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人間性回復運動

索引 人間性回復運動

人間性回復運動(にんげんせいかいふくうんどう)、または、ヒューマン・ポテンシャル運動(Human Potential Movement、HPM)とは、1960年代のアメリカ合衆国、それも主として心理学分野において生じたムーブメント。 「幸福」「創造性」「自己実現」の主体である人間の「人間性」や「人間の潜在能力」を、回復・発展させることを旨とする。自己啓発セミナーのルーツの1つとしても知られている。多くの心理学者や哲学者が集ったエサレン協会は、この運動における最大規模の「成長センター」であり、最も重要な役割を果たした。 時代背景としては、アブラハム・マズローが心理学の「第三勢力」であるとした人間性心理学と連動したムーブメントがあり、エンカウンターグループやゲシュタルト心理学などをとおして、俗に「第四勢力」としてのトランスパーソナル心理学へとつながる基盤となったと言われる。ニューエイジの基盤ともなっていった。.

13 関係: 人間性心理学井上順孝心理学ムーブメントトランスパーソナル心理学ニューエイジアメリカ合衆国アブラハム・マズローエサレン協会ゲシュタルト心理学自己啓発セミナー感受性訓練1960年代

人間性心理学

人間性心理学(にんげんせいしんりがく、英語:humanistic psychology)とは、主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を強調した心理学の潮流である。ヒューマニスティック心理学とも呼ばれる。それまで支配的であった精神分析や行動主義との間に1960年代に生まれた第三の心理学とされる。 提唱者であるアブラハム・マズローは、精神分析を第一勢力、行動主義を第二勢力、人間性心理学を第三勢力と位置づけた。人間性心理学は人間性回復運動の支柱ともなった。また後に、人間性心理学に続きトランスパーソナル心理学が登場する。 代表的な人間性心理学者には、前述のマズローの他、カール・ロジャーズ、ゲシュタルト療法家のフレデリック・パールズなどがおり、また、ロロ・メイや個人心理学の創始者アルフレッド・アドラーをこれに加える向きもある。 人間性心理学に属する理論・療法には、実存分析、現存在分析、マズローの自己実現理論、来談者中心療法、ゲシュタルト療法、交流分析、エンカウンターグループ、フォーカシングなどがある。 人間性心理学は、機械論的で物質主義的な傾向へ反論する精神によって生じたとされている。行動主義的心理学は人間性を一面的にしか見ておらず、また、精神分析のほうは、意識の役割を軽視していたため、決定論的になりすぎていた。それらへの反論として提唱された学問である。 マズローが人間性心理学を唱えた背景には、それまで第一勢力であった行動主義では人間と他の動物を区別せず、第二勢力とした精神分析では人間の病的で異常な側面を研究しており、どちらも正常で健康な人間を対象とする視点が欠如しているという思いがある。 人間性心理学は、ひとりひとりを異なった独自の存在と見なすという点で、実存主義的な心理学と共通点がある。異なる点は人間性心理学が自己実現 (self-actualization) の活動を主眼とするのに対して、実存主義では人生の意味や死の意味に重点を置いていることである。 マズローは、行動主義の強かった動物の研究から転向した基礎心理学者であり、ロジャーズは臨床の立場から人間性心理学へと向かった。 それまでの心理学では、行動の原因の動機として空腹などの単純な特定の欲求を満たすような欠乏動機(deficiency motivation)に重点を置いて満足してしまっていたが、マズローはそれだけでは説明できない人間のある種の成長への欲求を存在動機(being motivation)と呼び、より高次の価値を求める人間について研究しようとしたのである。現在では、マズローの自己実現理論は高校の教科書にも記述されるほど広く知られるようになっている。 カール・ロジャーズは1930年代の精神分析がさかんな時代に心理療法を学び、問題をもつ子供の治療を通じて、普通の人々に施す治療法についての洞察を得た。1942年の『カウンセリングと心理療法』において、それまで被治療者が患者(patient)と呼ばれていたのをクライエント(client)と呼ぶようにし、やがて療法をクライエント中心療法と呼び、クライエントの持っている自己実現傾向を強調するようになった。ロジャーズは、健康的なパーソナリティを促す方法のひとつとして無条件の肯定的配慮というものを考えている。 1961年にはマズローらは『ヒューマニスティック心理学雑誌』を創刊し、ロジャースも寄稿した。そして、1963年にはマズローの助力を得たロジャースはヒューマニスティック心理学会を創設する。後にマズローは、自己実現した後に超個の欲求があると述べるようになったが、1969年には、スタニスラフ・グロフと共にトランスパーソナル心理学会を設立した。.

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井上順孝

井上 順孝(いのうえ のぶたか、1948年『図解雑学 神道』 232頁。 - )は日本の歴史学者・宗教学者。国際宗教研究所宗教情報リサーチセンター長。宗教文化教育センター長。國學院大學客員教授。専門は宗教社会学。新宗教や教派神道を研究。日本宗教学会元会長。.

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心理学

心理学(しんりがく、psychology)とは、心と行動の学問であり、科学的な手法によって研究される。そのアプローチとしては、行動主義のように行動や認知を客観的に観察しようとするものと、一方で、主観的な内面的な経験を理論的な基礎におくものとがある。研究法を質的研究と量的研究とに大別した場合、後者を主に学ぶ大学では、理数系として心理学を位置付けている例がある。 起源は哲学をルーツに置かれるが、近代の心理学としては、ドイツのヴィルヘルム・ヴントが「実験心理学の父」と呼ばれ、アメリカのウィリアム・ジェームズも「心理学の父」と呼ばれることもある。心理学の主な流れは、実験心理学の創設、精神分析学、行動主義心理学、人間性心理学、認知心理学、社会心理学、発達心理学である。また差異心理学は人格や知能、性などを統計的に研究する。 20世紀初頭には、無意識と幼児期の発達に関心を向けた精神分析学、学習理論をもとに行動へと関心を向けた行動主義心理学とが大きな勢力であったが、1950年代には行動主義は批判され認知革命がおこり、21世紀初頭において、認知的な心的過程に関心を向けた認知心理学が支配的な位置を占める。.

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ムーブメント

ムーブメント、ムーヴメントとは、運動を意味する英語 movement のカタカナ表記。 日本語で「ムーブ(ヴ)メント」は、世の中に在る動きや流れを指す言葉、時計の動作機構など運動する機械、機械の運動部分のことを指す言葉として使われる。.

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トランスパーソナル心理学

トランスパーソナル心理学(トランスパーソナルしんりがく)とは、1960年代に展開しはじめた心理学の新しい潮流で、行動主義心理学、精神分析、人間性心理学に続く心理学の分野。先に人間性心理学を提唱した心理学者アブラハム・マズローは、晩年にその自己実現の理論の最上位に自己超越を置いていた。1969年にマズローと共に、スタニスラフ・グロフがアメリカ合衆国でトランスパーソナル心理学会を設立。.

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ニューエイジ

ニューエイジ(New Age)とは、20世紀後半に現れた自己意識運動であり、宗教的・疑似宗教的な潮流である。ニューエイジという言葉は、魚座の時代から水瓶座の時代(Age of Aquarius)の新時代(ニューエイジ)に移行するという占星術の思想に基づいている。グノーシス的・超越的な立場を根幹とし、物質的世界によって見えなくなっている神聖な真実を得ることを目指す。ニューエイジ思想の運動は、ニューエイジ・ムーブメント New Age movement・ニューエイジ運動、NAMという。.

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アメリカ合衆国

アメリカ合衆国(アメリカがっしゅうこく、)、通称アメリカ、米国(べいこく)は、50の州および連邦区から成る連邦共和国である。アメリカ本土の48州およびワシントンD.C.は、カナダとメキシコの間の北アメリカ中央に位置する。アラスカ州は北アメリカ北西部の角に位置し、東ではカナダと、西ではベーリング海峡をはさんでロシアと国境を接している。ハワイ州は中部太平洋における島嶼群である。同国は、太平洋およびカリブに5つの有人の海外領土および9つの無人の海外領土を有する。985万平方キロメートル (km2) の総面積は世界第3位または第4位、3億1千7百万人の人口は世界第3位である。同国は世界で最も民族的に多様かつ多文化な国の1つであり、これは多くの国からの大規模な移住の産物とされているAdams, J.Q.;Strother-Adams, Pearlie (2001).

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アブラハム・マズロー

アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908年4月1日 - 1970年6月8日)は、アメリカ合衆国の心理学者。 ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区に生まれる。彼は人間性心理学の最も重要な生みの親とされている。これは精神病理の理解を目的とする精神分析と、人間と動物を区別しない行動主義心理学の間の、いわゆる「第三の勢力」として、心の健康についての心理学を目指すもので、人間の自己実現を研究するものである。彼は特に人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)を主張した事でよく知られている。マズローは人間についての学問に新しい方向付けを与えようとしたが、彼の著作はそれ以上に内容豊かなものになっている。著書、雑誌論文は100編以上におよび、アカデミックな心理学のみならず、教育や経営学のような隣接領域にまで彼の思索は及んでいる。.

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エサレン協会

レン協会エサレン研究所、エスリン研究所とも。ここでは『現代世界宗教事典』(悠書館、2009年)で索引語として記載されている「エサレン協会」を採用した。(Esalen Institute, 通称: Esalen)は、アメリカの非営利的リトリート施設であり、オルタナティブな人間性教育に取り組んでいるカリフォルニア州ビッグサーのインテンショナル・コミュニティ(意図を持った共同体)である。ビッグサー温泉とも呼ばれていた。エサレンという名称はアメリカ先住民の一部族名にちなんだもので、その部族の聖地とされる場所は当協会の敷地に所在している(→エセレン族)。人口は白人が大部分を占め、高い教育を受けた人が多い。海野弘は、ある特定の時期に不思議な人々が集まってきた特別な場所としてアスコナのモンテ・ヴェリタになぞらえている。 この協会は、1960年代に始まったヒューマン・ポテンシャル運動における最大規模の「成長センター」であり、最も重要な役割を果たした。エサレンの集団感受性訓練グループの革新的な利用、心身相関性への傾注や、現在も継続中のかれらの個人的意識における実験は、後に主流となる多くのアイデアを提起した。 エサレンはスタンフォード大学の卒業生マイケル・マーフィーとリチャード・“ディック”・プライスによって1962年に設立された。かれらの意図は、オルダス・ハクスリーが「人間の可能性」(潜在能力)と表現した人間意識のオルタナティブな手法を確認することであった。それからの数年間でエサレンは、東洋の宗教・哲学から代替医療や心身介入療法、ゲシュタルト療法に至るまでの、ニューエイジ運動を構成する諸実践と諸信念の施設となった。エンカウンターグループ、ゲシュタルト療法、ボディワークの3つは、エサレンで開発された要素の中心であり、1960年代という時代と深く結びついている。これらは、20世紀初頭ヨーロッパから大戦を逃れてアメリカに来た人々によって持ち込まれた文化・研究を源とする。エンカウンターという言葉は現在のプログラムのタイトルには見られず、ボディワークが中心になっている。 2016年まで、エサレンは自己啓発、瞑想、マッサージ、ゲシュタルト療法、ヨーガ、心理学、エコロジー、スピリチュアリティ、有機食品といった諸分野において、年間500以上のワークショップを提供した。2016年にはおよそ15000人がそれらのワークショップに参加した。.

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ゲシュタルト心理学

ュタルト心理学(ゲシュタルトしんりがく、Gestalt Psychology)とは、心理学の一学派。人間の精神を、部分や要素の集合ではなく、全体性や構造に重点を置いて捉える。この全体性を持ったまとまりのある構造をドイツ語でゲシュタルト(Gestalt :形態)と呼ぶ。 ゲシュタルト心理学は、ヴントを中心とした要素主義・構成主義の心理学に対する反論として、20世紀初頭にドイツにて提起された経緯を持つ。精神分析学や行動主義心理学に比べると、元々の心理学に近いと言える。 特にユダヤ系の学者が多かった事などもあって、ナチスが台頭してきた時代に、同学派の主要な心理学者の大部分がアメリカに亡命した(例外的にヴォルフガング・ケーラーのみはバルト・ドイツ人出身)。 その後、同学派の考え方は知覚心理学、社会心理学、認知心理学などに受け継がれた。自然科学的・実験主義的アプローチや、全体性の考察に力学の概念を取り入れた事など、現代の心理学に与えた影響は大きい。 日本の研究者では、ケーラーのもとで学んだ佐久間鼎などがいる。言語学者でもあった佐久間は発音にもこだわり、より原語の発音に近い「ゲシタルト」と称した。現在でも、「ゲシュタルト心理学」ではなく「ゲシタルト心理学」という語を用いる研究者もいる。.

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自己啓発セミナー

自己啓発セミナー(じこけいはつセミナー)、大規模自己啓発セミナー(Large Group Awareness Training、LGAT)とは、集団心理療法などで開発されたテクニックを使い、自己を知り自己の可能性を実現する、コミュニケーション能力を養うなどと謳われる民間のグループ・セラピーの一種である。「自己啓発」を目的にする。1970年代以降、アメリカで大流行した。心をテクニックでコントロールできると考え、意識変容を目指し、自己責任を強調する。主に私企業によって有料のサービスとして提供される。セミナーの質を保証する公的な資格制度などは存在しない。 自己啓発セミナーは通常講師側も多人数、生徒も多人数で行われ、講師と生徒が1対1の場合コーチングと呼ばれる。心理学の集団心理療法をルーツとし、組織開発と類似点も多い。.

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感受性訓練

感受性訓練(かんじゅせいくんれん、Sensitivity training、ST)とは、人が自らの先入観をより強く認識し、自己及び他者に対してより理解のある人間になること、人間関係への洞察力を深めることを目標とする一つの訓練の形である。 参加者同士で語り合い、集団の相互作用を学習者自身が体験し、それを通じて人間関係を学び、対人的共感性を高めていく集中的グループ体験、グループ・セラピー、ラボラトリー・メソッドによる体験学習(体験学習によるトレーニング)、態度・行動変容の技法として位置づけられている能力訓練法、個人変容の技法である後藤学 大坊郁夫 対人社会心理学.

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1960年代

1960年代(せんきゅうひゃくろくじゅうねんだい)は、西暦(グレゴリオ暦)1960年から1969年までの10年間を指す十年紀。この項目では、国際的な視点に基づいた1960年代について記載する。.

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