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高エネルギーリン酸結合

索引 高エネルギーリン酸結合

ネルギーリン酸結合(こうエネルギーリンさんけつごう、High‐energy phosphate bond, energy‐rich phosphate bond)とはアデノシン三リン酸など高エネルギーリン酸化合物が有するリン酸無水物結合を意味する生化学上の概念である。 ピロリン酸など、通常のリン酸化合物においては、リン酸無水物結合の加水分解による切断時の標準自由エネルギーの減少は3 kcal/mol程度である。それに対して、ATPの加水分解における減少は7 kcal/molにも達することが実験的に確認されている。それゆえ、この種のリン酸結合を有する化合物を高エネルギーリン酸化合物と呼ぶ。なお、反応の自由エネルギー変化が大きいのであって、P-O間の結合エネルギーは一般の化合物と比べて特に大きいわけではない点に注意が必要である。 生化学では高エネルギーリン酸化合物を化学式で表す場合のみリン酸をPを丸で括った記号を用い、そのうち高エネルギーリン酸結合を「~」(波線)で表すことがある。例えば、アデノシン三リン酸の場合、アデノシンと結合しているリン酸は通常の結合であるが、リン酸間を結んでいる結合は~で表される。 生体内の物質代謝における反応には、化学ポテンシャルの変化から自発的に進行すると予測される方向とは異なる方向に進行するものが多い。そのほとんどは、高エネルギーリン酸結合の切断反応と共役することで実現されている。したがって、高エネルギーリン酸化合物の持つ生化学的な意味は大きい。言い換えると、筋肉の収縮や濃度勾配に逆らった物質輸送は、高エネルギーリン酸結合の関与によって初めて成し得るものである。 アデノシン三リン酸などのリン酸無水物結合が高エネルギー結合となる原因については、共鳴エネルギーの低下やリン酸間の静電反発の増大あるいは、母核化合物の互変異性など高エネルギーリン酸化合物の構造に由来する原因が複合していると考えられている。 これらの結合に関する「高エネルギー」という用語は、負の自由エネルギー変化の直接的な原因が結合それ自身の切断によるものではないため誤解を招きかねない。これらの結合の切断は、ほとんどの結合の切断と同様に吸エルゴン的であり、エネルギーを放出するよりむしろ消費する。負の自由エネルギー変化はそれよりむしろ、加水分解後に生じる結合(またはATPによる残基のリン酸化)が加水分解前に存在する結合よりもエネルギー的に低いという事実から来ている(これには、リン酸結合自身だけでなく、反応に関与する「全て」の結合が含まれる)。この効果は反応物と比較した生成物の共鳴安定化および溶媒和の増大など数多くの原因によるものである。.

20 関係: 吸エルゴン反応二リン酸代謝化学式化学ポテンシャルリン酸リン酸化ホスホエノールピルビン酸アデノシンアデノシン三リン酸アデノシン二リン酸クレアチンリン酸共鳴理論結合エネルギー生化学解糖系能動輸送自由エネルギー酸化的リン酸化溶媒和

吸エルゴン反応

吸エルゴン反応(きゅうエルゴンはんのう、英語:endergonic reaction)はギブズエネルギー変化が正である反応をいい、非自発反応と同義である。吸エルゴン反応のエルゴンはギリシア語で仕事を意味する語である。吸エルゴン反応は、他の発エルゴン反応や、電気分解・加熱などのように、外部から何かしらの仕事を与えなければ進行しない。特に、吸エルゴン反応を起こすために他の発エルゴン反応と組み合わせることを共役という。 一般に生物でおこる反応は発エルゴン反応であるが、反応経路の一部にはほぼ確実に吸エルゴン反応があるのでその反応を起こすためにATPが必要とされる。吸エルゴン過程とも。.

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二リン酸

二リン酸(にリンさん、diphosphoric acid)は、化学式 H4P2O7 で表される無機化合物である。ピロリン酸(ピロリンさん、pyrophosphoric acid)とも呼ばれる。 リン酸を高温で脱水縮合することで生成する(接頭辞の pyro- は「熱・炎・高温」を意味する)。また、日本語において名称の類似するピロリンはアミンおよびイミンの一種であり、直接の関係はない。.

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代謝

代謝(たいしゃ、metabolism)とは、生命の維持のために有機体が行う、外界から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う一連の合成や化学反応のことであり、新陳代謝の略称である生化学辞典第2版、p.776-777 【代謝】。これらの経路によって有機体はその成長と生殖を可能にし、その体系を維持している。代謝は大きく異化 (catabolism) と同化 (anabolism) の2つに区分される。異化は物質を分解することによってエネルギーを得る過程であり、例えば細胞呼吸がある。同化はエネルギーを使って物質を合成する過程であり、例えばタンパク質・核酸・多糖・脂質の合成がある。 代謝の化学反応は代謝経路によって体系づけられ、1つの化学物質は他の化学物質から酵素によって変換される。酵素は触媒として、熱力学的に不利な反応を有利に進めるため極めて重要な存在である。また、酵素は、細胞の環境もしくは他の細胞からの信号(シグナル伝達)の変化に反応することにより代謝経路の調節も行う。 有機体の代謝はその物質の栄養価の高さがどれだけか、また、毒性の高さがどれだけかを決定する。例えば、いくつかの原核生物は硫化水素を使って栄養を得ているが、この気体は動物にとっては毒であることが知られている。また、代謝速度はその有機体がどれだけの食物を必要としているかに影響を与える。.

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化学式

化学式(かがくしき、chemical formula)とは、化学物質を元素の構成で表現する表記法である。分子からなる物質を表す化学式を分子式(ぶんししき、molecular formula)、イオン物質を表す化学式をイオン式(イオンしき、ionic formula)と呼ぶことがある。化学式と呼ぶべき場面においても、分子式と言い回される場合は多い。 化学式が利用される場面としては、物質の属性情報としてそれに関連付けて利用される場合と、化学反応式の一部として物質を表すために利用される場合とがある。.

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化学ポテンシャル

化学ポテンシャル(かがくポテンシャル、)は熱力学で用いられる示強性状態量の一つである。 推奨される量記号は、μ(ミュー)である。 化学ポテンシャルはアメリカの化学者ウィラード・ギブズにより導入され、浸透圧や化学反応のようなマクロな物質量の移動が伴う現象で重要な量である。.

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リン酸

リン酸(リンさん、燐酸、phosphoric acid)は、リンのオキソ酸の一種で、化学式 H3PO4 の無機酸である。オルトリン酸(おるとりんさん、orthophosphoric acid)とも呼ばれる。リン酸骨格をもつ他の類似化合物群(ピロリン酸など)はリン酸類(リンさんるい、phosphoric acids)と呼ばれている。リン酸類に属する化合物を「リン酸」と略することがある。リン酸化物に水を反応させることで生成する。生化学の領域では、リン酸イオン溶液は無機リン酸 (Pi) と呼ばれ、ATP や DNA あるいは RNA の官能基として結合しているものを指す。.

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リン酸化

リン酸化(リンさんか、phosphorylation)は、各種の有機化合物、なかでも特にタンパク質にリン酸基を付加させる化学反応である。この反応は、生化学の中で大きな役割を担っており、2013年2月現在、MEDLINEデータベースのタンパク質のリン酸化に関する記事は21万にも及んでいる。 リン酸化は、「ホスホリル化」とも呼ばれる。リン酸化を触媒する酵素は一般にキナーゼ (Kinase) と呼ばれ、特にタンパク質を基質とするタンパク質キナーゼを単にキナーゼと呼ぶことも多い。 なお、ATP生合成(ADPへのリン酸化)を単にリン酸化と呼ぶこともある(「酸化的リン酸化」等)。.

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ホスホエノールピルビン酸

ホスホエノールピルビン酸(ホスホエノールピルビンさん、phosphoenolpyruvic acid, PEP)は、生化学的に重要な有機化合物の一つである。-62KJ/molと生体中で最もエネルギーの高いリン酸結合を持ち、解糖系や糖新生の経路にも登場する。また植物では、様々な芳香族化合物の生合成や炭素固定にも関わっている。.

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アデノシン

アデノシン (Adenosine) はアデニンとリボースからなるヌクレオシドの一つ。アデニンとリボースは β-N9-グリコシド結合している。 分子量(C10H13N5O4)で267。 アデノシンは生体内で重要な役割を担っている。DNA や RNA の塩基として遺伝情報のコードに用いられている他、生化学過程でもATPやADPの一部としてエネルギー輸送に関わったり、環状AMPとしてシグナル伝達に関わったりする。 カフェインによりその作用が抑制される。 Category:生体物質 Category:プリン Category:ヌクレオシド.

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アデノシン三リン酸

アデノシン三リン酸(アデノシンさんリンさん、adenosine triphosphate)とは、アデノシンのリボース(=糖)に3分子のリン酸が付き、2個の高エネルギーリン酸結合を持つヌクレオチドのこと。IUPAC名としては「アデノシン 5'-三リン酸」。一般的には、「adenosine triphosphate」の下線部のアルファベットをとり、短縮形で「ATP(エー・ティー・ピー)」と呼ばれている。.

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アデノシン二リン酸

アデノシン二リン酸(アデノシンにリンさん、Adenosine diphosphate, ADP と略)は、アデニン、リボース、および二つのリン酸分子からなる化学物質。リン酸は高エネルギーリン酸結合をとっており、ATP から ADP とリン酸基に分かれる際に放出されるエネルギーは生体内での主要なエネルギー源となっている。詳細は ATP の項目を参照のこと。 アデニル酸(AMP)とATPからアデニル酸キナーゼによって生成される。 ATPアーゼ(ATPase)によりATPが加水分解される場合にも生成される。 ADPは上記の化学反応のようにATPの分解やAMPのリン酸化によって生ずる。.

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クレアチンリン酸

レアチンリン酸(クレアチンリンさん、Phosphocreatine)はリン酸化されたクレアチンで、骨格筋にとって重要なエネルギー貯蔵物質である。ADPからの無酸素的なATPの生成に使われ、2秒から7秒程度の反応時間でクレアチンキナーゼによってリン酸基が外され、クレアチンに戻る。この反応は可逆でATP濃度の調整にも役立っている。クレアチンリン酸は、脳や筋肉など多くのエネルギーを消費する組織で重要な役割を果たしている。 クレアチンは主に腎と肝臓の共同作業で合成され、血流に乗って筋細胞や脳に運ばれ、細胞内に取り込まれたのちリン酸化されてクレアチンリン酸になる。.

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共鳴理論

二酸化窒素の寄与構造の内の2種類 化学における共鳴理論(きょうめいりろん)とは、量子力学的共鳴の概念により、共有結合を説明しようとする理論である。.

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結合エネルギー

結合エネルギー(けつごうエネルギー)とは、互いに引き合う複数の要素からなる系において、その系がひとところに寄り集まって存在する状態と、粒子がばらばらに存在する状態との間での、ポテンシャルエネルギーの差のこと。結合エネルギーが大きいほど、その結合は強固で安定であると言える。束縛エネルギーとも言う。 本来、保存力によって結合する系ならば、どのような系に対しても考えることが出来るが、この語が良く用いられるのは、化学分野における分子中の原子間結合の場合と、原子核の核子間相互作用の場合である。 英語表記は、bond energy や binding energy 等があるが、前者は主に化学分野において、後者は主に原子核物理学分野において用いられる。.

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生化学

生化学(せいかがく、英語:biochemistry)は生命現象を化学的に研究する生化学辞典第2版、p.713 【生化学】生物学または化学の一分野である。生物化学(せいぶつかがく、biological chemistry)とも言う(若干生化学と生物化学で指す意味や範囲が違うことがある。生物化学は化学の一分野として生体物質を扱う学問を指すことが多い)。生物を成り立たせている物質と、それが合成や分解を起こすしくみ、そしてそれぞれが生体システムの中で持つ役割の究明を目的とする。.

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解糖系

解糖系 解糖系(かいとうけい、Glycolysis)とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、グルコースに含まれる高い結合エネルギーを生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。ほとんど全ての生物が解糖系を持っており、もっとも原始的な代謝系とされている。嫌気状態(けんきじょうたい、無酸素状態のこと)でも起こりうる代謝系の代表的なものである一方で、得られる還元力やピルビン酸が電子伝達系やクエン酸回路に受け渡されることで好気呼吸の一部としても機能する。.

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能動輸送

Na+/K+ ATPアーゼの模式図。Na+ を細胞外へ、K+ を細胞内へそれぞれくみ出している 能動輸送(のうどうゆそう)とは、細胞がアデノシン三リン酸 (ATP) の力を直接あるいは間接的に利用して物質を濃度勾配に逆らって輸送する作用である。.

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自由エネルギー

自由エネルギー(じゆうエネルギー、)とは、熱力学における状態量の1つであり、化学変化を含めた熱力学的系の等温過程において、系の最大仕事(潜在的な仕事能力)、自発的変化の方向、平衡条件などを表す指標となるChang『生命科学系のための物理化学』 pp.63-65アトキンス『物理化学(上)』 pp.120-125。 自由エネルギーは1882年にヘルマン・フォン・ヘルムホルツが提唱した熱力学上の概念で、呼称は彼の命名による。一方、等温等圧過程の自由エネルギーと化学ポテンシャルとの研究はウィラード・ギブズにより理論展開された。 等温等積過程の自由エネルギーはヘルムホルツの自由エネルギー()と呼ばれ、等温等圧過程の自由エネルギーはギブズの自由エネルギー()と呼びわけられる。ヘルムホルツ自由エネルギーは F で表記され、ギブズ自由エネルギーは G で表記されることが多い。両者の間には G.

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酸化的リン酸化

酸化的リン酸化(さんかてきリンさんか、oxidative phosphorylation)とは、電子伝達系に共役して起こる一連のリン酸化(ATP合成)反応を指す。細胞内で起こる呼吸に関連した現象で、高エネルギー化合物のATPを産生する回路の一つ。好気性生物における、エネルギーを産生するための代謝の頂点といわれ、糖質、脂質、アミノ酸などの代謝がこの反応に収束する。 反応の概要は、NADHやFADHといった補酵素の酸化と、それによる酸素分子(O2)の水分子(H2O)への還元である。反応式は であり、ATPシンターゼによって触媒される。ミトコンドリアの内膜とマトリックスに生じた水素イオンの濃度勾配のエネルギーを使って、ATP合成酵素によってADPをリン酸化してATPができる。 真核細胞内のミトコンドリア内膜の他に原核細胞の形質膜にも見られる反応でもある。ミッチェルの提唱した化学浸透圧説での反応機構が最も有力で、次に仮説されたように、電子伝達系によって膜の内外にプロトンの電気化学ポテンシャル差が形成され、これを利用してATP合成酵素(F0F1)が駆動し直接ATPを合成するとされる。脱共役剤は電子伝達系の反応とATP合成の反応の共役を阻害するもので、これを添加することにより電子伝達系が行われても酸化的リン酸化はおこらない。.

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溶媒和

溶媒和(ようばいわ)とは、溶質分子もしくは溶質が電離して生じたイオンと溶媒分子とが、静電気力や水素結合などによって結びつき取り囲むことで溶質が溶媒中に拡散する現象のことである。 溶媒が水である場合、特に水和という。 極性溶媒にイオン性物質や極性物質が溶けやすいのは溶媒和による。一方、無極性物質が溶けにくいのは溶媒和がほとんど起こらないためである。 無極性溶媒の場合、溶媒和はほとんど見られない。.

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