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朝鮮産米増殖計画

索引 朝鮮産米増殖計画

朝鮮産米増殖計画(ちょうせんさんまいぞうしょくけいかく)は、1920年代に当時日本領であった朝鮮半島で行われた朝鮮総督府主導の土地・農事改良事業。 明治以後、日本は急激な人口増加と生活向上に伴って米の需要が高まったが、当時の日本国内の生産力はその需要に対応しきれず、20世紀に入った頃には日本は恒常的な米の輸入国になっていった。当時の日本では工業生産性を維持するために賃金の抑制を図る必要があったが、そのためには賃金の動向に大きな影響を与える主食である米の価格(米価)を抑制していくことが重要であった。米価の抑制のためには大量の米を日本本土に輸入する必要があったが、安定的な輸入は困難で、日本の国際収支の悪化要因にもなっていた。第一次世界大戦中にはその問題は深刻化して、1918年の米騒動へと発展した。一方、朝鮮半島では三・一運動以来の独立運動を鎮静化のために生活水準の向上が課題となり、そのためにも資金難で進まなかった農業生産向上のための土地・農事改良事業が必要とされた。更に朝鮮総督府及び朝鮮銀行が朝鮮銀行券の安定化のために、朝鮮銀行が準備できる正貨であると同時に朝鮮銀行券と唯一交換できる“外貨”でもあった日本銀行券を日本本土との交易によって獲得する必要に迫られていた。 1920年、朝鮮総督府は30年計画で耕種改善と80万町歩相当の土地改良を行うことを目標とし、まず最初の15年で2億4千万円の経費を投じて43万町歩分の土地改良を行おうとした。これによって900万石分の米の増産が図られ、うち700万石分を日本本土へ移出することで日本国内の米価が下がり、代金としての日本銀行券が朝鮮銀行に入り、更に半島住民の生活も向上して独立運動が沈静化するという目論見であった。 だが、戦後恐慌の影響もあって最初の数年で計画通りの実施が困難となり、実際に行われた土地改良は9万町歩に過ぎなかった。1926年に「産米増殖更新計画」として改訂して再出発した。改訂計画は今後12年間で残りの目標を実現しようとするもので、その計画には日本政府も協力して斡旋資金2億4千万円を拠出し、更に朝鮮土地改良株式会社・東洋拓殖株式会社土地改良部を新設して事業の実施を促進しようとした。だが、世界恐慌の影響による資金不足で事業遂行が困難となり、更に朝鮮米の大量移入は日本本土の農村恐慌を悪化させるとした世論の批判も登場するようになった。このため、1934年に事実上の計画打ち切りとなった。 この間、土地改良や水利改善によって生産性の向上はあったものの、その反面大地主への土地集積や融資の返済に苦しむ中小農民の苦悩の深刻化、更には日本本土への米の移出増大を達成するため(および不況下での現金収入のため)に却って朝鮮半島における1人あたりの米消費量が減少する(その多くは半島住民の米獲得が困難になったことによる)など、朝鮮総督府の目論見には程遠いものであった。.

21 関係: 外貨世界恐慌三・一運動第一次世界大戦米価東洋拓殖朝鮮半島朝鮮総督府朝鮮銀行本位貨幣明治日本日本銀行券1918年1918年米騒動1920年1920年代1926年1934年20世紀

外貨

外貨(がいか)とは、自国以外の、外国のお金(貨幣、通貨)。 世界各国で発行される通貨にはそれぞれ信用があり、その国の中でしか流通しない通貨と、国際的に信用があり国際的な取引で使用される国際通貨(ハードカレンシー)がある。 一般に、特に外貨と呼ばれるのは自国通貨とは別に国際取引に用立てる必要がある国際通貨のことである。自国通貨建てで国際取引が可能な国は多くなく、国際通貨を持っていないと国際間取引ができなくなる。そのため外貨(国際通貨)の保有残高を表す外貨準備高がその国の財務的な信用性を担保する指標の一つとなっている。この用途の外貨を特に準備通貨とも呼ぶ。 日本では、日本円以外のお金(米ドル、ユーロ、UKポンドなど)を指す。特に国際決済通貨に多く使われる米ドルを外貨と呼ぶことが多い。.

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世界恐慌

世界恐慌(せかいきょうこう)とは、世界的規模で起きる経済恐慌(world economic crisis/panic)である。ある国の恐慌が次々と他国へと波及し、世界的規模で広がる事象を世界恐慌という。 世界初の例は、クリミア戦争が終結した時に穀物価格が急落したことにより1857年に起こった1857年恐慌である。 戦間期に重要な位置を占めるものとして、通史的には1929年に始まった世界大恐慌をさす。大恐慌とも。この記事は通史でいう世界恐慌を述べている。.

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三・一運動

三・一運動(さんいちうんどう)は、1919年3月1日に日本統治時代の朝鮮で起こった日本からの朝鮮独立運動。独立万歳運動や万歳事件とも(日本では三・一事件、三・一独立運動という名称もある)。韓国では3月1日を三一節として祝日に指定している。.

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第一次世界大戦

一次世界大戦(だいいちじせかいたいせん、World War I、略称WWI)は、1914年7月28日から1918年11月11日にかけて戦われた世界大戦である。.

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米(こめ、rice)は、稲の果実である籾から外皮を取り去った粒状の穀物である。穀物の一種として米穀(べいこく)とも呼ぶ。東アジア・東南アジア・南アジア以外では一般的に主食として特別視することが希薄であり、日本語でいう「米」「稲」「飯」といった、収穫前・収穫後・調理前・調理後などによる区別がない言語が多数ある。例えば英語圏ではすべてriceという同一の単語で扱われる。.

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米価

米価(べいか)とは、米の値段。近代以前の日本においては物価の基準であり、近代以後も日本国民の主食の値段である米価は「物価の王様」と称されて、歴代政府の経済政策に重要な影響を与えた。.

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東洋拓殖

東洋拓殖株式會社(とうようたくしょく、英名:Oriental Development Company)は、日露戦争後の1908年(明治41年)12月18日に設立され、1945年(昭和20年)の第二次世界大戦の終結まで、京城府及び満州国、モンゴル、樺太、南洋諸島、ミクロネシアに存在した大日本帝国の特殊会社である。通称、東拓。 戦前の日本における南満州鉄道株式会社(満鉄)と並ぶ二大国策会社であり、大東亜共栄圏内の植民地政策に関して特権的な利権を保有。北はソビエト連邦国境から南は南方諸島まで、関連会社・子会社は85社を超えた。.

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朝鮮半島

朝鮮半島(ちょうせんはんとう、)は、ユーラシア大陸の中緯度の東端に位置する半島。 陸地の幅が最も狭くなるのは平壌のやや北の平安南道 - 咸鏡南道だが、とくに人文地理学で「朝鮮半島」と言った場合は半島最狭部より北の、豆満江や鴨緑江などによって隔てられる伝統的な中朝国境より南を指すのが普通であり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と大韓民国(韓国)を擁する。済州島を含めた朝鮮地域全体を指して用いられることも多い。このように、自然地形の名称というよりは政治的・文化的・歴史的な文脈において、朝鮮の同義語として使われることが少なくない。1948年に建国された韓国における呼称は韓半島(かんはんとう、)である。.

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朝鮮総督府

朝鮮総督府(ちょうせんそうとくふ、朝鮮語:조선총독부)は、1910年(明治43年)の韓国併合によって大日本帝国領となった朝鮮を統治するため、同年9月30日に設置された官庁である。庁舎は京畿道京城府(現在の大韓民国ソウル特別市)の景福宮敷地内に設置された。 韓国統監府を前身とし、旧大韓帝国の政府組織を改組・統合したため朝鮮人職員を多く抱えていたが、枢要なポストはほぼ日本人が握っていた。初代総督は寺内正毅。総督は現役または予備役の陸海軍大将が歴任した。1945年、太平洋戦争(大東亜戦争)における日本の敗戦にともない、連合国の指示により業務を停止するため、政務総監遠藤柳作によって呂運亨らに独立に向けて朝鮮建国準備委員会の組織化の打診があるも、その後も総督府の行政は継続され、行政権限は北緯38度線以南の占領行政機関となったアメリカ軍政庁へ引き継がれた。 総督府によりインフラの整備がおこなわれ、結果として伝染病の予防や出生率の増加におよび朝鮮総督府『統計年報』黄文雄『歪められた朝鮮総督府』光文社、教育施設では皇民化教育、日本語やハングル崔基鎬『韓国 堕落の2000年史』祥伝社の教育が進められたが、言論の制限や結社の禁止、独立運動などへの取り締まりなども行われた相賀徹夫著・編『日本大百科全書 15』1987年 小学館。これらの政策や事業に対しては批判する意見と評価する意見があり、現在も議論が続けられている。 建物は1948年の韓国の建国から1995年に金泳三大統領に爆破解体されるまで国会議事堂、中央庁、国立中央博物館とされた。.

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朝鮮銀行

株式会社朝鮮銀行(ちょうせんぎんこう、朝鮮語:조선은행)は、1911年に設立された日本の特殊銀行の一つである。略称は鮮銀(せんぎん)または朝銀(ちょうぎん)。.

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本位貨幣

日本の本位貨幣(原貨)旧1円金貨・明治4年銘 本位貨幣(ほんいかへい)は、その国の貨幣制度が金、もしくは銀に裏づけされている場合(金本位制・銀本位制)に、その平価に相当する一定量の貴金属を含み、実質価値と標記額面との差の無い貨幣のことである。正貨(せいか)とも呼ばれる金本位制であれば金貨が、銀本位制であれば銀貨が本位貨幣すなわち正貨となるが、一般に「正貨」という語を用いる場合には、金本位制における金貨に対して用いられ、かつ貨幣の形態を取っていない金地金・金為替をも含んだ意味で用いられている。。貨幣とは本来はこの本位貨幣を表すことばである。これに対して本位貨幣以外の非鋳貨は、貨幣の代用物として、「通貨」と読んで区別してきたが、銀行券の本位貨幣への兌換性が失われた今日では貨幣と通貨は重複した意味で用いられる場合が多い。また、硬貨という言葉は通常コインという意味で使われるが、経済学ではハードカレンシーの訳語として、国際決済通貨や、本位貨幣のことを表す場合がある。.

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明治

明治(めいじ)は日本の元号の一つ。慶応の後、大正の前。新暦1868年1月25日(旧暦慶応4年1月1日/明治元年1月1日)から1912年(明治45年)7月30日までの期間を指す。日本での一世一元の制による最初の元号。明治天皇在位期間とほぼ一致する。ただし、実際に改元の詔書が出されたのは新暦1868年10月23日(旧暦慶応4年9月8日)で慶応4年1月1日に遡って明治元年1月1日とすると定めた。これが、明治時代である。.

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日本

日本国(にっぽんこく、にほんこく、ひのもとのくに)、または日本(にっぽん、にほん、ひのもと)は、東アジアに位置する日本列島(北海道・本州・四国・九州の主要四島およびそれに付随する島々)及び、南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島などから成る島国広辞苑第5版。.

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日本銀行券

壱万円券 日本銀行券(にほんぎんこうけん、にっぽんぎんこうけん)は、日本の中央銀行である日本銀行が発行する紙幣である。日本の法定通貨(円)である。.

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1918年

記載なし。

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1918年米騒動

1918年米騒動(1918ねんこめそうどう)とは、1918年(大正7年)に日本で発生した、コメの価格急騰に伴う暴動事件、米騒動。.

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1920年

記載なし。

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1920年代

1920年代(せんきゅうひゃくにじゅうねんだい)は、西暦(グレゴリオ暦)1920年から1929年までの10年間を指す十年紀。.

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1926年

記載なし。

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1934年

記載なし。

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20世紀

摩天楼群) 20世紀(にじっせいき、にじゅっせいき)とは、西暦1901年から西暦2000年までの100年間を指す世紀。2千年紀における最後の世紀である。漢字で二十世紀の他に、廿世紀と表記される場合もある。.

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