは、別の微分形式でその外微分がもとの微分形式に一致するものが存在するときに言う。すなわち、完全形式は可積分である。短くまとめると、微分形式 が完全とは、微分形式 が存在して ようなものである。シュヴァルツの定理により、-の任意の完全形式は閉微分形式である。ポワンカレの補題はその部分的な逆を保証する。.

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完全系列

ホモロジー代数における完全系列(かんぜんけいれつ、exact sequence)あるいは完全列(かんぜんれつ)とは、環上の加群や群などの系列で各射の像空間が次の射の核空間と正確に合致するという意味で完全であるものをいう。.

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層 (数学)

数学における層(そう、sheaf, faisceau)とは、位相空間上で連続的に変化する様々な数学的構造をとらえるための概念であり、大域的なデータを局所的に取り出すこと、および局所的なデータの貼り合わせ可能性によって定式化される。より形式的に、大域から局所への移行のみを考える概念は前層(ぜんそう、)とよばれる。.

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層係数コホモロジー

数学において、層コホモロジー (sheaf cohomology) は、アーベル群の層に関連する層の理論の一面であり、ホモロジー代数を用いて、層 F の大域切断の具体的な計算を可能とする。数値的な領域での幾何学的な問題の記述として、層コホモロジーの理論は、重要な幾何学的な不変量の次元を計算することへ有用なツールとして使うことができる。 1950年以後の数年間で急速に発展した層コホモロジーは、リーマン・ロッホの定理のより古典的な方法や代数幾何学の(linear system of divisors)の解析や多変数複素函数論やホッジ理論へ結びついた。層コホモロジー群のランク、もしくは次元は、幾何学的なデータの新しい情報源になったり以前の研究の新しい解釈を与えたりする。.

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局所定数関数

数学において、位相空間 A から集合 B への写像 f が局所定数(きょくしょていすう、locally constant)とは、すべての a ∈ A に対して、a のある近傍 U が存在して、f が U 上定数となることである。.

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微分形式

数学における微分形式(びぶんけいしき、differential form)とは、微分可能多様体上に定義される共変テンソル場である。微分形式によって多様体上の局所的な座標の取り方によらない関数の微分が表現され、また多様体の内在的な構造のみによる積分は微分形式に対して定義される。微分多様体上の微分形式は共変テンソルとしての座標変換性によって、あるいは接ベクトル空間上の線型形式の連続的な分布として定式化される。また、代数幾何学・数論幾何学や非可換幾何学などさまざまな幾何学の分野でそれぞれ、この類推として得られる微分形式の概念が定式化されている。.

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微分積分学の基本定理

微分積分学の基本定理(びぶんせきぶんがくのきほんていり、fundamental theorem of calculus)とは、「微分と積分が互いに逆の操作・演算である」 ということを主張する解析学の定理である。微分積分法の基本定理ともいう。ここで「積分」は、リーマン積分のことを指す。 この事実こそ、発見者のニュートンやライプニッツらを微分積分学の創始者たらしめている重要な定理である。 この定理は主に一変数の連続関数など素性の良い関数に対するものである。これを多変数(高次元)の場合に拡張する方法は一つではないが、ベクトル解析におけるストークスの定理はその一例として挙げられるだろう。また、どの程度病的な関数について定理が成り立つのかというのも意味のある疑問であるといえる。 現在では微分積分学の初期に学ぶ基本的な定理であるが、この定理が実際に発見されたのは比較的最近(17世紀)である。この定理が発見されるまでは、微分法(曲線の接線の概念)と積分法(面積・体積などの求積)はなんの関連性も無い全く別の計算だと考えられていた。.

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マイヤー・ヴィートリス完全系列

数学の特に代数的位相幾何学およびホモロジー論におけるマイヤー・ヴィートリス完全系列(マイヤーヴィートリスかんぜんけいれつ、Mayer–Vietoris sequence)は、位相空間が持つホモロジー群やコホモロジー群といった代数的位相不変量を計算するのに便利な道具の一つで、オーストリアの数学者ヴォルター・マイヤーとレオポルト・ヴィートリスによって示された。これは、位相空間を(コ)ホモロジーの計算がより容易にできるような部分空間の小片に分解するとき、得られる部分空間の(コ)ホモロジーの列ともとの空間のそれとの関係を述べたもので、それによりもとの空間のそれらを計算するという方法論を与える。マイヤー・ヴィートリス完全系列と呼ばれる完全系列は、全体空間の(コ)ホモロジー群、部分空間の(コ)ホモロジー群の直和、部分空間の交わりの(コ)ホモロジー群の三者から構成される自然な長完全列である。 マイヤー・ヴィートリス完全系列は、特異ホモロジー・特異コホモロジーを含む様々なホモロジー論およびコホモロジー論において成立する。一般に、アイレンバーグ-スティーンロッド公理系を満足する(コ)ホモロジー理論に対してマイヤー・ビートリスの完全系列が存在しており、それらに対する簡約版と相対版も考えることができる。大部分の位相空間は、その(コ)ホモロジーを定義から直接に計算することができないので、部分的な情報を得るためにマイヤー・ヴィートリス完全系列のような道具を利用する。位相幾何学に現れるような空間の多くは非常に簡単な小片の貼り合わせとして構成されるが、そういったものの中で、空間を被覆する二つの部分空間(およびそれらの交わり)がもとの空間より単純な(コ)ホモロジーを持つものを注意深く選べば、マイヤー・ヴィートリス完全系列によりもとの空間の(コ)ホモロジーが完全に演繹できるというのである。この観点で言えば、マイヤー・ヴィートリス完全系列は、基本群に対するの類似であり、実際一次元ホモロジーに対しては明確な関係がある。.

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ポアンカレの補題

数学において、ポアンカレの補題(ぽあんかれのほだい、Poincaré lemma)とは代数的位相幾何における定理の一つ。ユークリッド空間において、閉形式である微分形式が完全形式となることを主張する。.

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メビウスの帯

メビウスの帯 メビウスの帯(メビウスのおび、Möbius strip, Möbius band)、またはメビウスの輪(メビウスのわ、Möbius loop)は、帯状の長方形の片方の端を180°ひねり、他方の端に貼り合わせた形状の図形(曲面)である。メービウスの帯ともいう。 数学的には向き付け不可能性という特徴を持ち、その形状が化学や工学などに応用されているほか、芸術や文学において題材として取り上げられることもある。.

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ユークリッド空間

数学におけるユークリッド空間(ユークリッドくうかん、Euclidean space)は、エウクレイデス(ユークリッド)が研究したような幾何学(ユークリッド幾何学)の場となる平面や空間、およびその高次元への一般化である。エウクレイデスが研究した平面や空間はそれぞれ、2次元ユークリッド空間、3次元ユークリッド空間に当たり、これらは通常、ユークリッド平面、ユークリッド空間などとも呼ばれる。「ユークリッド的」という修飾辞は、これらの空間が非ユークリッド幾何やアインシュタインの相対性理論に出てくるような曲がった空間ではないことを示唆している。 古典的なギリシャ数学では、ユークリッド平面や(三次元)ユークリッド空間は所定の公準によって定義され、そこからほかの性質が定理として演繹されるものであった。現代数学では、デカルト座標と解析幾何学の考え方にしたがってユークリッド空間を定義するほうが普通である。そうすれば、幾何学の問題に代数学や解析学の道具を持ち込んで調べることができるようになるし、三次元以上のユークリッド空間への一般化も容易になるといった利点が生まれる。 現代的な観点では、ユークリッド空間は各次元に本質的に一つだけ存在すると考えられる。たとえば一次元なら実数直線、二次元ならデカルト平面、より高次の場合は実数の組を座標にもつ実座標空間である。つまり、ユークリッド空間の「点」は実数からなる組であり、二点間の距離は二点間の距離の公式に従うものとして定まる。n-次元ユークリッド空間は、(標準的なモデルを与えるものという意味で)しばしば とかかれるが、(余分な構造を想起させない)ユークリッド空間固有の性質を備えたものということを強調する意味で と書かれることもある。ふつう、ユークリッド空間といえば有限次元であるものをいう。.

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ドルボーコホモロジー

数学、特に代数幾何学および微分幾何学におけるドルボーコホモロジー (Dolbeault cohomology)は複素多様体に対するドラームコホモロジーの類似対応物で、名称はに因む。複素多様体 のドルボーコホモロジー群 は整数の対 をパラメータに持ち、次数 -の複素微分形式の空間の部分商として実現される。.

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ホモトピー

数学におけるホモトピー (homotopy)とは、点や線や面などの幾何学的対象、あるいはそれらの間の連続写像が連続的に移りあうということを定式化した位相幾何学における概念のひとつである。位相幾何学では、2 つの対象 A と X との関係のうち、連続的な変形によって保たれるものを問題とすることが多い。これらの関係はふつう連続写像 A → X を通して定義され、ホモトピーの概念は連続的に変形する連続写像の族によって定式化される。ホモトピー的な種々の不変量は位相幾何学の研究における基本的な道具となる。 考察している幾何学的対象に「穴」が開いていれば、端を固定された曲線はそれを越えて連続的に変形することができない。したがって、ホモトピーによって「穴」の有無や、単純な構成要素に分解したときのそれらの組み合わせ的なつながり具合といった構造を調べることができる。ホモトピーが威力を発揮するのは、空間や写像といった幾何学的な対象に対し群や準同型などという代数的な対象を対応づけることであり、またそのような代数的な対象がしばしばもとの幾何学的な対象よりも単純化されているということにある。 このように、代数的な道具によって空間と写像の位相的性質を調べるという方法をとる幾何学は、代数的位相幾何学と呼ばれる。.

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ホッジ理論

数学におけるホッジ理論(ホッジりろん、Hodge theory )とは可微分多様体 上の微分形式に関する理論である。特に、 上のリーマン計量に付随する(一般化された)ラプラス作用素に関する偏微分方程式論をもちいて得られる 上の実係数コホモロジー群の性質のことをいう。 1930年代にによってド・ラームコホモロジーの拡張として開発され、3つのレベルで大きな応用を持っている。.

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ホッジ構造

数学では、(William Vallance Douglas Hodge)の名前に因んで付けられたホッジ構造(Hodge structure)とは、滑らかでコンパクトなケーラー多様体のコホモロジー群にホッジ理論が与えた代数構造と同様の、線形代数のレベルの代数構造である。混合ホッジ構造(mixed Hodge structure)は、ホッジ構造のすべての複素多様体(たとえ特異点を持ったり、非であったとしても)への一般化で、1970年にピエール・ドリーニュ(Pierre Deligne)により定義され、。ホッジ構造の変形(variations of Hodge structure)とは、多様体によってパラメトライズされたホッジ構造の族であり、最初にフィリップ・グリフィス(P.

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ベクトル空間

数学、特に線型代数学におけるベクトル空間(ベクトルくうかん、vector space)、または、線型空間(せんけいくうかん、linear space)は、ベクトルと呼ばれる元からなる集まりの成す数学的構造である。ベクトルには和が定義され、またスカラーと呼ばれる数による積(「スケール変換」)を行える。スカラーは実数とすることも多いが、複素数や有理数あるいは一般の体の元によるスカラー乗法を持つベクトル空間もある。ベクトルの和とスカラー倍の演算は、「ベクトル空間の公理」と呼ばれる特定の条件(後述)を満足するものでなければならない。ベクトル空間の一つの例は、力のような物理量を表現するのに用いられる幾何ベクトルの全体である(同じ種類の任意の二つの力は、加え合わせて力の合成と呼ばれる第三の力のベクトルを与える。また、力のベクトルを実数倍したものはまた別の力のベクトルを表す)。同じ調子で、ただしより幾何学的な意味において、平面や空間での変位を表すベクトルの全体もやはりベクトル空間を成す。 ベクトル空間は線型代数学における主題であり、ベクトル空間はその次元(大雑把にいえばその空間の独立な方向の数を決めるもの)によって特徴づけられるから、その観点からはよく知られている。ベクトル空間は、さらにノルムや内積などの追加の構造を持つこともあり、そのようなベクトル空間は解析学において主に函数をベクトルとする無限次元の函数空間の形で自然に生じてくる。解析学的な問題では、ベクトルの列が与えられたベクトルに収束するか否かを決定することもできなければならないが、これはベクトル空間に追加の構造を考えることで実現される。そのような空間のほとんどは適当な位相を備えており、それによって近さや連続性といったことを考えることができる。こういた位相線型空間、特にバナッハ空間やヒルベルト空間については、豊かな理論が存在する。 歴史的な視点では、ベクトル空間の概念の萌芽は17世紀の解析幾何学、行列論、連立一次方程式の理論、幾何ベクトルの概念などにまで遡れる。現代的な、より抽象的な取扱いが初めて定式化されるのは、19世紀後半、ペアノによるもので、それはユークリッド空間よりも一般の対象が範疇に含まれるものであったが、理論の大半は(直線や平面あるいはそれらの高次元での対応物といったような)古典的な幾何学的概念を拡張することに割かれていた。 今日では、ベクトル空間は数学のみならず科学や工学においても広く応用される。ベクトル空間は線型方程式系を扱うための適当な線型代数学的概念であり、例えば画像圧縮ルーチンで使われるフーリエ展開のための枠組みを提示したり、あるいは偏微分方程式の解法に用いることのできる環境を提供する。さらには、テンソルのような幾何学的および物理学的な対象を、抽象的に座標に依らない で扱う方法を与えてくれるので、そこからさらに線型化の手法を用いて、多様体の局所的性質を説明することもできるようになる。 ベクトル空間の概念は様々な方法で一般化され、幾何学や抽象代数学のより進んだ概念が導かれる。.

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アティヤ=シンガーの指数定理

アティヤ=シンガーの指数定理(Atiyah–Singer index theorem)とは、スピンc多様体 の上の複素ベクトル束の間の楕円型微分作用素について、解析的指数と呼ばれる量と位相的指数と呼ばれる量とが等しいという定理である。解析的指数は与えられた楕円型微分作用素が定める偏微分方程式の解の次元を表す解析的な量であり、一方で位相的指数は微分作用素の主表象をもとにして多様体のコホモロジーを通じて定義される幾何的な量である。従って指数定理は解析学と幾何学という見かけ上異なった体系の間のつながりを与えているという意味で20世紀の微分幾何学における最も重要な定理ともいわれる。 本稿で述べる形の指数定理はマイケル・アティヤとイサドール・シンガーによって1963年に発表され、1968年に証明 が刊行された。指数定理の特別な場合として、以前から知られていたガウス・ボンネの定理やヒルツェブルフ・リーマン・ロッホの定理(ヒルツェブルフのリーマン・ロッホの定理)などが含まれていると理解できる。さらに、1950年代の終わりに得られていた(グロタンディークのリーマン・ロッホの定理)はこの定理の定式化に大きな影響を与えたとされ、グロタンディークが代数多様体に対して用いたK理論の構成を微分多様体に対して実行することが指数定理の定式化・証明における重要なステップをなしている。またアティヤ-シンガーによる枠組みの一般化として群が作用している場合や、楕円型微分作用素を持つ多様体が、ある多様体によってパラメーター付けされた族として与えられている場合、葉層構造によってパラメーター付けが与えられている場合などに指数定理が一般化されている。 この定理の研究から、アティヤとシンガーは2004年にアーベル賞を受賞した。.

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カップ積

数学、とくに代数トポロジーにおいて、カップ積(cup product)は次数 p, q の2つのから次数 p + q の新しいコサイクルを作る手法である。カップ積はコホモロジーに結合的(かつ分配的)な次数付きの可換な積演算を定義し、空間 X のコホモロジーは次数付き環 H∗(X) となる。これをコホモロジー環と呼ぶ。カップ積は1935年から1938年に、、の研究によって導入され、1944年に Samuel Eilenberg によって完全なる一般性をもって導入された。.

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ケーラー多様体

数学、特に微分幾何学において、ケーラー多様体(Kähler manifold)とは、複素構造、リーマン構造、シンプレクティック構造という3つが互いに整合性を持つ多様体である。ケーラー多様体 X 上には、ケーラーポテンシャルが存在し、X の計量に対応するレヴィ・チヴィタ接続が、標準直線束上の接続を引き起こす。 滑らかな射影代数多様体はケーラー多様体の重要な例である。小平埋め込み定理により、正の直線束を持つケーラー多様体は、常に射影空間の中へ双正則に埋め込むことができる。 ケーラー多様体の名前はドイツ人数学者エーリッヒ・ケーラー (Erich Kähler) にちなんでいる。.

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コホモロジー環

数学では、特に代数トポロジーでは、位相空間 X のコホモロジー環 (cohomology ring) は、X のコホモロジー群から作られる環であり、環の積としてカップ積を持つ。ここに「コホモロジー」とは、通常、特異コホモロジーであるが、しかし、環の構造はド・ラームコホモロジーのような他の理論でも存在する。コホモロジー環は函手的でもあり、空間の連続写像に対しコホモロジー環上の環準同型を得る。この函手は反変的である。 特に、可換環 R(典型的には、R は Zn、Z、Q、R、あるいは C)を係数として持つ X 上のコホモロジー群 Hk(X; R) に対し、カップ積を定義できる。 カップ積は次のコホモロジー群の直和の上の積を与える。 この積によって、群 H•(X; R) は環となる。実際、自然に N-次数付き環であり、非負の整数 k が次数の役割を持つ。カップ積はこの次数付けと整合している。 k(X;R) on X with coefficients in a commutative ring R (typically R is Zn, Z, Q, R, or C) one can define the cup product, which takes the form The cup product gives a multiplication on the direct sum of the cohomology groups This multiplication turns H•(X;R) into a ring.

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シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア

ュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア(Springer Science+Business Media, Springer)は、科学(Science)、技術(Technology、工学など)、医学(Medicine)、すなわちSTM関連の書籍、電子書籍、査読済みジャーナルを出版するグローバル企業である。シュプリンガーはまた、"SpringerLink"(「シュプリンガー・リンク」) 、"SpringerProtocols"(「」) 、"SpringerImages"(「シュプリンガー・イメージ」) 、"SpringerMaterials"(「シュプリンガー・マテリアル」) などいくつかの科学データベース・サービスのホスティングも行っている。 出版物には、参考図書(Reference works、レ(リ)ファレンス・ワークス)、教科書、モノグラフ(Monograph)、(Proceedings)、叢書など多数が含まれる。また、シュプリンガー・リンクには45,000以上のタイトルが自然科学など13の主題・テーマで集められており、それらは電子書籍として利用可能である。シュプリンガーはSTM分野の書籍に関しては世界最大の出版規模を持ち、ジャーナルでは世界第2位である(第1位はエルゼビア)。 多数のインプリントや、20ヶ国に約55の発行所(パブリッシング・ハウス)、5,000人以上の従業員を抱え、毎年約2,000のジャーナル、7,000以上の新書(これにはSTM分野だけではなく、B2B分野のものも含まれる)を発刊している。シュプリンガーはベルリン、ハイデルベルク、ドルトレヒト、ニューヨークに主要オフィスを構える。近年成長著しいアジア市場のために、アジア地域本部を香港に置いており、2005年8月からは北京に代表部を設置している 。 2015年5月、シュプリンガー・サイエンス+ビジネスメディアとマクミラン・サイエンス・アンド・エデュケーションの大半の事業の合併が、欧州連合や米国司法省などの主要な公正競争監視機関により承認された。新会社の名称は「シュプリンガー・ネイチャー(Springer Nature)」。.

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ジョン・ワイリー・アンド・サンズ

ョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons、略称: Wiley、)は、1807年創業の科学、医学、教育などの分野の世界的な学術出版社である。 大学院のための教材、トレーニング教材、百科事典などの印刷、オンライン製品やオンラインサービスのような電子的情報も扱っている。『フォー・ダミーズ』シリーズの出版でも知られている。.

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ストークスの定理

トークスの定理(ストークスのていり、Stokes' theorem)は、ベクトル解析の定理のひとつである。3次元ベクトル場の回転を閉曲線を境界とする曲面上で面積分したものが、元のベクトル場を曲面の境界である閉曲線上で線積分したものと一致することを述べるGeorge B. Arfken and Hans J. Weber (2005), chapter.1。定理の名はイギリスの物理学者ジョージ・ガブリエル・ストークスに因むVictor J. Katz (1979)Victor J. Katz (2008), chapter.16。ベクトル解析におけるグリーン・ガウス・ストークスの定理を、より一般的な向きづけられた多様体上に拡張したものも、同様にストークスの定理と呼ばれる。微分積分学の基本定理の、多様体への拡張であるともいえる。.

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特異ホモロジー

数学の一分野である代数トポロジーにおいて、特異ホモロジー (singular homology) とは位相空間 X ののある種の集合、いわゆるホモロジー群 (homology group) H_n(X) の研究のことである。直感的に言えば、特異ホモロジーは、各次元 n に対して、空間の n 次元の穴を数える。特異ホモロジーはホモロジー論の例である。これは今では理論のかなり大きな集まりに成長している。様々な理論の中で、特異ホモロジーはかなり具体的な構成に基づいているのでおそらく理解するのが容易なものの1つである。 手短に言えば、特異ホモロジーは標準 ''n''-単体から位相空間への写像をとり、それらから特異チェイン (singular chain) と呼ばれる形式和を作ることによって構成される。単体上の境界作用素は特異チェイン複体を誘導する。すると特異ホモロジーはそのチェイン複体のホモロジーである。得られるホモロジー群はすべてのホモトピー同値な空間に対して同じであり、これがそれらの研究の理由である。これらの構成はすべての位相空間に対して適用することができるので、特異ホモロジーは圏論の言葉で表現できる。そこではホモロジー群は位相空間の圏から次数付きアーベル群の圏への関手になる。これらのアイデアは以下でもっと詳細に説明される。.

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鎖複体

数学において、鎖複体あるいはチェイン複体 (chain complex) と双対鎖複体あるいは余鎖複体、コチェイン複体 (cochain complex) は、元来は代数トポロジーの分野で使われていた。(余)鎖複体は、位相空間の様々な次元の(コ)と(コ)バウンダリの間の関係を表す代数的な手段である。より一般的に、ホモロジー代数では、空間との関係を立ち去った抽象的な鎖複体の研究がされる。ホモロジー代数としての研究では、(余)鎖複体を公理的に代数的構造として扱う。 (余)鎖複体の応用は、通常、ホモロジー群(余鎖複体ではコホモロジー群)を定義し適用する。より抽象的な設定では、様々な同値関係(たとえば、のアイデアで始まるもの)が複体へ適用される。鎖複体は、アーベル圏で定義することも容易にできる。.

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超球面

数学において、 次元球面(-じげんきゅうめん、n-sphere, n 球面)は普通の球面の ''n'' 次元空間への一般化である。任意の自然数 n に対して、半径 r の n 次元球面は中心点から距離 r にある (n + 1) 次元ユークリッド空間における点の集合として定義される。ここで半径 r は任意の正の実数でよい。したがって、原点を中心とする n 次元球面は によって定義される。これは (n + 1) 次元ユークリッド空間内に存在する n 次元多様体である。 特に:.

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閉微分形式

微分位相幾何学における微分形式が閉 (closed) である、または閉微分形式(へいびぶんけいしき、closed differential form、短く閉形式 (closed form) とは、その外微分が零となるときに言う。 シュヴァルツの定理により、-函数係数の任意の完全微分形式は閉微分形式である。ポワンカレの補題はこの部分的な逆を保証する。.

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連結空間

位相幾何学や関連する数学の分野において、連結空間(れんけつくうかん、connected space)とは、2つ以上の互いに素な空でない開部分集合の和集合として表すことのできない位相空間のことである。空間の連結性は主要なの1つであり、位相空間の区別をつけることに利用できる。より強い意味での連結性として、弧状連結 (path-connected) という概念があり、これは任意の2点が道によって結べることをいう。 位相空間 X の部分集合が連結であるとは、X の相対位相によってそれ自身を位相空間と見たときに連結であることをいう。 連結でない空間の例は、平面から直線を取り除いたものがある。非連結空間(すなわち連結でない空間)の他の例には、平面からアニュラスを取り除いたものや、2つの交わりを持たない閉円板の和集合がある。ただし、これら3つの例はいずれも、2次元ユークリッド空間から誘導される相対位相を考えている。.

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次数付き環

数学、特に抽象代数学において、次数付き環(じすうつきかん、graded ring; 次数付けられた環)あるいは次数環とは R_i R_j \subset R_ を満たすアーベル群 R_i の直和として表すことのできる環のことである。多項式環の斉次多項式への分解を一般化した概念である。添え字集合は通常非負の整数の集合か整数の集合であるが、任意のモノイドあるいは群でもよい。直和分解は通常次数化(gradation)あるいは次数付け(grading)と呼ばれる。 次数(付き)加群(graded module)は同様に定義される(正確な定義は下を見よ)。これは次数付きベクトル空間の一般化である。次数付き環でもあるような次数付き加群は次数付き代数(graded algebra)と呼ばれる。次数付き環は次数付き Z-代数と見なすこともできる。 結合性は次数付き環の定義において重要でない(実は全く使われない)。したがってこの概念は非結合的多元環に対しても適用できる。例えば、を考えることができる。.

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滑らかな関数

数学において、関数の滑らかさ(なめらかさ、smoothness)は、その関数に対して微分可能性を考えることで測られる。より高い階数の導関数を持つ関数ほど滑らかさの度合いが強いと考えられる。.

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1の分割

数学において、位相空間 X の 1 の分割(いちのぶんかつ、partition of unity)は、X から単位区間 への連続関数の集合 R であって、すべての点 x\in X に対して以下の二条件を満たすものである:.

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