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古典派の二分法

索引 古典派の二分法

マクロ経済学において、古典派の二分法(Classical dichotomy)とは、新古典派経済学および「ケインズ以前の経済学」に属する概念であり、実質と名目はそれぞれ独立に分析することが可能であるとするものである。貨幣のヴェール観とも呼ばれる。より正確に言えば、もしある経済の(産出量や実質利子率などの)実質の変数を、(産出量の貨幣的・名目的価値や利子率の貨幣的・名目的価値などの)名目の変数をまったく考慮しなくても完全に分析可能であるならば、その経済で「古典派の二分法」が成立している。また、もしこの考え方が正しければ、名目貨幣供給量や名目インフレ率の水準をまったく知らなくても、「実質GDP」等の実質の変数を決定することができる。 古典派の二分法はケインズ以前の一部の経済学者の思想・理論に長期命題として不可欠なものであった。現在でも、古典派の二分法は新しい古典派のマクロ経済理論において用いられている。ケインジアンとマネタリストは短期的には物価水準は硬直的であると考えたために古典派の二分法を否定した(ただし、ケインズ経済学が物価の変動しない短期を前提に政策を考えるのに対し、マネタリストは物価の変動する長期を前提に政策を考える)。言い換えれば、ケインジアンとマネタリストは物価水準は短期においては適切な調整ができないとし、ゆえに貨幣供給量の増大が総需要を増大させるので、これによって貨幣供給量の名目的な増大がマクロ経済の実質の変数を変化させると考えたのである。ポストケインジアンも古典派の二分法を否定しているが、その理由が異なっている。ポストケインジアンは、:en:Monetary circuit theoryのように、古典派の二分法が否定される理由として貨幣創造における銀行の役割を強調している。.

14 関係: 名目と実質 (経済学)名目硬直性マネタリストポスト・ケインズ派経済学ヤコビ行列レオン・ワルラスピグー効果ドン・パティンキンケインジアンケインズ経済学行列比較静学新しい古典派新古典派経済学

名目と実質 (経済学)

経済学において、名目(Nominal value)とは過去の名目通貨価値を基準に表される経済的価値のこと。名目値とも。対照的に、実質(Real value)とは名目値から(対象期間の)インフレーションの影響を取り除くように調整した価値のことであり、このため参照年(基準年)の一般物価水準から見て評価される。実質値とも。例えば、一定期間におけるある財の組み合わせの名目価値の変化は、その組み合わせを構成する財の数量の変化あるいは構成する財の価格変化に起因する。一方で、実質価値においては数量の変化のみが反映される。この名目から実質への変換はインフレ調整(inflation adjustment)として知られる。経済成長率を見るときは物価変動の影響を受けない実質値で見ることが多い。 例えば、ある年にリンゴの生産量が200万円分だったとし、この年の前年のリンゴの生産量が100万円分だったとする。このとき、ある年のリンゴの生産量は前年比で2倍になったと考えることができるが、これが仮にリンゴの値段が(インフレなどによって)2倍になっただけであれば、数量ベースで見たときに変化がなかったことになる。このように物価が大きく変動するような場合には実質値を見ることでその経済の実態をより正しく知ることができる。 実質値は、購買力を測るものさしとなる。例えば、名目所得はしばしば実質所得の形に直されるが、これによって単なるインフレ(一般物価の上昇)による所得の変動部分は取り除かれる。同様に、「総生産量」の基準として、名目量(例えば名目GDP)はその時点での生産の量とともに物価をも反映している。一方で、異時点間の実質数量は単に数量の変化のみを反映している。実質GDPなどの、ある一定期間における連続した実質値は、ある年の物価を用いて表現された財の一定期間の量の変化を計るものである。このとき、物価の基準となった年を基準年と呼ぶ(あるいは base period 基準期間とも)。異なる年どうしの実質値を比較するときは、物価変動の影響を排除し、あらゆる価格変化は数量の変化であるとしたうえで、あらかじめ決められた財の組み合わせ(bundle)の価値の比較が行われる。 名目・実質値は上記のような 時系列データのみならず、地域ごとに変化する:en:cross-section dataにも適用することができる。例えば、ある国のある地域によって生産された財の総販売価値は物理的な販売数量と販売価格によって左右される。そして、この地域の販売数量および販売価格は「一国全体として見たときの販売数量」および「一国全体として見たときの販売価格」とは異なる可能性がある。二つの異なる地域の経済活動を比較するため、この地域におけるこの財の名目生産量は、財の価格を国家平均の価格に直すことで「実質」に調整される。.

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名目硬直性

名目硬直性(Nominal rigidity)、あるいは価格の硬直性(Price-stickiness)、もしくは賃金の硬直性(Wage-stickiness)とは、名目価格がなかなか変わらない状況を指す。完全な名目硬直性は関連の期間において、名目値の価格が固定されているときに発生する。例えば、ある特定の財の価格が、一年間の間、ひとつにつき10ドルに固定されている場合は名目値に関して完全に硬直的であるといえる。不完全な名目硬直性は名目値において価格が変化するものの、変化が完全に柔軟でない場合に発生する。マクロ経済学では、基本的に長期分析においては賃金・物価水準などは完全に柔軟であると仮定されるが、短期分析においては賃金・物価水準などは固定的あるいは粘着的であるとされる。 市場の価格調整を重視するような考え方は新古典派経済学で顕著であり、これと同じ考え方が名目賃金にも適用できる。名目硬直性の存在は、なぜ短期において市場が均衡に達しないのかを説明するマクロ経済学の重要部分である。財市場や労働市場の価格(ここでいう「価格」とは例えば物価水準や賃金のこと)が硬直的であれば価格調整は働かない。価格がもし完全に柔軟であるなら価格調整が働き、例えば効率的な財の分配や完全雇用が達成される。このように価格調整を重視する新古典派に対して、ケインズ経済学は新古典派のいうような市場の価格調整は長期的にしか成立しないとし、短期的には市場の価格調整は非常にゆっくりしたものであるため、短期では数量調整を重視するべきであるとした。 新古典派の経済学者は市場における賃金は伸縮的なものであると考え、市場で発生する失業問題は摩擦的失業であるか、あるいは労働者が現行の賃金で働くことを拒否することによる自発的失業であると考えた。すなわち、新古典派は古典派の公準という考え方から市場の実質賃金と雇用量が常に完全雇用経済となるように決定されると考え続橋孝之(1983)「」『経済研究』成蹊大学、82号、27ページ。、現実の経済が完全雇用でないのは労働組合などの活動の結果として労働者の賃金が(市場が均衡する賃金よりも)高いためであるとした。これに対し、ジョン・メイナード・ケインズは自身の著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」において、労働者が労働を供給する際に関心があるのは実質賃金ではなく名目賃金であるとし、古典派の公準のうち、古典派の第二公準を否定した。ケインズによれば、労働者は名目賃金の引き下げ(例えば最低賃金を○○円引き下げる)には激しく抵抗し、名目賃金は下方硬直性という性質を持っているとしたが、物価上昇による実質賃金の引き下げには抵抗しないとし、これを貨幣錯覚と呼んだ。この貨幣錯覚のため、新古典派のいうような実質賃金による調整は発生せず、市場による調整は不完全であり、新古典派のいうような完全雇用経済は短期的には達成されないとした。一般理論において、ケインズは有効需要という概念を提唱し、総需要が少なすぎるために働くことのできない失業者が存在することを指摘し、これを非自発的失業と呼んだ。ケインズは非自発的失業が、世界恐慌によって発生した大量の失業者を説明するものだとした。.

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マネタリスト

マネタリスト(monetarist)は、マクロ経済の変動において貨幣供給量(マネーサプライ)、および貨幣供給を行う中央銀行の役割など、経済のマネタリー(貨幣的)な側面を重視する経済学の一派およびその主張をする経済学者を指す。通貨主義者とも訳される。マネタリストの理論および主張の全体を通貨主義またはマネタリズム(monetarism)と呼ぶ。.

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ポスト・ケインズ派経済学

ポスト・ケインズ派経済学(Post-Keynesian economics)とは、ジョン・メイナード・ケインズが著した『雇用・利子および貨幣の一般理論』をもとにして、ミハウ・カレツキ、ジョーン・ロビンソン、ニコラス・カルドア、アバ・ラーナー、ピエロ・スラッファなどの影響を受けて発展してきた経済学の学派である。.

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ヤコビ行列

数学、特に多変数微分積分学およびベクトル解析におけるヤコビ行列(やこびぎょうれつ、Jacobian matrix)あるいは単にヤコビアンまたは関数行列(かんすうぎょうれつ、Funktionalmatrix)は、一変数スカラー値関数における接線の傾きおよび一変数ベクトル値函数の勾配の、多変数ベクトル値関数に対する拡張、高次元化である。名称はカール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビに因む。多変数ベクトル値関数 のヤコビ行列は、 の各成分の各軸方向への方向微分を並べてできる行列で \end\quad (f.

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レオン・ワルラス

マリ・エスプリ・レオン・ワルラス(ヴァルラス、Marie Esprit Léon Walras 、1834年12月16日 - 1910年1月5日)は、スイスのローザンヌ・アカデミー(後のローザンヌ大学)で経済学の教鞭を執ったフランス生まれの経済学者。ヨーゼフ・シュンペーターによって「すべての経済学者の中で最も偉大」と評された。また、経済学的分析に数学的手法を積極的に活用し、一般均衡理論を最初に定式化した。.

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ピグー効果

ピグー効果(ピグーこうか、)とは、特にデフレーションにおいて、資産(wealth)の実質価値の増加が生産高や雇用に刺激を与える効果のことであるPigou effect(July. 10, 2014, 19:53 UTC)参照。「資産効果」と呼ばれることもある。.

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ドン・パティンキン

ドン・パティンキン(Don Patinkin、1922年1月8日 - 1995年8月7日)は、アメリカのイリノイ州シカゴで生まれた経済学者。のちにイスラエルに移住し、イスラエルの経済学の水準を高めるのに貢献した。.

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ケインジアン

インジアン (Keynesian) とはイギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズの理論に基づく経済学理論(ケインズ経済学)を支持する者を指す。ケインズ学派ともいう。ケインズの一般理論の解釈により、第二次世界大戦後まもなく、アメリカンケインジアンとイギリスケンブリッジ大学のポストケインジアンの2つが生まれていた。大不況に悩む資本主義を修正しソ連の社会主義理論に対抗できる実践的な理論として当時の若手経済学者中心に広まった。.

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ケインズ経済学

インズ経済学(ケインズけいざいがく、英: Keynesian economics)とは、ジョン・メイナード・ケインズの著書『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)を出発点に中心に展開された経済学(マクロ経済学)のこと。.

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行列

数学の線型代数学周辺分野における行列(ぎょうれつ、matrix)は、数や記号や式などを行と列に沿って矩形状に配列したものである。行の数と列の数が同じ行列はが成分ごとの計算によって与えられる。行列の積の計算はもっと複雑で、2 つの行列がかけ合わせられるためには、積の左因子の列の数と右因子の行の数が一致していなければならない。 行列の応用として顕著なものは一次変換の表現である。一次変換は のような一次関数の一般化で、例えば三次元空間におけるベクトルの回転などは一次変換であり、 が回転行列で が空間の点の位置を表す列ベクトル(1 列しかない行列)のとき、積 は回転後の点の位置を表す列ベクトルになる。また 2 つの行列の積は、2 つの一次変換の合成を表現するものとなる。行列の別な応用としては、連立一次方程式の解法におけるものである。行列が正方行列であるならば、そのいくつかの性質は、行列式を計算することによって演繹することができる。例えば、正方行列が正則であるための必要十分条件は、その行列式の値が非零となることである。固有値や固有ベクトルは一次変換の幾何学に対する洞察を与える。行列の応用は科学的な分野の大半に及び、特に物理学において行列は、電気回路、光学、量子力学などの研究に利用される。コンピュータ・グラフィックスでは三次元画像の二次元スクリーンへの投影や realistic-seeming motion を作るのに行列が用いられる。は、古典的な解析学における微分や指数関数の概念を高次元へ一般化するものである。 主要な数値解析の分野は、行列計算の効果的なアルゴリズムの開発を扱っており、主題は何百年にもわたって今日では研究領域も広がっている。行列の分解は、理論的にも実用的にも計算を単純化するもので、アルゴリズムは正方行列や対角行列などといった行列の特定の構造に合わせて仕立てられており、有限要素法やそのほかの計が効率的に処理される。惑星運動論や原子論では無限次行列が現れる。関数のテイラー級数に対して作用する微分の表現行列は、無限次行列の簡単な例である。.

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比較静学

経済学において、比較静学(comparative statics)とは、ある経済の外生的パラメータを変化させ、その経済の外生的パラメータの変化前と変化後の二つの異なる結果を比較するものである。 静学の研究では、(もし調整過程が存在するのなら)調整過程後の、二つの異なる均衡状態を比較する。静学においては均衡へ向かう「動き(motion)」や変化そのものの過程は考慮されない。 基本的には比較静学はある一つの市場における需要と供給の変化の研究や、金融政策や財政政策の変化がマクロ経済全体に及ぼす影響を調べる研究に使われている。「比較静学」という言葉そのものは、通常、マクロ経済学よりもミクロ経済学(一般均衡分析を含む)との関連で使用される。比較静学という言葉はジョン・ヒックス(1939)とポール・サミュエルソン(1947) (Kehoe, 1987, p. 517)によって形式化されたが、比較静学という概念は少なくとも1870年代には図を用いた形で提示されていた。新古典派の成長モデル(:en:neoclassical growth model)のような静的均衡モデルに対して、比較動学は比較静学に対応するものである(Eatwell, 1987)。.

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新しい古典派

新しい古典派(あたらしいこてんは)またはニュー・クラシカル(New classical economics) は、1970年代に生まれたマクロ経済学の学派である。日本ではこの呼称は十分認知されておらず、広い意味で新古典派(ネオクラシカル派)に分類される(以下では混乱を避けるため、「新古典派」をネオクラシカル派、「新しい古典派」をニュー・クラシカル派とそれぞれ呼ぶことにする)。 ケインジアンのマクロ経済学に対抗して、ニュー・クラシカル派は完全にネオクラシカル派の枠組みの上に構築されている。特に、ニュー・クラシカル派は精緻なミクロ的基礎づけ (microfoundation) の重要性を強調している。なお、ミクロ的基礎とは、ミクロ経済学でモデル化された個別の経済主体の行動を基礎にして、マクロ経済学のモデルを構築することである。その意味では、ケインジアンの経済分析にミクロ的基礎を与えることに努力してきたニュー・ケインジアンは、部分的にはこのニュー・クラシカル派に対応して発展してきたとも言える。 いくつかの仮定が、多くのニュー・クラシカル派モデルでは共通のものになっている。まず、すべての個人(経済主体)が合理的(効用最大化行動を取る)で合理的期待(当該モデルと整合的な期待)を形成する。また、一度マクロ経済が完全雇用あるいは潜在的産出量で唯一の均衡を持つと仮定された場合には、この均衡は価格および賃金の調整(市場清算)を通じて常に達成可能であると仮定する。 ニュー・クラシカル派は、代表的個人(representative agent)モデルを先駆的に採用している。しかしながら、このモデルは痛烈なネオクラシカル派批判も浴びている。この批判は、Sonnenschein-Mantel-Debreu定理(Kirman, 1992年)や合成の誤謬(ごびゅう) (fallacy of composition) で示されているように、ミクロ経済学的行動とマクロ経済的結果の間には明確な分裂があることに由来している。(代表的個人モデルを用いると、合成の誤謬は起こらない。)このような批判は、ネオクラシカル派的な総生産 (aggregate production) 関数の存在を疑うケンブリッジ資本論争に似ている。 最も有名なニュー・クラシカル派の経済モデルは、リアルビジネスサイクル理論モデルである。このモデルはロバート・ルーカス (Robert Lucas Jr.) が発展させ、この功績によりノーベル経済学賞も受賞している。.

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新古典派経済学

新古典派経済学(しんこてんはけいざいがく、Neoclassical economics)とは、経済学における学派の一つ。近年盛んになった新しい古典派(ニュー・クラシカル)との区別からネオクラシカルと呼ぶこともある。 もともとはイギリスの古典派経済学の伝統を重視したアルフレッド・マーシャルの経済学(ケンブリッジ学派)を指すとされたが、広義にはオーストリア学派(ウィーン学派)、ローザンヌ学派(数理学派)、ケンブリッジ学派の三学派を指す場合もありpp.162、さらにイギリスのジェボンズ、フランシス・イシドロ・エッジワース、ジョン・ベイツ・クラークによるアメリカで隆盛したアメリカ経済学やクヌート・ヴィクセルのスウェーデン学派を含める場合もあるpp.162。現在では一般に限界革命以降の限界理論と市場均衡分析をとりいれた経済学をさす。数理分析を発展させたのが特徴であり、代表的なものにレオン・ワルラスの一般均衡理論や新古典派成長理論などがある。 新古典派においては一般に、経済を経済主体の最適化行動と需給均衡の枠組みで捉え、パレートの意味での効率性によって規範的な評価を行う。.

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貨幣のヴェール観

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