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前主系列星

索引 前主系列星

前主系列星(ぜんしゅけいれつせい、pre-main-sequence star)は、未だ主系列星の段階まで達していない恒星である。おうし座T型星か、オリオン座FU型星(。 主系列星のエネルギー源は水素の燃焼であるのに対して、前主系列星のエネルギー源は重力収縮である。ヘルツシュプルング・ラッセル図では、0.5太陽質量以下の前主系列星は、林トラックに沿ってほぼ垂直に降下し、後にヘニエイトラックに沿って左方に水平に移動することで主系列星に達する。 前主系列星は、スペクトル線で重力と温度の相関関係を測定することによって主系列の矮星から区別することができる。前主系列星は主系列星よりも大きな半径を持つが、密度や表面重力は小さい。 中央の凝集部に周囲の物質が降着し、原始星ができると考えられている。ここで周囲のガスや塵が希薄で降着が止まると前主系列星ができる。前主系列星は、Stellar birthlineを超えた後に可視光で見えるようになる。前主系列星の段階にある期間は、恒星の生涯の1%以下である(これに対して、主系列星である期間は80%以上である)。 この段階にある期間は、全ての恒星が密度の高い原始惑星系円盤を持っていると信じられている。.

16 関係: 原始惑星系円盤原始星おうし座T型星太陽質量主系列星ハービッグAe/Be型星ヘルツシュプルング・ラッセル図ヘニエイトラックオリオン座FU型星ケルビン・ヘルムホルツ機構スペクトル線矮星若い星状天体林トラック恒星水素

原始惑星系円盤

原始惑星系円盤(げんしわくせいけいえんばん、protoplanetary disk)は新しく生まれた恒星(おうし座T型星)の周囲を取り巻く濃いガスが回転している円盤である。英語では proplyd という略称で呼ばれる場合もある。原始惑星系円盤のガス物質は円盤の内側の境界から中心星の表面に向かって落ち込んでいるため、この円盤は一種の降着円盤であると見ることもできる。(この降着過程は円盤内部で物質が集積して惑星が作られる過程とは別である。) おうし座T型星を取り巻く原始惑星系円盤は、近接連星系の周囲に存在する円盤とは大きさや温度の点で異なっている。原始惑星系円盤の半径は約1,000天文単位までで、連星系の円盤に比べて低温である。その温度は円盤の最も内側でようやく1,000Kを越える程度である。原始惑星系円盤には多くの場合ジェットが付随している。 典型的な原始星は水素分子を主成分とする分子雲から生まれる。分子雲の一部で大きさ・質量・密度などがある上限値に達すると、その雲の塊は自己重力によって収縮を始める。このような収縮しつつあるガス雲は原始太陽系星雲 (solar nebula) と呼ばれ、収縮によって密度が次第に高くなる。この収縮過程でガス雲が元々持っていたガスの乱雑運動は均される一方で、ガス雲の全角運動量は角運動量保存則によって不変なため、原始太陽系星雲が収縮して小さくなるにつれて星雲全体がある回転軸の周りに自転するようになる。この自転によって(生地を回転させることで平たいピザができるのと同様に)ガス雲は扁平になり、円盤状の形状を持つようになる。この最初の収縮過程は約10万年続く。この収縮が終わる頃には中心星の表面温度は同じ質量を持つ主系列星と同程度にまで上昇し、光を放射して外部から見えるようになる。この段階に達した星はおうし座T型星と呼ばれる。その後、円盤から中心星へのガスの降着が約1,000万年続いた後、円盤は外部から見えなくなる。円盤が観測されなくなる原因は、中心星の恒星風によって吹き飛ばされるか、あるいは単に質量降着が終わって円盤が光を放射しなくなるためだと考えられている。これまでに発見されている原始惑星系円盤で最も年齢が古いものは約2,500万年である。 太陽系の形成を説明する星雲説では原始惑星系円盤がどのようにして惑星系へと進化するかを次のように説明している。原始惑星系円盤の内部では、塵や氷の微粒子が静電気力や重力相互作用によって集積し、微惑星が作られる。この集積過程は、円盤のガスを系の外に四散させようとする中心のおうし座T型星からの恒星風や、円盤の物質を中心星に落とし込もうとする降着過程との競争となる。 我々の銀河系の中では、いくつかの若い星の周囲で原始惑星系円盤が観測されている。このような原始惑星系円盤は1984年にがか座β星で最初に発見された。最近のハッブル宇宙望遠鏡による観測で、オリオン大星雲の中に多くの原始惑星系円盤が見つかっている。 また太陽に近い明るい恒星の中でも、こと座のベガやかんむり座α星、みなみのうお座のフォーマルハウトなどでガスや塵からなる大きな円盤が恒星を取り巻いているのが発見され、当初は原始惑星系円盤ではないかと考えられた。これらのうち、ベガとフォーマルハウトはカストル運動星群 (Castor co-moving group) と呼ばれるほぼ同じ空間運動をしている恒星で、かつては同じ星間雲から生まれたと考えられている。最近のヒッパルコス衛星による観測で、この運動星群の年齢は約2±1億年と見積もられている。このことから、ベガとフォーマルハウトに見られる赤外線放射の超過は原始惑星系円盤というよりは、微惑星同士の衝突の過程で弾き飛ばされた小天体からなる円盤という解釈が妥当であると現在では考えられている。この説はハッブル宇宙望遠鏡によるフォーマルハウトの円盤の観測によっても裏付けられている。.

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原始星

原始星(げんしせい)(protostar)とは、誕生初期の恒星のことで、暗黒星雲の一部が自己の重力で収縮しはじめ、可視光でも観測できるおうし座T型星になる前の状態までを指す。 暗黒星雲が近くの超新星爆発などによる衝撃波を受けると、それによって物質の濃淡ができる。濃くなった部分は重力が強くなるので、周囲の物質を引きつけさらに物質の濃度が濃くなる。するとさらに重力が強くなり、加速度的に濃度が濃くなっていく。このようにして原始星が誕生する。 原始星には周囲からさらに物質が集積してくるので、降着円盤が形成され、原始星に取り込まれきれなかった物質は、円盤に垂直な方向へ宇宙ジェットとして放出される。この宇宙ジェットが周囲の星雲の物質と衝突して輝いているのがハービッグ・ハロー天体である。 原始星には周囲の物質が超音速で落下していき衝撃波面が形成されている。その面で落下物質の運動エネルギーが一気に熱に変わっている。そのため、原始星は主系列星よりも非常に明るく輝いている。この時は原始星はまだ周囲を暗黒星雲に覆われているため、星雲の外からは可視光では観測できず赤外線だけが観測される。この状態は、それを理論的に導出した日本の宇宙物理学者・林忠四郎にちなんで林フェイズと呼ばれる。 原始星は自己の重力でゆっくりと収縮していき、その際の重力エネルギーの解放で徐々に中心核の温度を上げていく。また、恒星風により周囲の暗黒星雲を吹き飛ばす。こうして可視光でも観測可能になった星がおうし座T型星である。さらに中心核の温度が上昇し、水素の核融合反応が開始されると主系列星となる。 原始星フレアの温度はおよそ1億度で、エネルギーは太陽フレアの約1万倍にもなる。.

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おうし座T型星

おうし座T型星を取り囲む降着円盤の想像図 おうし座T型星(おうしざテ(ィ)ーがたせい、T Tauri star, TTS)は、爆発型変光星の一種である。.

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太陽質量

太陽質量(たいようしつりょう、Solar mass)は、天文学で用いられる質量の単位であり、また我々の太陽系の太陽の質量を示す天文定数である。 単位としての太陽質量は、惑星など太陽系の天体の運動を記述する天体暦で用いられる天文単位系における質量の単位である。 また恒星、銀河などの天体の質量を表す単位としても用いられている。.

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主系列星

主系列星(しゅけいれつせい、main sequence star)とは、ヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)上で、左上(明るく高温)から図の右下(暗く低温)に延びる線である主系列 (Main Sequence) に位置する恒星をいう。矮星ともいう。.

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ハービッグAe/Be型星

ハービッグAe/Be型星(はーびっぐ・えいいー・びいいーがたせい、英:Herbig Ae/Be stars)は年齢1000万年未満の若い前主系列星である。スペクトル型はA型かB型であり、まだガスと塵のエンベロープに埋もれて星周円盤に取り巻かれている。スペクトル中に水素とカルシウムの輝線がみられる。太陽質量の2-8倍の天体で、星形成(自己重力による収縮)の過程にあり、主系列に至る前段階(つまり中心で水素の核連鎖反応が始まる前)にある。HR図上ではこの天体は主系列の右側に位置する。1960年に初めてこの種の天体を特定したアメリカの天文学者ジョージ・ハービッグにちなんでこの名がつけられた。ハービッグによる当初の分類基準は次のとおりである。.

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ヘルツシュプルング・ラッセル図

ヘルツシュプルング・ラッセル図 ヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図、HRD、Hertzsprung-Russell Diagram)とは、縦軸に絶対等級もしくは光度、横軸にスペクトル型(表面温度)や有効温度をとった恒星の分布図のことである。デンマークの天文学者アイナー・ヘルツシュプルング(Ejnar Hertzsprung)とアメリカの天文学者ヘンリー・ノリス・ラッセル(Henry Norris Russell)により独立に提案された。 この図は、恒星の場所を表すものではないが、恒星進化論を理解するために重要な物である。.

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ヘニエイトラック

ヘニエイトラック( Henyey track )は、0.5太陽質量を超える原始星がHR図上で林トラックの後にたどる成長過程である。1950年代に天文学者のLouis G. Henyeyらは、原始星が主系列に属する前の一時期、 輻射均衡を続けることを指摘した。原始星はヘニエイトラック上で静水圧均衡に近い状態のままゆっくり収縮するのが特徴である。HR図上ではほぼ水平に移動しながら(つまり光度はほぼ一定のまま)主系列に至る。.

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オリオン座FU型星

原始星オリオン座V1647星とそのX線放出に関する短い解説動画 オリオン座FU型星(おりおんざえふゆーがたせい、FU Orionis starまたはFUor)は、等級とスペクトル型が大きく変化する前主系列星である。1例ははくちょう座V1057星で、6等級も明るくなり、スペクトル型はdKeからFの超巨星になる。プロトタイプ星のオリオン座FU星から名付けられた。 現在のモデルでは、オリオン座FU型星の閃光を、若く低質量のおうし座T型星の降着円盤からの突然の質量転移と結びつけている。これらの天体の質量降着の速度は、年当たり約10-4太陽質量と推定されている。光度の上昇に要する期間は通常1年以内であるが、もっと長い場合もある。この高降着高光度の段階の寿命は、数十年の単位である。しかし、このように比較的短い期間にもかかわらず、オリオン座FU型星は未だ観測され続けている。太陽近傍でのオリオン座FU型星の数を星形成の速度と比べると、若い恒星は平均して生涯の間に10回から20回程度は爆発的に明るくなっていると推定される。 この種類の恒星のプロトタイプ星はオリオン座FU星、はくちょう座V1057星、はくちょう座V1515星であり、最近では2004年1月に爆発的に明るくなったオリオン座V1647星がある。.

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ケルビン・ヘルムホルツ機構

ルビン・ヘルムホルツ機構(ケルビン・ヘルムホルツきこう、Kelvin-Helmholtz mechanism)は、恒星や惑星の表面の温度が下がった時に生じる天文学的過程である。冷えることによって圧力が低下し、結果として恒星や惑星は縮む。しかし今度は、この収縮によって、恒星や惑星の核の温度は上昇する。木星、土星及び中心部の温度が核融合を起こすほど高くない褐色矮星では、この機構が存在する証拠が得られている。木星は、この機構によって、太陽から受けるよりも多くのエネルギーを放射していると推定されるが、土星はそうではないと考えられている。 この機構は、19世紀末にケルビン卿として知られるウィリアム・トムソンとヘルマン・フォン・ヘルムホルツによって、太陽のエネルギー源を説明するために提案された。19世紀中頃、エネルギー保存の法則が受け入れられ、この法則の帰結の1つとして、太陽が輝き続けるためには、何らかのエネルギー源が必要という問題が持ち上がった。核反応が未知であったため、太陽エネルギーの源の主要候補は、重力収縮であると考えられた。 しかし、すぐにアーサー・エディントンらにより、地質学的や生物学的な証拠により地球の年齢が数十億歳であるのに対して、この機構によって得られるエネルギー量では、太陽は数百万年しか輝けないことが明らかとされた。太陽エネルギーの真の源については、1930年代にハンス・ベーテが核融合によるものであることを明らかにするまでは、不明なままであった。.

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スペクトル線

ペクトル線(Spectral line)とは、他の領域では一様で連続な光スペクトル上に現れる暗線または輝線である。狭い周波数領域における光子数が、隣接周波数帯に比べ少ない、あるいは多いために生じる。.

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矮星

星(わいせい)(dwarf star)は、光度階級が、Vの恒星。主系列星ともいう。あるいは恒星に準じる天体で、大きさが特に小さいものをさす。;主系列星.

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若い星状天体

Young stellar object (YSO) は、恒星の進化における初期段階を包括する概念である。 比較的新しく造語されたもので、『学術用語集・天文学編』の増訂版(1994年)にも未収録であり定訳がない。香川大学の松村雅文(教育学部 理科領域)は若い星状天体 (わかいせいじょうてんたい)という訳語を与えている。 YSO は、その成長段階から時間軸により原始星と前主系列星の2種類に分類することができる。また、その質量から、大質量YSO (MYSO)、中小質量YSO、褐色矮星と3種類に分類することもできる。 YSOは、通常その spectral energy distribution (SED)の勾配によってランク分けされる。1984年に C. J. Lada と B. A. Wilking がこの分類を導入した際、スペクトル指数 \alpha \, の間隔の数値に基づく3つの段階(第I - 第III)を提唱した。 \alpha.

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林トラック

林トラック(はやしとらっく、Hayashi track)とは、ほぼ静水圧平衡に達した星間ガス雲の塊が原始星として進化する過程でヘルツシュプルング・ラッセル図上を移動する軌跡である。日本の林忠四郎によって初めてその存在が理論的に提唱された。 林は1961年に、恒星の有効温度には最小値が存在することを示した。この最小値よりも低温の星では静水圧平衡が維持できないため、星は力学的に安定に存在することができない。この境界は温度で約4,000K付近に相当し、HR図上では右側の境界線として表れる。原始星となるガス雲の温度がこの温度より低い場合にはガス雲は収縮し、この境界温度に達するまで温度が上昇する。この境界温度に達した原始星はケルビン-ヘルムホルツ収縮の時間尺度で収縮を続けるが、有効温度はほとんど上昇せず、HR図上をほぼ垂直下向きに(光度が暗くなる方向に)移動する。この移動経路を林トラックと呼び、HR図で林トラックより右(低温)側の領域を林の禁止領域、また原始星が林トラック上にある時代を林フェイズと呼ぶ。 林トラックにある原始星の内部のエネルギー輸送は完全に対流優勢となっている。これは、原始星は温度が低くガスの不透明度が大きいため、輻射によるエネルギー輸送が効果的に働かず、その結果として星内部での温度勾配が大きくなるためである。質量が0.5太陽質量以下の星は前主系列段階のほぼ全ての時代を林トラック上で過ごし、林トラックの下端で主系列に乗る。質量が0.5太陽質量より大きい星は林トラックの末端まで進んだところで内部温度が十分高くなり、中心部の不透明度が下がって対流輸送よりも輻射輸送の方が効果的にエネルギーを外部へ輸送するようになる。このため、ヘニエイトラックという別の進化経路に移り、HR図上をほぼ水平に左(高温側)に向かって進化して主系列に至る。従って、ある質量を持つ原始星が林トラック上で最も光度が暗くなる点は、その質量の星の内部が完全に対流優勢の状態でいられる最小光度の点となる。 林トラックの上にある原始星の内部は完全に対流的となっていることから、主系列に達したばかりの恒星の内部はほぼ一様な化学組成を持っていると考えてよい。.

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恒星

恒星 恒星(こうせい)は、自ら光を発し、その質量がもたらす重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ガス体の天体の総称である。人類が住む地球から一番近い恒星は、太陽系唯一の恒星である太陽である。.

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水素

水素(すいそ、hydrogenium、hydrogène、hydrogen)は、原子番号 1 、原子量 1.00794の非金属元素である。元素記号は H。ただし、一般的には「水素」と言っても、水素の単体である水素分子(水素ガス) H を指していることが多い。 質量数が2(原子核が陽子1つと中性子1つ)の重水素(H)、質量数が3(原子核が陽子1つと中性子2つ)の三重水素(H)と区別して、質量数が1(原子核が陽子1つのみ)の普通の水素(H)を軽水素とも呼ぶ。.

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