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フォック演算子

索引 フォック演算子

量子力学のハートリー-フォック法において、フォック演算子は、量子系の1電子ハミルトニアンを近似する演算子である。 計算化学において、原子系や分子系のルーターン方程式を解く場合に使われる。 フォック演算子は、実際は量子系の真のハミルトニアンを近似したものである。 フォック演算子は電子間反発の影響を含んでいる。 しかしフォック演算子は1電子演算子なので、電子相関エネルギーを含んでいない。 フォック行列はフォック演算子を行列表示したものである。 閉殻軌道と1次元波動関数を仮定している場合、i番目の電子についてのフォック演算子\hat F(i)は、 ここで 不対電子を持つ系では、フォック演算子の形式は一通りではなく、多くの形式がありうる。.

13 関係: 不対電子交換演算子ハミルトニアンハートリー=フォック方程式ローターン方程式制限開殻ハートリー=フォック法クーロン演算子階段関数非制限ハートリー=フォック法行列表示計算化学量子力学電子相関

不対電子

一酸化窒素のN原子上には1つの不対電子がある。 不対電子(ふついでんし、unpaired electron)とは、分子や原子の最外殻軌道に位置する対になっておらず、電子対を作っていない電子のこと。共有結合を作る共有電子対や非共有電子対に比べ、化学的に不安定であり、反応性が高い。有機化学においては、不対電子を持つ、寿命の短いラジカルが反応経路を説明するのに重要な役割を果たしている。 電子は量子数によって決められる電子軌道を運動している。 s軌道やp軌道は、原子価を満たすようにsp3、sp2、spなどの混成軌道を形成するので、不対電子が現れることは少ない。これらの軌道ではラジカルは二量化し、電子が非局在化して安定化する。対照的に、d軌道やf軌道において、不対電子はよく見られる。これは、1つの電子軌道に入ることができる電子の数が多く、結合が弱くなるためである。またこれらの軌道においては、が比較的小さく、二量体にはなりにくい。 たとえば原子番号8の酸素は8個の電子を持つ。1s、2s軌道に各2個、2p軌道には4個の電子が配置される。2p軌道には1個あるいはスピンの向きが反対の2個の電子を入れることのできる軌道が3組あるので、酸素原子の最外殻には1組(2s軌道の2個を除いて)の対になった電子と、対になっていない2個の電子が存在することになる。 酸素分子は酸素原子2個からなるが、酸素分子の分子軌道では、2p軌道の計8個の電子は、もともと対になっている4個(2組)と、共有され対になった2個と、対になっていない2個という配置になる。 また一酸化窒素も不対電子をもつ物質の一つである。 対になっていない電子があることが磁性の特性をきめる。.

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交換演算子

量子力学において、交換演算子 (こうかんえんざんし exchange operator) \hat はフォック空間上の状態に作用するの一つをいう。交換演算子は、同時位置量子状態 \left|x_1, x_2\right\rangle で記述される二つの同種粒子のラベルを取り替えるような作用を及ぼす。これらの粒子は区別が不可能であるから、交換対称性の考え方から交換演算子はユニタリ演算子であることが要請される。.

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ハミルトニアン

ハミルトニアン(Hamiltonian)あるいはハミルトン関数、特性関数(とくせいかんすう)は、物理学におけるエネルギーに対応する物理量である。各物理系の持つ多くの性質は、ハミルトニアンによって特徴づけられる。名称はイギリスの物理学者ウィリアム・ローワン・ハミルトンに因む。 ここでは、古典力学(解析力学)と量子力学の2つの体系に分けて説明するが、量子力学が古典力学から発展した経緯から、両者は密接に関連する。ハミルトニアンはそれぞれの体系に応じて関数または演算子もしくは行列の形式をとる。例えば、古典力学においてはハミルトニアンは正準変数の関数であり、量子力学では正準変数を量子化した演算子(もしくは行列)の形をとる。.

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ハートリー=フォック方程式

ハートリー=フォック方程式(ハートリーフォックほうていしき、Hartree–Fock equation)は、多電子系を表すハミルトニアンの固有関数(波動関数)を一個のスレーター行列式で近似(ハートリー=フォック近似)した場合に、それが基底状態に対する最良の近似となるような(スピンを含む)1電子分子軌道の組を探し出すための方程式である。ウラジミール・フォックによって導かれた。分子軌道法の基本となる方程式である。 ハートリー=フォック方程式 は、\の近似的な解が与えられた場合、方程式中の\置換することで方程式 が誘導される。すなわちこの方程式の\hatには固有関数\psiは含まれず、普通の固有値方程式として解くことが出来る。 これにより得られた解を近似解として適用し再帰的に解く事で、多電子系のフェルミ粒子(この場合は電子)全体の作る平均場と、その中で一粒子運動をするフェルミ粒子の波動関数を自己無撞着に決定することができる(SCF法)。.

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ローターン方程式

ーターン方程式(ローターンほうていしき、ルーターン方程式、ロートハーン方程式、Roothaan equation)は、ハートリー–フォック方程式を、ガウス型やスレイター型の非直交基底で行列表示したものである。 すべての分子軌道や原子軌道が2つの電子で占められているような閉殻分子や原子で適用される。これは一般的に制限ハートリー–フォック(RHF)法と呼ばれる。 この方法はとが1951年にそれぞれ独立に開発し、しばしばローターン–ホール方程式と呼ばれる。ローターン方程式は、非線形であるため標準的な固有値問題ではないが、と似た形で書くことができる。 ここで\boldsymbol はフォック行列(電子間相互作用のため定数\boldsymbol に依存する)、\boldsymbol は基底の展開係数、\boldsymbol は基底関数の重なり行列、\boldsymbolは軌道エネルギーの対角行列である。 直交化された基底の場合、重なり行列\boldsymbol は恒等行列となる。 微積分方程式であるハートリー–フォック方程式とは対照的に、ローターン–ホール方程式は連立方程式である。よって計算機を使って解くのが、より容易になっている。.

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制限開殻ハートリー=フォック法

制限開殻ハートリー=フォック法 (せいげんかいかくハートリー=フォックほう、restricted open-shell Hartree-Fock method、ROHF法)とは、分子を計算するためのハートリー-フォック法の一手法である。 ROHF法では可能な限り二重に占有された分子軌道を用い、不対電子についてのみ半占軌道(SOMO)を用いる。 これは開殻分子の描像としては単純だが、計算手法の実装は難しい。 ROHF法の基礎は によって初めて定式化され 、後に他の研究者らによって拡張された 。.

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クーロン演算子

ーロン演算子(クーロンえんざんし、Coulomb operator)は量子化学において用いられる演算子である。シャルル・ド・クーロンにちなんで名付けられた。 クーロン演算子はフォック演算子に含まれている。 1電子クーロン演算子\hat J_j (1) \ は電子jからの反発力として、以下で定義される。 f(1)は1電子波動関数で、クーロン演算子が作用させられる。\varphi_j(2)は電子jの1電子波動関数である。r_は電子1と電子2の間の距離である。.

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階段関数

階段関数(かいだんかんすう、step functionまたはstaircase function)とは、おおまかに言って、グラフが階段状になる実関数のことである。より正確には、区間上の指示関数が有限個あって、それらの線型結合で表される関数である。有限個のみの区分を持った、区分的に定数関数である関数とも表現できる。.

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非制限ハートリー=フォック法

非制限ハートリー=フォック法(ひせいげんハートリーフォックほう、Unrestricted Hartree-Fock method、UHF法)とは、\alpha\ スピンと\beta\ スピンの電子数が一致しないような、分子を扱うための、最も一般的な分子軌道法である。スピン軌道ごとに異なる空間軌道を用いるという特徴がある 。.

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行列表示

量子力学において、行列表示(ぎょうれつひょうじ)とは、演算子を行列、状態ベクトルを縦ベクトルとして計算する方法である。 実際に計算機を用いて計算を行う場合は、微積分などの演算子を使う形式よりも行列表示の方が扱いやすい。.

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計算化学

計算化学(けいさんかがく、computational chemistry)とは、計算によって理論化学の問題を取り扱う、化学の一分野である。複雑系である化学の問題は計算機の力を利用しなければ解けない問題が多いため、計算機化学と呼ばれることもあるが、両者はその言葉の適用範囲が異なっている。 近年のコンピュータの処理能力の発達に伴い、実験、理論と並ぶ第三の研究手段と考えられるまでに発展した。主に以下の手法を用いて化学の問題を取り扱う。.

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量子力学

量子力学(りょうしりきがく、quantum mechanics)は、一般相対性理論と同じく現代物理学の根幹を成す理論として知られ、主として分子や原子、あるいはそれを構成する電子など、微視的な物理現象を記述する力学である。 量子力学自身は前述のミクロな系における力学を記述する理論だが、取り扱う系をそうしたミクロな系の集まりとして解析することによって、ニュートン力学に代表される古典論では説明が困難であった巨視的な現象についても記述することができる。たとえば量子統計力学はそのような応用例の一つである。従って、生物や宇宙のようなあらゆる自然現象もその記述の対象となり得る。 代表的な量子力学の理論として、エルヴィン・シュレーディンガーによって創始された、シュレーディンガー方程式を基礎に置く波動力学と、ヴェルナー・ハイゼンベルク、マックス・ボルン、パスクアル・ヨルダンらによって構成された、ハイゼンベルクの運動方程式を基礎に置く行列力学がある。ただしこの二つは数学的に等価である。 基礎科学として重要で、現代の様々な科学や技術に必須な分野である。 たとえば科学分野について、太陽表面の黒点が磁石になっている現象は、量子力学によって初めて解明された。 技術分野について、半導体を利用する電子機器の設計など、微細な領域に関するテクノロジーのほとんどは量子力学を基礎として成り立っている。そのため量子力学の適用範囲の広さと現代生活への影響の大きさは非常に大きなものとなっている。一例として、パソコンや携帯電話、レーザーの発振器などは量子力学の応用で開発されている。工学において、電子工学や超伝導は量子力学を基礎として展開している。.

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電子相関

電子相関(でんしそうかん、electron correlation)とは、多電子系における電子間の位置の相関のこと。また電子相関エネルギーEcorr とは、多電子系における正確なエネルギーEexact とハートリー‐フォック近似によって計算したエネルギーEHF との差として定義される。 つまり多電子系における電子間の相互作用をハートリー-フォック法で扱った場合、電子相関の一部しか取り込めていない。.

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フォック行列

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