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ノルム保存型擬ポテンシャル

索引 ノルム保存型擬ポテンシャル

ノルム保存型擬ポテンシャル(ノルムほぞんがたぎポテンシャル、norm-conserving pseudopotential)は、1979年Hamann等によって考案された第一原理擬ポテンシャル(経験に依らないで作られた擬ポテンシャル)。1982年にBachelet等によって、水素からプルトニウムまでの擬ポテンシャル作成のためのパラメーターの表を掲載した論文が出現してから、一般的に使用されるようになった。ノルム保存擬ポテンシャル(ノルムほぞんぎポテンシャル)とも言う。 ノルム保存型擬ポテンシャル+平面波基底による電子状態計算手法が、原子間に働く力を求める上で都合が良かった(力の表式が比較的簡単なことや、Pulay補正の問題を回避し易いことなど)ため、1985年にカー・パリネロ法が出現した当初は、同手法を用いる上でほぼ例外なくこのノルム保存型擬ポテンシャルが利用され、更に多くの研究場面で使用されることとなった。 1990年にRappe等により最適化されたノルム保存型擬ポテンシャルが考案された。この最適化されたノルム保存型擬ポテンシャルを用いると、より少ない平面波基底の数で、精度の良い電子状態の計算が可能となる。 ノルム保存型擬ポテンシャルの特徴は、切断半径内の電子の擬波動関数のノルムが、真の波動関数のノルムと一致するという条件の下に作られる(名前の由来)。これにより、切断半径内にある価電子が作る静電的ポテンシャルを正しく与えることができ、また原子の擬波動関数の対数微分と真の波動関数の対数微分の値及びそのエネルギー依存性がエネルギーの一次まで一致する。その結果、孤立した原子について作られた擬ポテンシャルを分子や固体に精度良く適用することが可能となる(高いトランスフェラビリティー)。.

21 関係: 原子平面波ノルムトランスフェラビリティープルトニウムウルトラソフト擬ポテンシャルカー・パリネロ法第一原理第一原理バンド計算部分内殻補正電子Kleinman-Bylander近似Pulay補正水素波動関数擬ポテンシャル擬波動関数1979年1982年1985年1990年

原子

原子(げんし、άτομο、atom)という言葉には以下の3つの異なった意味がある。.

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平面波

平面波(へいめんは、Plane wave)とは、等位相面が波数ベクトルを法線ベクトルとする等値平面から成る周期関数のことである。.

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ノルム

解析学において、ノルム (norm, Norm) は、平面あるいは空間における幾何学的ベクトルの "長さ" の概念の一般化であり、ベクトル空間に対して「距離」を与えるための数学の道具である。ノルムの定義されたベクトル空間を線型ノルム空間または単にノルム空間という。.

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トランスフェラビリティー

トランスフェラビリティー(Transferability、移植性)は、原子の価電子部分から作られた擬ポテンシャルが実際のバンド計算に使用されるに際して、周りの環境の変化(周りの原子の配位の数、方向の変化や、周りに異なる種類の元素が存在する場合〔例:化合物〕など)にどのくらい精度を保ったまま対応できるのかを表す尺度と言える。トランスフェラビリティーの高い擬ポテンシャルは、信頼性及び汎用性の高い良いポテンシャルと言える。 Category:バンド計算.

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プルトニウム

プルトニウム(英Plutonium)は、原子番号94の元素である。元素記号は Pu。アクチノイド元素の一つ。.

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ウルトラソフト擬ポテンシャル

ウルトラソフト擬ポテンシャル(ウルトラソフトぎポテンシャル、ultrasoft pseudopotential)は、1990年Vanderbiltが考案した第一原理擬ポテンシャルである。これまであったノルム保存型擬ポテンシャルでは、ノルム保存という条件が足枷となって、これ以上平面波基底の数を減らすことが困難となっていた。 ウルトラソフト擬ポテンシャルでは、このノルム保存の条件を課さないことにより、より少ない平面波基底で電子状態の計算が可能となる。ノルム保存を緩和した代償として、固有値問題ではなく、より複雑な一般化固有値問題を解く必要がある。しかし、平面波基底の数を削減できることの方が効果が大きく、より高速な計算が可能になる。.

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カー・パリネロ法

ー・パリネロ法(カーパリネロほう、Car-Parrinello method、CP法)は、1985年、カー(R. Car)とパリネロ(M. Parrinello)によって考案されたバンド計算の手法である。従来用いられていた行列要素の対角化を行わずに固有値(及び固有ベクトル)を求めることにより、計算を大幅に高速化した。これにより、系の電子状態と共に、その構造の最適化(この部分は古典的分子動力学法を用いる)も可能とした。.

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第一原理

一原理(だいいちげんり、英語:first principles)とは、他のものから推論することができない命題である。.

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第一原理バンド計算

一原理バンド計算(だいいちげんりバンドけいさん)は、実験結果に依らないで(第一原理)計算が遂行されるバンド計算である。第一原理電子構造計算、第一原理電子状態計算、あるいは単にバンド計算とも言う。 第一原理バンド計算手法には、様々なものがある。主に、擬ポテンシャル+平面波基底によるものと、全電子による電子状態計算手法とがある。全電子手法には、LMTO法、APW法、線形化 APW 法(LAPW法)、KKR法とそのフルポテンシャル版などがある。.

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部分内殻補正

部分内殻補正(ぶぶんないかくほせい、Nonlinear core correctionまたは、Partial core correction):擬ポテンシャルでは通常価電子のみを考慮し、原子の内殻電子からの寄与を考慮しない。電子間の相互作用である交換・相関項の部分は電荷密度に対して非線形な形になっているため問題を生じる場合がある。系全体の電荷密度ρが内殻電子による部分ρcと価電子による部分ρvとの和、 と表されるとして、電荷密度の関数として表現される交換相関エネルギーExcは非線形なため、 と、単純に分離することができない。擬ポテンシャルを使用するバンド計算では、そのままでは上式最右辺の第二項、Exc(ρv)がそのまま用いられる。部分内殻補正は部分的な内殻電子からの寄与を考慮することによって、この問題を補正するものである。 第一原理バンド計算では、局所密度近似(LDA)を用いた場合、平衡格子定数が実験値より1,2%ほど過小に評価される。特に擬ポテンシャルを使ったバンド計算では、アルカリ金属や遷移金属で、この過小評価が大きくなる場合がある。部分内殻補正を導入することにより、アルカリ金属や遷移金属での平衡格子定数の過小評価の問題が改善される。また擬ポテンシャルを使用したバンド計算で、Fe、Co、Niにおける磁気モーメントの値の実験値からのずれを改善する。.

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電子

電子(でんし、)とは、宇宙を構成するレプトンに分類される素粒子である。素粒子標準模型では、第一世代の荷電レプトンに位置付けられる。電子は電荷−1、スピンのフェルミ粒子である。記号は e で表される。また、ワインバーグ=サラム理論において弱アイソスピンは−、弱超電荷は−である。.

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Kleinman-Bylander近似

Kleinman-Bylander近似(クレインマン・バイランダーきんじ)は、擬ポテンシャルの非局所部分の計算量をNの2乗のオーダーからNのオーダーまで減らす近似。ここでNは、平面波基底の数(通常、N2のオーダーでの計算量は扱う系が大きくなれば膨大なものになる)。Kleinman-Bylanderの分離形とも言う。 擬ポテンシャルVPS(r)は、局所部分と非局所部分とからなる。 ここで、 l \, は軌道角運動量、 V_ (r) が局所部分、 V_^l (r) が非局所部分である。rは動径方向の座標。この非局所部分を次のように分離するのが、Kleinman-Bylander近似である。 φlPSは擬波動関数と言い、擬ポテンシャルを解くことによって得られる(擬似的な)波動関数である。上記の分離された形を使うことによって、逆格子空間で考えた非局所部分の和は、逆格子ベクトルGの数(平面波基底の数に相当)についてGとG'の二重の和が必要であったものが、Gのみの一重の和のみでよくなる。 この近似を用いた場合の問題点は、バンド計算においてゴーストバンドが生じる危険があることである。2004年現在、これを完全かつ確実に排除する確たる指導原理はない。.

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Pulay補正

Pulay 補正(Pulay correction)はバンド計算における波動関数の補正で、以下の3つがある。.

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水素

水素(すいそ、hydrogenium、hydrogène、hydrogen)は、原子番号 1 、原子量 1.00794の非金属元素である。元素記号は H。ただし、一般的には「水素」と言っても、水素の単体である水素分子(水素ガス) H を指していることが多い。 質量数が2(原子核が陽子1つと中性子1つ)の重水素(H)、質量数が3(原子核が陽子1つと中性子2つ)の三重水素(H)と区別して、質量数が1(原子核が陽子1つのみ)の普通の水素(H)を軽水素とも呼ぶ。.

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波動関数

波動関数(はどうかんすう、wave function)は、もともとは波動現象一般を表す関数のことだが、現在では量子状態(より正確には純粋状態)を表す複素数値関数のことを指すことがほとんどである。.

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擬ポテンシャル

擬ポテンシャル(ぎポテンシャル、pseudopotential)は、第一原理計算において原子核近傍の内核電子を直接取り扱わず、これを価電子に対する単なるポテンシャル関数に置き換える手法である。これは原子間結合距離など、多くの物性において、内核電子の直接の影響が小さいことを利用したものである。平面波基底を用いて第一原理計算を行う場合、計算コストの問題から、何らかの擬ポテンシャルを使う場合がほとんどである。 こうした擬ポテンシャルは、内核電子が与える静電相互作用や交換相関相互作用とは全く無関係に、原子核から或る半径よりも外側では、波動関数が全電子計算の結果と一致することだけを指針に作成される。そのため平均場近似といった物理的な近似や洞察を含むものではなく、あくまでも計算のための便宜的な手法といえる。価電子帯の波動関数は、原子核近傍で同径方向に節(ノード)を持つが、擬ポテンシャルを作製する際には、こうした節を取り除き、滑らかな波動関数となるように問題をすり替える。このため、擬ポテンシャル法により得られる波動関数(密度汎関数法に用いる場合はKohn-Sham軌道)は擬波動関数と呼ばれることもある。こうした操作が、カットオフエネルギーの大幅な削減へと繋がる。.

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擬波動関数

擬波動関数(ぎはどうかんすう、Pseudo wave function, Pseudowave function)は、内核電子の影響を擬ポテンシャルとして表現し、そのもとで価電子の波動関数を解いたものである。通常は密度汎関数法の枠内で、Kohn-Sham軌道を作製したものを指す。擬ポテンシャルは、孤立原子の計算によって作製し、これを固体や分子にも適用する場合が多い。ノルム保存型擬ポテンシャルでは、その作成条件(例:ノードレス(節がないこと)など)に基づいて作られる。 通常の擬波動関数は、内核近傍での節(ノード)などをまったく表現しないため、超微細構造や光学応答といった物理量の計算には適さない。ただし、PAW法のように、こうした問題への適用も念頭においた定式化も存在する。.

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1979年

記載なし。

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1982年

この項目では、国際的な視点に基づいた1982年について記載する。.

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1985年

この項目では、国際的な視点に基づいた1985年について記載する。.

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1990年

この項目では、国際的な視点に基づいた1990年について記載する。.

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