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MTOR

索引 MTOR

mTOR(日本ではエムトールと呼ばれることもあるが、正しくはエムトアまたはエムトーである)は哺乳類などの動物で細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼ(セリン・スレオニンキナーゼ)の一種。酵母を用いたスクリーニングでラパマイシンの標的分子として発見されたため、TOR (target of rapamycin)つまり「ラパマイシン標的タンパク質」の略として命名された(TOR1、TOR2の2種類がある)。後に哺乳類のホモログが見出され、同定した研究者らによりFRAP1、RAFT1などと命名されたが、一般にはmTOR (mammalian TOR:哺乳類のTOR)との呼称が普及した。その後、様々な生物種でTORホモログが広く同定されたのを受け、HUGO遺伝子命名法委員会 (HGNC)は2009年に本遺伝子の公式名をMTOR(mechanistic target of rapamycin)に決定した。なお、HGNCによる公式名称では、Mはmechanistic(物理的、機械的、機構的)の略であり、当初一般的であったmammalian(哺乳類の)ではない。

目次

  1. 47 関係: ABL1ATM (タンパク質)AXL (タンパク質)小眼球症関連転写因子乳癌低タンパク質食マイケル・ホールラパマイシンリボソームタンパク質S6キナーゼプロテインキナーゼBテムシロリムステロメラーゼ逆転写酵素デイヴィッド・M・サバティーニホスファチジン酸制限点分子標的治療アルバート・ラスカー基礎医学研究賞エベロリムスオートファジーシグナル伝達兼転写活性化因子1シグナル伝達兼転写活性化因子3スチュアート・シュライバーステロール調節配列結合タンパク質サイクリンD1免疫抑制剤BTRC (遺伝子)細胞膜ナノチューブ真核生物の翻訳開始因子EIF4EBP1EIF4F転移 (医学)HEATリピートKHDRBS1LKB1MTORC1MycNFATPDIA3RNAポリメラーゼIIIRPTORSRタンパク質U0126VHL (タンパク質)Wntシグナル経路YWHAZ2013年の科学3-ヒドロキシイソ吉草酸

ABL1

ABL1は、ヒトではに位置するABL1遺伝子(以前のシンボルはABL)にコードされるタンパク質である。哺乳類ゲノムに存在するホモログを表す場合にはc-Abl、ウイルスの場合にはv-Ablという表記が用いられることがあり、当初(Abelson murine leukemia virus)から単離されたことに由来する。

見る MTORとABL1

ATM (タンパク質)

ATM(ataxia telangiectasia mutated)は、DNAの二本鎖切断によってリクルートされて活性化されるセリン/スレオニンキナーゼである。ATMは、DNA損傷チェックポイントの活性化を開始する重要なタンパク質をリン酸化し、細胞周期の停止、DNA修復やアポトーシスを引き起こす。p53、CHK2、BRCA1、NBS1、H2AXを含む、ATMの標的となるタンパク質のうちのいくつかはがん抑制因子である。 ATM遺伝子は1995年にYosef Shilohによって発見され、ATMという名称は、その遺伝子の変異(mutation)が毛細血管拡張性運動失調症(ataxia–telangiectasia)の原因であることに由来する。1998年にShilohの研究室とKastanの研究室は、ATMがDNA損傷によって活性が昂進するプロテインキナーゼであることをそれぞれ独自に示した。

見る MTORとATM (タンパク質)

AXL (タンパク質)

AXL(anexelekto)は、ヒトではAXL遺伝子にコードされる酵素(プロテインキナーゼ)である。AXL遺伝子は当初UFOと呼ばれていたが、この名称はタンパク質の機能が未同定であることを暗に示していた。AXLはその発見以降、その発現プロファイルと機構によって、特にがん治療において魅力的な標的となっている。近年、AXLはがん細胞が免疫回避と薬剤耐性を促進し、アグレッシブな転移性がんとなるための重要な因子として浮上している。

見る MTORとAXL (タンパク質)

小眼球症関連転写因子

小眼球症関連転写因子(しょうがんきゅうしょうかんれんてんしゃいんし、、MITF)は、ヒトではMITF遺伝子によってコードされるタンパク質である。bHLHe32(class E basic helix-loop-helix protein 32)としても知られる。 MITFは塩基性ヘリックスループヘリックス(bHLH)-ロイシンジッパー(LZ)型転写因子であり、メラノサイト、破骨細胞、マスト細胞など多くの細胞種で細胞系列特異的な経路の調節に関与している。細胞系列特異的とは遺伝子または形質が特定の細胞種のみで発現することを意味する。MITFはこれらの正常な前駆体細胞の生存と生理学的機能に必要なシグナル伝達カスケードの切り替えに関与している可能性がある。

見る MTORと小眼球症関連転写因子

乳癌

乳癌(にゅうがん、Breast cancer、独:Brustkrebs、羅:Carcinoma mamae、略称:BC)とは、乳腺内の乳管および乳腺小葉の上皮由来の悪性腫瘍である。診療科目では「婦人科」や「乳腺外来」の範疇に入る。 40歳代後半から60歳代後半に多い。患者の大半は女性である。トランス女性も併せてホルモン治療や性別適合手術をしている場合など、女性と同様に乳癌の発症率が一般男性に比べて50倍にのぼる。一般男性の場合は、女性の約1/100の頻度で発生する。 乳房の腫瘤(しこり)として発見されることが最も多い。

見る MTORと乳癌

低タンパク質食

低タンパク質食(ていタンパクしつしょく)は、タンパク質摂取量が少ない食事を指す。低タンパク質食はフェニルケトン尿症やホモシスチン尿症などの遺伝性代謝障害のある人に提供され、 腎臓や肝臓の疾患を持つ人はタンパク質の量が少ないこの食事を利用している。タンパク質消費量が少ないと、おそらくカルシウム恒常性の変化により、骨折のリスクが減少すると思われる。その結果、フェニルケトン尿症を患っている個人のタンパク質の量と組成は、 ホモシスチン尿症またはチロシン血症の患者とは実質的に異なるため、低タンパク質を構成するものの均一な定義は存在しない。それでも肝疾患のある人が使用する量は個人が窒素バランスを維持する程度である。

見る MTORと低タンパク質食

マイケル・ホール

マイケル・ニップ・ホール(Michael Nip Hall、1953年6月12日 - )はスイスの分子生物学者。タンパク質の合成や細胞の成長を制御するmTORシグナル伝達の発見で知られる。アメリカ合衆国との二重国籍。 プエルトリコで生まれ、ベネズエラやペルーで育つ。1976年にノースカロライナ大学を卒業後、1981年にハーバード大学大学院で分子遺伝学の博士号を取得した。パスツール研究所で博士研究員となった後、1987年にバーゼル大学で助教授となり、1992年に教授となった。

見る MTORとマイケル・ホール

ラパマイシン

ラパマイシン(Rapamycin)またはシロリムス(Sirolimus、国際一般名〔INN〕/JAN)は、微生物によって生産されるマクロライド化合物の一つである。移植臓器拒絶の予防のため、リンパ脈管筋腫症の治療のために医学分野で使われている。ヒトにおいて免疫抑制機能を持ち、腎臓移植の拒絶の予防において特に有用である。インターロイキン-2(IL-2)の産生を低下させることによってT細胞およびB細胞の活性化を阻害する。のコーティング剤としても使われている。 ラパマイシンは1972年にSuren Sehgalらによって、イースター島の土壌から発見された放線菌Streptomyces hygroscopicusから初めて単離され、イースター島のポリネシア語名の「ラパ・ヌイ」のラパと、「菌類から生じた抗生物質」を意味する接尾語のマイシンとを組み合わせてラパマイシンと名付けられた。当初は抗真菌薬として開発されていた。しかしながら、によって強力な免疫抑制作用と抗増殖作用を示すことが発見され、この目的では使用されなくなった。1999年9月にアメリカ食品医薬品局によって認可された。商品名はラパリムス錠1 mg(ノーベルファーマ)。日本国外ではラパミューン(Rapamune)としてファイザー(以前はワイス)から販売されている。

見る MTORとラパマイシン

リボソームタンパク質S6キナーゼ

リボソームタンパク質S6キナーゼ(リボソームタンパクしつS6キナーゼ、、略称: RSK)は、シグナル伝達に関与するプロテインキナーゼのファミリーである。RSKにはp90RSK、p70S6Kと呼ばれる2つのサブファミリーが存在し、p90RSKはMAPKAP-K1(MAPK-activated protein kinase-1)、p70RSKはS6-H1 Kinase もしくは単にS6キナーゼ(S6 kinase、S6K)の名称でも知られる。p90RSKはヒトではrsk1からrsk4の4種類、p70S6Kは哺乳類ではS6K1とS6K2の2種類がある。RSKはセリン/スレオニンキナーゼであり、p90RSKはMAPK/ERK経路、p70S6KはmTOR経路によって活性化される。

見る MTORとリボソームタンパク質S6キナーゼ

プロテインキナーゼB

プロテインキナーゼB (、略称: PKB)は、グルコースの代謝やアポトーシス、、転写、細胞遊走といった複数の細胞プロセスにおいて重要な役割を果たすセリン/スレオニンキナーゼで、Aktとしても知られる。

見る MTORとプロテインキナーゼB

テムシロリムス

テムシロリムス(temsirolimus)は腎細胞癌(RCC)の治療のための静脈内投与薬であり、ワイスファーマシューティカルズによって開発された。(現ファイザー社)トーリセルのブランド名で販売されている。2007年5月に米国食品医薬品局(FDA)によって承認された。2007年11月に欧州医薬品庁(EMA)によって承認された。テムシロリムスは、シロリムスの誘導体およびプロドラッグである。

見る MTORとテムシロリムス

テロメラーゼ逆転写酵素

テロメラーゼ逆転写酵素(テロメラーゼぎゃくてんしゃこうそ、、略称: TERT、特にヒトのものはhTERTと略される)は、テロメラーゼの触媒サブユニットであり、テロメラーゼRNA構成要素(TERC)とともにテロメラーゼ複合体の重要なユニットを構成する。 テロメラーゼはRNA依存性ポリメラーゼのサブグループの1つであり、DNA鎖のテロメアを伸長する酵素である。通常、ヘイフリック限界に達した老化細胞は有糸分裂を終えアポトーシスが引き起こされるが、テロメラーゼの活性によってがん細胞でよく見られるような不死化が可能となる。TERTは、具体的には、染色体のテロメアの末端へTTAGGG配列のヌクレオチドの付加を触媒する。この反復DNA配列の付加によって、多数回複製を行った後の染色体末端の分解が防がれる。

見る MTORとテロメラーゼ逆転写酵素

デイヴィッド・M・サバティーニ

デイヴィッド・マルセロ・サバティーニ(David Marcelo Sabatini, 1968年1月27日 - )はアメリカ合衆国の分子生物学者。哺乳類ラパマイシン標的タンパク質であるmTORの発見で知られる。ニューヨーク州ウエストチェスター郡出身。 1990年にブラウン大学を卒業後、1997年にジョンズ・ホプキンズ大学から医学のPh.D.を取得。

見る MTORとデイヴィッド・M・サバティーニ

ホスファチジン酸

ホスファチジン酸(ホスファチジンさん、、略称: PA)は、細胞シグナル伝達と脂質依存性イオンチャネルの直接的活性化に重要なアニオン性リン脂質である。ホスファチジン酸の加水分解によって、グリセロールとリン酸が1分子ずつ、そして脂肪酸が2分子生じる。ホスファチジン酸は脂質二重層中のリン脂質のうち、約0.25%を占める。

見る MTORとホスファチジン酸

制限点

制限点(せいげんてん、)またはR点は、細胞周期のG1期に位置する細胞周期チェックポイントである。細胞が細胞周期の進行に従事するようになる時点であり、これ以降は増殖の刺激のために細胞外のシグナルは不要となる。酵母ではStartとも呼ばれる。R点はしばしばG1/S期チェックポイント(G1/S checkpoint)と同一視されるが、両者が同一ものであるのか2つの異なるポイントが存在するのかに関しては議論がある。R点の生化学的特徴はG1/S期およびS期サイクリン-CDK複合体の活性化であり、この複合体はDNA複製や中心体複製、その他細胞周期の初期のイベントを開始するタンパク質をリン酸化する。

見る MTORと制限点

分子標的治療

分子標的治療(ぶんしひょうてきちりょう、molecularly-targeted therapy)とは、ある特定の分子を標的として、その機能を制御することにより治療する療法。 正常な体と病気の体の違いあるいは癌細胞と正常細胞の違いをゲノムレベル・分子レベルで解明し、がんの増殖や転移に必要な分子を特異的に抑えたり関節リウマチなどの炎症性疾患で炎症に関わる分子を特異的に抑えたりすることで治療する。従来の多くの薬剤もその作用機序を探ると何らかの標的分子を持つが、分子標的治療は創薬や治療法設計の段階から分子レベルの標的を定めている点で異なる。また、この分子標的治療に使用する医薬品を分子標的治療薬と呼ぶ。

見る MTORと分子標的治療

アルバート・ラスカー基礎医学研究賞

アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(アルバート・ラスカーきそいがくけんきゅうしょう)は、アルバート・ラスカー医学研究賞の一部門。ラスカー財団によって授与される国際的な医学賞の一つで、障害や死の原因を取り除くための技術・情報・概念をもたらす基礎的な発見を成し遂げた科学者を対象とする。 ノーベル生理学・医学賞の受賞者がそれに先行して本賞を受賞している場合が多く、その割合は約50%に達する。

見る MTORとアルバート・ラスカー基礎医学研究賞

エベロリムス

エベロリムス(Everolimus、開発コード:RAD-001)は 、分子標的治療薬であり、免疫抑制剤・抗癌剤の一つである。 免疫抑制剤としては「サーティカン」、悪性腫瘍治療薬としては「アフィニトール」として製造・販売されている。また経皮的冠動脈形成術での薬剤溶出性ステント(DES)に用いられている。 シロリムス(別名ラパマイシン)の誘導体であり、mTOR(mammalian target of rapamycin)阻害剤として作用する。

見る MTORとエベロリムス

オートファジー

オートファジー (Autophagy) とは、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つである。酵母からヒトに至るまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除したりすることで生体の恒常性維持に関与している。このほか、個体発生の過程でのプログラム細胞死や、ハンチントン病などの疾患の発生、細胞のがん化抑制にも関与することが知られている。 auto-はギリシャ語の「自分自身」を表す接頭語、phagyは「食べること」の意で、1963年にクリスチャン・ド・デューブが定義した。この経緯から自食(じしょく)とも訳される。

見る MTORとオートファジー

シグナル伝達兼転写活性化因子1

シグナル伝達兼転写活性化因子1(STAT1: Signal transducer and activator of transcription 1)は、ヒトのSTAT1遺伝子によってコードされる転写因子タンパク質であり、 STATタンパク質ファミリーの一員である。

見る MTORとシグナル伝達兼転写活性化因子1

シグナル伝達兼転写活性化因子3

シグナル伝達兼転写活性化因子3(signal transducer and activator of transcription 3、STAT3)は、ヒトではSTAT3遺伝子にコードされる転写因子である。STATタンパク質ファミリーのメンバーである。

見る MTORとシグナル伝達兼転写活性化因子3

スチュアート・シュライバー

スチュアート・リー・シュライバー (Stuart Lee Schreiber, 1956年2月6日-)は、アメリカの有機化学者。ハーバード大学教授。「ケミカルバイオロジー」という新たな学際的学問領域を提唱したことで知られ、mTORやヒストン修飾の研究でも著名である。

見る MTORとスチュアート・シュライバー

ステロール調節配列結合タンパク質

ステロール調節配列結合タンパク質、またはステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP; Sterol regulatory element-binding protein)は、ステロール生合成に関与する酵素の合成を増加させる転写因子である。塩基性ヘリックスループヘリックスロイシンジッパーに属する。哺乳類のSREBPは、SREBF1およびSREBF2遺伝子にコードされている。活性化されていないSREBPは核膜や小胞体膜に付着している。ステロールレベルが低い細胞では、SREBPが切断されて水溶性N末端ドメインが形成され、核に移行する。これらの活性化されたSREBPはステロール制御エレメントDNA配列(TCACNCCAC)に結合し、ステロール生合成に関与する酵素の合成を増加させる。ステロールはSREBPの切断・活性化を阻害するため、負のフィードバックループを通じて過剰なステロールの合成が減少する。

見る MTORとステロール調節配列結合タンパク質

サイクリンD1

サイクリンD1()は、ヒトではCCND1遺伝子にコードされるタンパク質である。

見る MTORとサイクリンD1

免疫抑制剤

免疫抑制剤(めんえきよくせいざい、)は、免疫系の活動を抑制ないし阻害するために用いる薬剤。免疫反応の中心的な役割を果たす細胞の働きや増殖などを抑え、免疫作用を抑制する薬。体内で起こっている免疫反応を抑える薬。免疫抑制薬とも。 臨床的には以下のような場合に用いられる。

見る MTORと免疫抑制剤

BTRC (遺伝子)

BTRC(β-transducin repeat containing)は、βTrCP1、FBXW1A(F-box/WD repeat-containing protein 1A)、FBXW1、pIκBα-E3 receptor subunitといった名称で知られるタンパク質をコードするヒトの遺伝子である。 この遺伝子はF-boxタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。F-boxタンパク質はF-boxと呼ばれる約40残基の構造モチーフによって特徴づけられる。F-boxタンパク質はSCF複合体と呼ばれるユビキチンリガーゼ複合体の4つのサブユニットのうちの1つを構成し、常にではないものの多くの場合、リン酸化依存的に基質を認識する。F-boxタンパク質は3つのクラスに分類される。

見る MTORとBTRC (遺伝子)

細胞膜ナノチューブ

細胞膜ナノチューブ(Membrane nanotube)は、細胞膜から突出する長くて細い管で、異なる動物細胞を接続する。トンネルナノチューブ(Tunneling nanotube、TNT)とも呼ばれる。この構造は非常に長くなることがあり、100 μm以上離れたT細胞間の接続を行うこともある。2種類のタイプの構造がナノチューブと呼ばれている。1つは直径が 0.7 μm以下のものでアクチンのみを含み、細胞間で細胞膜の一部を双方向に輸送する。もう1つは直径 0.7 μm以上のものでアクチンと微小管の双方を含み、小胞やミトコンドリアを含む細胞小器官など、細胞質の構成要素が細胞間で輸送されることもある。これらの構造は、細胞間コミュニケーション、核酸の移動、HIVやプリオンのような病原体の拡散に関わっていると考えられている。こうした構造の持続時間は数分から数時間であることが観察されており、いくつかのタンパク質が形成と阻害に関与している。

見る MTORと細胞膜ナノチューブ

真核生物の翻訳開始因子

真核生物の翻訳開始因子(、略称: eIF)は、真核生物の翻訳の開始段階に関与するタンパク質またはタンパク質複合体である。これらのタンパク質は、開始コドン周辺での翻訳開始前複合体形成を安定化し、また転写後段階での遺伝子発現の制御の重要な因子にもなっている。いくつかの開始因子はリボソーム40Sサブユニットやメチオニル化開始tRNA(Met-tRNAiMet)とともに、(43S PIC)と呼ばれる複合体を形成する。eIF4F複合体(eIF4A、eIF4E、)は43S PICをmRNAの5'キャップ構造へリクルートし、この複合体はmRNAを5'→3'方向へスキャンしてAUG開始コドンに到達する。Met-tRNAiMetによる開始コドンの認識によってゲートとなっているリン酸との放出が促進され、続いて60Sサブユニットが結合して80Sリボソームが形成される。真核生物の翻訳開始因子は原核生物のものよりも種類が多く、ここには真核生物の翻訳の生物学的複雑性の高さが反映されている。真核生物の翻訳開始因子は少なくとも12種類存在し、この項ではそれらについて概説する。

見る MTORと真核生物の翻訳開始因子

EIF4EBP1

EIF4EBP1(eukaryotic translation initiation factor 4E-binding protein 1)または4E-BP1は、ヒトではEIF4EBP1遺伝子にコードされるタンパク質である。4E-BP1は翻訳開始因子eIF4Eに結合することでキャップ依存的翻訳を阻害する。4E-BP1はリン酸化によってeIF4Eから放出され、その結果キャップ依存的翻訳が継続されてタンパク質合成速度が高まる。

見る MTORとEIF4EBP1

EIF4F

eIF4F(eukaryotic initiation factor 4F)は、mRNAの5'キャップに結合し、真核生物の翻訳開始を促進するヘテロ三量体型タンパク質複合体である。eIF4F複合体は、型RNAヘリカーゼのeIF4A、キャップ結合タンパク質eIF4E、大きな足場タンパク質の、という3つの異なるサブユニットから構成される。哺乳類のeIF4F複合体は1983年に最初に記載され、キャップ依存性翻訳開始の分子機構における主要な研究領域となっている。

見る MTORとEIF4F

転移 (医学)

転移(てんい、metastasis)とは、腫瘍細胞が原発病変とは違う場所に到達し、そこで再び増殖し、同一種類の腫瘍を二次的に生じること。

見る MTORと転移 (医学)

HEATリピート

HEATリピート(ひーとりぴーと:HEAT repeats)は、多くのタンパク質に見られるリピート配列(構造)のひとつ。ひとつのユニットは、30-40アミノ酸残基からなり、2本の両親媒性ヘリックスが折り畳まれた構造をつくる。このユニットが数十回繰り返されると、弾力性に富むソレノイド状構造を形成する。

見る MTORとHEATリピート

KHDRBS1

KHDRBS1(KH domain-containing, RNA-binding, signal transduction-associated protein 1)またはSam68(Src-associated substrate in mitosis of 68 kDa)は、ヒトではKHDRBS1遺伝子にコードされるタンパク質である。 このタンパク質は多くの機能を持っているようであり、選択的スプライシング、細胞周期の調節、RNAの3'末端の形成、腫瘍形成、HIVの遺伝子発現の調節など、多様な細胞過程に関与している可能性がある。

見る MTORとKHDRBS1

LKB1

LKB1(liver kinase B1)またはSTK11(serine/threonine kinase 11)、renal carcinoma antigen NY-REN-19は、ヒトではSTK11遺伝子にコードされるプロテインキナーゼである。

見る MTORとLKB1

MTORC1

mTORC1(mechanistic/mammalian target of rapamycin complex 1)は、栄養素・エネルギー・酸化還元状態のセンサーとして機能し、タンパク質合成を制御するタンパク質複合体である。 mTORC1は、mTOR、RPTOR、、、からなる複合体である。この複合体はmTORの古典的機能、すなわち栄養素・エネルギー・酸化還元状態のセンサー、そしてタンパク質合成の制御因子としての機能を担う。この複合体の活性は、ラパマイシン、インスリン、成長因子、ホスファチジン酸、特定のアミノ酸とその誘導体(ロイシンや3-ヒドロキシイソ吉草酸など)、機械刺激、酸化ストレスによって調節される。

見る MTORとMTORC1

Myc

Mycは、転写因子をコードする遺伝子ファミリーであり、かつがん原遺伝子のファミリーである。Mycファミリーは、関連する3つのヒト遺伝子c-Myc()、l-Myc()、n-Myc(MYCN)から構成される。c-Myc(単にMyc、MYCと呼ばれることもある)はこのファミリーで最初に発見された遺伝子であり、名称はウイルス遺伝子v-mycとの相同性に由来する。 がんでは、c-Mycはしばしば恒常的に発現している。c-Mycによって多くの遺伝子の発現が上昇し、その一部は細胞増殖に関与しているため、がんの形成に寄与することとなる。c-Mycと関係した染色体転座は、バーキットリンパ腫の症例の大部分で重要な役割を果たしている。c-Myc遺伝子の恒常的なアップレギュレーションは頸部、大腸、胸部、肺、胃の癌腫でも観察されている。そのため、Mycは抗がん剤の有望な標的であると考えられている。残念ながら、Mycは抗がん剤の標的として適さないいくつかの特徴を持っているため、タンパク質自身を標的とする低分子化合物ではなく、MycをコードするmRNAを標的とするなど、間接的にタンパク質に作用することが必要である。

見る MTORとMyc

NFAT

NFAT(Nuclear factor of activated T-cells)は転写因子のファミリーの1つで、免疫応答に重要であることが示されている。免疫系の大部分の細胞ではNFATファミリーのメンバーが1つ以上発現している。また、NFATは心臓、骨格筋、神経系の発達にも関与している。NFATは、T細胞の免疫応答の調節因子、インターロイキン-2の転写アクチベーターとして発見されたが、その後他の系においても重要な役割を果たしていることが判明した。NFAT型転写因子は多くの正常な体内過程に関与するとともに、炎症性腸疾患やいくつかのタイプのがんなどの発症にも関与している。NFATは、いくつかの疾患の薬剤標的としての研究も行われている。

見る MTORとNFAT

PDIA3

PDIA3(protein disulfide isomerase family A member 3)もしくはERp57、GRP58は、ヒトではPDIA3遺伝子にコードされるイソメラーゼである。このタンパク質は小胞体に局在し、レクチン型シャペロンであるカルレティキュリンやカルネキシンと相互作用して、新たに合成された糖タンパク質のフォールディングを調節する。レクチンシャペロンとこのタンパク質との複合体は、糖タンパク質基質のジスルフィド結合の形成を促進することでタンパク質のフォールディングを媒介していると考えられている。

見る MTORとPDIA3

RNAポリメラーゼIII

RNAポリメラーゼ III (, Pol III)は、真核生物の細胞内においてDNAの転写や、5S rRNAやtRNA、およびその他のに関与する酵素である。 RNA Pol IIIにより転写される遺伝子は「ハウスキーピング」遺伝子に分類され、全ての細胞種とほとんどの環境条件において、これらの遺伝子の発現が必須である。Pol III転写の調節は、主にと細胞周期の調節に連動しており、したがってRNA ポリメラーゼIIよりも必要な調節タンパク質が少ない。ただし、ストレス条件下ではタンパク質はPol IIIの活性を抑制する。また、ラパマイシンは直接的にはTORを標的としたPol III抑制剤である。

見る MTORとRNAポリメラーゼIII

RPTOR

RPTOR(regulatory-associated protein of mTOR)は、ヒトではRPTOR遺伝子によってコードされるアダプタータンパク質である。RaptorやKIAA1303の名称でも知られる。RPTOR遺伝子からは、1335アミノ酸長のタンパク質(アイソフォーム1)と1177アミノ酸(アイソフォーム2)をそれぞれコードする、2種類のmRNAが同定されている。

見る MTORとRPTOR

SRタンパク質

SRタンパク質(SRタンパクしつ、)は、RNAスプライシングに関与する、保存性の高いタンパク質ファミリーである。SRタンパク質という名称は、セリン(S)とアルギニン(R)のアミノ酸残基からなる長いリピート配列を持つタンパク質ドメインを含んでいることに由来する。SRタンパク質は200–600アミノ酸からなるタンパク質で、RNA認識モチーフ(RRM)領域とRSドメインと呼ばれる2つのドメインから構成される。SRタンパク質は細胞質よりも細胞核に多く存在するが、SRタンパク質のいくつかは核と細胞質の間を往復(シャトリング)することが知られている。 SRタンパク質は1990年代にショウジョウバエDrosophilaと両生類の卵母細胞で発見され、後にヒトでも発見された。一般的に、後生動物はSRタンパク質を持っており、単細胞生物はSRタンパク質を持っていないようである。

見る MTORとSRタンパク質

U0126

U0126は、MAPK/ERKキナーゼの一種であるMEK1およびの高選択的阻害剤である。U0126は、二重特異性キナーゼであるMEK1をIC50 72 nMで、MEK2を58 nMで非競合的に阻害することによりAP-1転写活性を機能的に拮抗することが明らかにされている。 U0126は細胞外シグナル調節キナーゼ (ERK) 経路および哺乳類ラパマイシン標的タンパク質 (mTOR)-p70(S6K) 経路を同時に妨害することによってKi-rasが形質転換されたラットの線維芽細胞の足場非依存性の増殖を阻害する。ヒトの8種の乳癌細胞株の増殖に対する試験で、U0126は構成的にERKが活性化されているMDA-M231およびHBC4細胞の足場非依存性の増殖を選択的に抑制することが示されている。多くの正常細胞において細胞外基質との接触が失われるとアポトーシスが引き起こされる(アノイキス anoikis)。U0126はMDA-MB231およびHBC4をアノイキスに対して感受性にする。すなわち、U0126を処理すると、細胞は足場を奪われた細胞はアポトーシスへと進む。

見る MTORとU0126

VHL (タンパク質)

VHLタンパク質またはvon Hippel-Lindau腫瘍抑制因子(von Hippel-Lindau tumor suppressor)は、ヒトではVHL遺伝子にコードされるタンパク質である。VHL遺伝子の変異は、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL病)と関係している。疾患名などと区別するため、pVHLと書かれることもある。

見る MTORとVHL (タンパク質)

Wntシグナル経路

Wntシグナル経路(ウィント-シグナルけいろ、)は、細胞表面受容体を介して細胞内へシグナルを伝達するタンパク質によって開始されるシグナル伝達経路の1つである。Wntという名称は、winglessとint-1という2つの遺伝子の名称に由来する「かばん語」である。Wntシグナル経路は、近接する細胞間のコミュニケーション(傍分泌)または細胞自身に対するコミュニケーション(自己分泌)のいずれかを利用する。この経路は動物で進化的に高度に保存されており、ショウジョウバエからヒトまで類似した経路が存在する。 古典的(標準的、cannonical)Wnt経路に加えて、非古典的(非標準的、non-cannonical)経路である平面内細胞極性(PCP)経路、Wnt/カルシウム経路の3種類のWntシグナル経路の特性解析がなされている。これら3つの経路は全て、WntリガンドがFrizzledファミリーの受容体に結合することで活性化され、細胞内のDishevelledタンパク質へ生物学的シグナルが伝達される。古典的Wnt経路は遺伝子の転写調節をもたらすが、その一部はによる負の調節を受ける。平面内細胞極性経路は細胞骨格を調節し、細胞の形状形成を担う。Wnt/カルシウム経路は細胞内のカルシウムを調節する。

見る MTORとWntシグナル経路

YWHAZ

YWHAZまたは14-3-3ζ/δは、ヒトではに位置するYWHAZ遺伝子にコードされるタンパク質である。このタンパク質は14-3-3タンパク質ファミリーのメンバーであり、多くのシグナル伝達経路において中心的なハブタンパク質として機能する。14-3-3ζは細胞生存に重要なアポトーシス経路の主要な調節因子であり、多くのがんや神経変性疾患で重要な役割を果たしている。

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2013年の科学

2013年の科学(2013ねんのかがく)では、2013年(平成25年)の科学分野に関する出来事について記述する。

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3-ヒドロキシイソ吉草酸

3-ヒドロキシイソ吉草酸 (3ヒドロキシイソきっそうさん、β‐ヒドロキシ‐β‐メチル酪酸、3-Hydroxy 3-MethylButyrate, HMB, 3-HydroxyIsovaleric Acid, 3-HIA)はイソ吉草酸のβ位の炭素にヒドロキシ基が結合した短鎖分岐ヒドロキシ脂肪酸である。 必須アミノ酸であるロイシンの代謝中間体のひとつ()で、1996年にアイオワ州立大学のDr.

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