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有機合成化学

索引 有機合成化学

有機合成化学(ゆうきごうせいかがく、英語:organic synthetic chemistry)とは、有機化合物の新規な合成方法を研究する学問であり、有機化学の一大分野である。時として合成有機化学(synthetic organic chemistry)、あるいは「有機」の語が略されて単に合成化学と呼ばれる場合もある。.

41 関係: 収率天然物化学学問学者岸義人医薬品化学反応式化学合成ペリ環状反応ペニシリンロバート・バーンズ・ウッドワードヴィンセント・デュ・ヴィニョープロスタグランジンビタミンCテトロドトキシンフラーレンファヴォルスキー転位分光法イライアス・コーリーウィリアム・デーリングオキシトシンキュバンキニーネクロロフィルコレステロールシアノコバラミンタデウシュ・ライヒスタイン全合成立体特異性立体障害立体配座結合角無機化学香料農薬追試英語機器分析化学水素結合有機合成化学協会誌有機化学

収率

収率(しゅうりつ、yield)はある物質を得るための化学プロセスにおいて、理論上得ることが可能なその物質の最大量(理論収量)に対する実際に得られた物質の量(収量)の比率である。そのプロセスがすぐれているかどうかの指標の一つとされる。.

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天然物化学

天然物化学(てんねんぶつかがく、英語:natural products chemistry)とは、生物が産生する物質(天然物と呼ばれる)を扱う有機化学の一分野である。主に天然物の単離、構造決定、合成を扱う。通常は直接生物が産生する物質のみを扱い、石炭や石油のような鉱物的な要素を持つ有機物については天然物化学ではあまり扱わない。.

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学問

学問(がくもん)とは、一定の理論に基づいて体系化された知識と方法であり、哲学や歴史学、心理学や言語学などの人文科学、政治学や法律学などの社会科学、物理学や化学などの自然科学などの総称。英語ではscience(s)であり、science(s)は普通、科学と訳す。なお、学問の専門家を一般に「学者」と呼ぶ。研究者、科学者と呼ばれる場合もある。.

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学者

学者(がくしゃ)とは、何らかの学問の研究や教授を専門職とする人、およびその職業人の総称である。研究者(けんきゅうしゃ)とも言う。学問の専門家。.

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岸義人

岸 義人(きし よしと、1937年4月13日 - )は日本とアメリカ合衆国で活動している有機合成化学者。専門は天然物化学。米国エーザイの副社長も務める。ハーバード大学名誉教授。天然物化学における驚異的な功績により名古屋大学特別教授。.

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医薬品

リタリン20mg錠。 医薬品(いやくひん)とは、ヒトや動物の疾病の診断・治療・予防を行うために与える薬品。使用形態としては、飲むもの(内服薬)、塗るもの(外用薬)、注射するもの(注射剤)などがある(剤形を参照)。 医師の診察によって処方される処方箋医薬品、薬局で買える一般用医薬品がある。医薬品は治験を行って有効性が示されれば新薬として承認され、新薬の発売から20年の期間が経過したらその特許がきれることで他の会社も販売可能となり、後発医薬品が製造される。 臨床試験による安全性の検証は限られたもので、グローバル化によって超国家的に薬の売り出し(ブロックバスター薬)を行っており、国際化されていない有害反応監視システムが手を打つ前に有害反応(副作用)の影響が広がる可能性がある。.

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化学反応式

化学反応式(かがくはんのうしき、)とは、物質の化学変化、すなわち化学反応を表現する為の図表である。通常、化学反応式中で物質は化学式を用いて表され、物質の間での化学量論的な関係を表したり、反応機構や化学反応前後での物質の構造変化を表現したりする。.

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化学合成

化学において、化学合成(かがくごうせい、chemical synthesis)とは、化学反応を駆使して目的の化合物を作ること。多くの場合、目的物が得られるまで数段階の化学反応が用いられ、その各段階に付随して、化学的・物理的な単離・精製・分析が行われる。得られた結果については、他の実験者による再現性があり、検証することができ、また確立されたものであることが求められる。 化学合成は原料となる化合物や試薬を選択することから始まる。目的物を得るための化学反応は様々なものが利用できる。得られた生成物の量を表すには2通りの方法があり、1つは質量で表した収量、もう1つは原料から得られる理論量に対する百分率で示した収率である。 単純な化合物から複雑な化合物を作る過程においては、目的とする生成物を合成するまで多段階の操作と多大な時間・労力を必要とする。特に、市販されている単純な化合物のみから、生理活性物質などの天然物や理論的に興味深い有機化合物を作るための多段階の化学合成を、全合成という。全合成は純粋に合成化学的な過程であるが、一方で、植物や動物、菌類等から抽出された天然物を原料とした場合には半合成と呼ばれる。 優れた有機合成の技術には賞が与えられる。ロバート・バーンズ・ウッドワードのように、特に価値の高い反応や合成が難しい化合物の合成法を発見した人物には、ノーベル化学賞が贈られている。 ある化合物 A を生成物 B に変換するまでの過程に関しては様々な経路を検討することができ、これは「合成戦略」と呼ばれる。多段階反応では1つの基質に対して化学変換を連続して行い、多成分反応においては数種類の反応物から1つの生成物が得られる。ワンポット合成は途中で生成物の単離・精製を行わず、反応物に対して次々に化学変換を行う。 化学合成の原語 "synthesis" の語を最初に使ったのはヘルマン・コルベである。 化学合成の語は狭義には2つ以上の基質を単一の生成物に変換する反応に対して用いられる。一般式を用いて、 と表される。ここで A と B は元素の単体または化合物、AB は A と B それぞれの部分構造を持つ化合物である。具体的な例としては、 などが挙げられる。.

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ペリ環状反応

ペリ環状反応(ペリかんじょうはんのう)あるいは周辺環状反応(しゅうへんかんじょうはんのう)とは、π電子系を含む複数の結合が環状の遷移状態を経て反応中間体を生成せずに同時に形成、切断される反応様式のこと。電子環状反応、環化付加反応、キレトロピー反応、シグマトロピー転位、エン反応の5つに大分される。;電子環状反応: ブタジエンや 1,3,5-ヘキサトリエンのような鎖状の共役π電子系の末端で閉環してシクロブテンや1,3-シクロヘキサジエンのような環状π電子系を生成する反応。;環化付加反応: ブタジエンのような1,3-共役ジエンがエチレンのような不飽和化合物に付加して環化し、6員環の生成物が得られる反応(ディールス・アルダー反応)や、ニトロン (H2C−–N+.

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ペニシリン

ペニシリン(penicillin、)とは、1928年にイギリスのアレクサンダー・フレミング博士によって発見された、世界初の抗生物質である。抗菌剤の分類上ではβ-ラクタム系抗生物質に分類される。博士はこの功績によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。 発見後、医療用として実用化されるまでには10年以上の歳月を要したが、1942年にベンジルペニシリン(ペニシリンG、PCG)が単離されて実用化され、第二次世界大戦中に多くの負傷兵や戦傷者を感染症から救った。以降、種々の誘導体(ペニシリン系抗生物質)が開発され、医療現場に提供されてきた。 1980年代以降、日本国内においては主力抗菌剤の座をセファロスポリン系抗生物質やニューキノロンに明け渡した感があるが、ペニシリンの発見はこれらの抗菌剤が開発される礎を築いたものであり、しばしば「20世紀における偉大な発見」の中でも特筆すべき1つとして数え上げられる。.

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ロバート・バーンズ・ウッドワード

バート・バーンズ・ウッドワード(Robert Burns Woodward, 1917年4月10日 - 1979年7月8日)は、アメリカ合衆国の有機化学者。「20世紀最大の有機化学者」と評価されている。 マサチューセッツ州ボストンのアーサー・ウッドワード(イングランド系移民)とマーガレット(旧姓バーンズ、スコットランド・グラスゴー出身)の間に生まれた。早くから化学に関心を持ち、1933年にマサチューセッツ工科大学 (MIT) に入学したが勉強不足で翌年放校処分となった。しかし1935年に再度入学を認められ、1936年学士号を取得、さらに翌年には博士号を授与された。その後主にハーバード大学で研究を行った。 1942年からキニーネの全合成に取り組み始め、1944年にウィリアム・デーリングと共に完成させた。この際に用いた「余分な環を作ることにより立体化学を制御する」という手法は、以降天然物全合成における標準的手法となった。 天然物の合成研究(抗生物質やキニーネ、コレステロール、コルチゾン、ストリキニーネ、リゼルグ酸、レセルピン、クロロフィル、コルヒチン、ビタミンB12の全合成)により、1965年にノーベル化学賞を授与された。 また同年、ロアルド・ホフマンとともに、有機化学反応の立体選択性を予測する法則(ウッドワード・ホフマン則)を導いた。ウッドワードは合成化学の経験に基づく彼の着想を、分子軌道の対称性に基づいて定式化した。彼はホフマンにその考えを確認するための理論計算を依頼し、ホフマンは彼の考案した拡張ヒュッケル法で計算を行った。ホフマンはこの業績により1981年ノーベル化学賞を受賞したが、ウッドワードはすでに死去していたので再受賞はできなかった。 ハーバード大学とともに1963年、スイス・バーゼルに設立された「ウッドワード研究所」の所長を務めた。またMITおよびワイツマン研究所(イスラエル)の評議員でもあった。 ウッドワードはさらに有機合成化学の研究を続け、1971年にビタミンB12の合成法を発展させた。マサチューセッツ州ケンブリッジで死去したときは抗生物質エリスロマイシン合成の研究中であった。この研究は彼のチームにより1981年に完成された。.

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ヴィンセント・デュ・ヴィニョー

ヴィンセント・デュ・ヴィニョー(Vincent du Vigneaud, 1901年5月18日 - 1978年12月11日)はアメリカの生化学者。脳下垂体のホルモン、オキシトシン及びバソプレシンの分析及び合成を行い、生物における硫黄化合物の働きに関する研究で1955年のノーベル化学賞を受賞した。 イリノイ州シカゴ生まれ。初等教育を受けた後1918年イリノイ大学に入学、1924年に同大学で修士号を取得。1927年、ロチェスター大学で博士号を取得した。その後は全米研究会議の奨学金によりジョンズ・ホプキンス大学医学部、カイザー・ヴィルヘルム光学研究所に留学した。その後、イリノイ大学の教授を経て、1932年にジョージ・ワシントン大学医学部の生化学の正教授となり、1938年にコーネル大学医学部の生化学科教授となった。ニューヨーク州ホワイトプレーンズで没。 彼の研究は硫黄化合物に関するものが主であった。システインやメチオニンといった含硫アミノ酸の生合成やその誘導体に関する研究を根幹として、脳下垂体ホルモンの合成と構造決定を行った。またビオチンの合成などにもその足跡を残している。.

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プロスタグランジン

プロスタグランジン (prostaglandin, PG) は、プロスタン酸骨格をもつ一群の生理活性物質。アラキドン酸から生合成されるエイコサノイドの 1 つで、様々な強い生理活性を持つ。プロスタグランジンとトロンボキサンを合わせてプロスタノイドという。.

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ビタミンC

ビタミンC (vitamin C, VC) は、水溶性ビタミンの1種。化学的には L-アスコルビン酸をさす。生体の活動においてさまざまな局面で重要な役割を果たしている。食品に含まれるほか、ビタミンCを摂取するための補助食品もよく利用されている。WHO必須医薬品モデル・リスト収録品。 壊血病の予防・治療に用いられる。鉄分・カルシウムなどミネラルの吸収を促進する効果があるが、摂取しすぎると鉄過剰症の原因になることがある。風邪を予防することはできない。.

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テトロドトキシン

テトロドトキシン (tetrodotoxin, TTX) は化学式C11H17N3O8で表され、ビブリオ属やシュードモナス属などの一部の真正細菌によって生産されるアルカロイドである。一般にフグの毒として知られるが、他にアカハライモリ、ツムギハゼ、ヒョウモンダコ、スベスベマンジュウガニなど幾つかの生物もこの毒をもっている。習慣性がないため鎮痛剤として医療に用いられる。分子量319.27、CAS登録番号 。語源はフグ科の学名 (Tetraodontidae) と毒 (toxin) の合成語である。.

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フラーレン

60 の球棒モデル 60 のCPKモデル フラーレン (fullerene 、Fulleren) は、閉殻空洞状の多数の炭素原子のみで構成される、クラスターの総称である。共有結合結晶であるダイヤモンドおよびグラファイトと異なり、数十個の原子からなる構造を単位とする炭素の同素体である。呼び名はバックミンスター・フラーの建築物であるジオデシック・ドームに似ていることからフラーレンと名づけられたとされる。最初に発見されたフラーレンは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持った60フラーレンである。.

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ファヴォルスキー転位

ファヴォルスキー転位(-てんい、Favorskii rearrangement)はα位に脱離基を持つケトンが塩基の存在下にカルボン酸誘導体に変化する転位反応のことである。 1913年にアレクセイ・ファヴォルスキーによってカルボニル基のα位が臭素で二置換されているケトンが水酸化ナトリウム水溶液中で転位反応を起こしたα,β-不飽和カルボン酸に変化することが報告された。臭素のような脱離基は1つでもこの反応は進行し、この場合には飽和のカルボン酸が得られる。例えば2-ブロモシクロヘキサノンからはシクロペンタンカルボン酸が生成する。また塩基としてアルコキシドを用いた場合にはエステルが、アミンを用いた場合にはアミドが生成する。β-ハロケトンを用いた同様の反応はホモファヴォルスキー転位 (homo-Favorskii rearrangement) と呼ばれる。 この反応は直接的な合成が難しい炭素環骨格を持つ化合物の合成に応用される。 著名な例としてはキュバンの合成に用いられた。.

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分光法

プリズムによる光線の波長分割 分光法(ぶんこうほう、spectroscopy)とは、物理的観測量の強度を周波数、エネルギー、時間などの関数として示すことで、対象物の定性・定量あるいは物性を調べる科学的手法である。 spectroscopy の語は、元々は光をプリズムあるいは回折格子でその波長に応じて展開したものをスペクトル (spectrum) と呼んだことに由来する。18世紀から19世紀の物理学において、スペクトルを研究する分野として分光学が確立し、その原理に基づく測定法も分光法 (spectroscopy) と呼ばれた。 もともとは、可視光の放出あるいは吸収を研究する分野であったが、光(可視光)が電磁波の一種であることが判明した19世紀以降は、ラジオ波からガンマ線(γ線)まで、広く電磁波の放出あるいは吸収を測定する方法を分光法と呼ぶようになった。また、光の発生または吸収スペクトルは、物質固有のパターンと物質量に比例したピーク強度を示すために物質の定性あるいは定量に、分析化学から天文学まで広く応用され利用されている。 また光子の吸収または放出は量子力学に基づいて発現し、スペクトルは離散的なエネルギー状態(エネルギー準位)と対応することが広く知られるようになった。そうすると、本来の意味の「スペクトル」とは全く異なる、「質量スペクトル」や「音響スペクトル」など離散的なエネルギー状態を表現した測定チャートもスペクトルとよばれるようになった。また「質量スペクトル」などは物質の定性に使われることから、今日では広義の分光法は「スペクトル」を使用して物性を測定あるいは物質を同定・定量する技法一般の総称となっている。.

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イライアス・コーリー

イライアス・ジェイムズ “E.J.” コーリー(Elias James “E.J.” Corey、1928年7月12日 - )は、アメリカ合衆国の有機化学者である。1990年の「有機合成理論および方法論の開発」、特に逆合成解析における功績で、ノーベル化学賞を受賞した。2011年現在存命の最も偉大な化学者の1人であり、多くの人々の尊敬を集めている。コーリーは数々の合成試薬や方法論を開発し、有機合成の分野の発展に大きく寄与した。.

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ウィリアム・デーリング

ウィリアム・フォン・エッガース・デーリング(William von Eggers Doering、1917年6月22日 - 2011年1月3日)は、アメリカの有機化学者。テキサス州フォートワース生まれ。"The Bull" のあだ名で知られる。.

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オキシトシン

トシン(Oxytocin, OXT)は、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」とも呼ばれ、ストレスを緩和し幸せな気分をもたらす。.

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キュバン

ュバン (cubane) は 8個の炭素原子が立方体の各頂点に配置され、それぞれの炭素原子に水素原子が1個ずつ結合した構造を持つ炭化水素分子である。分子式はC8H8、IUPAC命名法ではペンタシクロオクタン、CAS登録番号は 。 無色透明の結晶で、融点130–131 ℃、200 ℃以上で分解する。キュバンはの1つで、プリズマン類の一員である。 炭素原子同士の結合角が90° に近く、これはsp3炭素で理想的な109.5° から大きく離れるためひずみエネルギーが大きい。そのため非常に不安定な化合物とされ、合成は不可能と考えられていたが、1964年にシカゴ大学の教授フィリップ・イートンによって初めての合成が達成された。実際に合成されると、キュバンは速度論的にかなり安定な結晶であることが分かった。これは、すぐに利用できる分解経路がないためである。今日ではさらに多くの合成法が開発されている。キュバンは八面体形対称性を有する最も単純な炭化水素である。 かなりひずんだ骨格のために大きなエネルギーを内包しており、炭化水素の中でも密度が最大であるため、高密度、高エネルギーの燃料としての有用性が期待されている。 8個の水素原子をすべてニトロ化したオクタニトロキュバンは現在理論的に考えられる最強の爆薬であるとされるが、現段階ではその合成にはかなりのコストと手間がかかるため、実用的ではない。 キュバンを多数つなげたポリマーも作り出されており、非常に頑丈な繊維である。 炭素以外にも、炭素族元素であるケイ素やゲルマニウム、スズなどでもキュバン同様の立方体分子が合成されている。ただし、これらの元素同士の結合は酸素などと反応しやすいため、周りを大きな置換基で覆うことにより初めて安定に取り出すことが可能となった。例として、オクタテキシルオクタシラキュバン (octathexyloctasilacubane, Si8(Me2CHCMe2)8) がある。 キュバンの全合成.

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キニーネ

ニーネ(kinine)またはキニン(quinine)は、キナの樹皮に含まれる分子式C20H24N2O2のアルカロイドである。 IUPAC名は(6-Methoxyquinolin-4-yl)-(R)-methanol。1820年にキナの樹皮から単離、命名され、1908年に平面構造が決定し、1944年に絶対立体配置も決定された。また1944年にロバート・バーンズ・ウッドワードらが全合成を達成した。ただしウッドワードらの全合成の成否については後述の通り議論がある。 マラリア原虫に特異的に毒性を示すマラリアの特効薬である。キューガーデンが移植を手がけて以来、帝国主義時代から第二次世界大戦を経てベトナム戦争まで、ずっとかけがえのない薬だった。米国は野戦病院等でキニーネを使い、1962-1964年頃に手持ちが底をついた。急に大量発注され、そこへ国際カルテルが便乗し、キニーネは暴騰した。参加企業は欧州諸共同体のキニーネ/キニジンメーカーを網羅していた。 その後、キニーネの構造を元にクロロキンやメフロキンなどの人工的な抗マラリア薬が開発され、ある程度の副作用のあるキニーネは代替されてあまり用いられなくなっていった。 しかし、東南アジアおよび南アジア、アフリカ、南アメリカ中北部といった赤道直下の地域において熱帯熱マラリアにクロロキンやメフロキンに対して耐性を持つものが多くみられるようになったため、現在ではその治療に利用される。 また強い苦味を持つ物質として知られている。そのため、トニックウォーターに苦味剤として添加される。.

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クロロフィル

フィルの1種、クロロフィル''a'' の分子構造。マグネシウムが配位した テトラピロール環(クロリン)に、長鎖アルコール(フィトール)がエステル結合している。 クロロフィル (Chlorophyll) は、光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ化学物質。葉緑素(ようりょくそ)ともいう。 4つのピロールが環を巻いた構造であるテトラピロールに、フィトール (phytol) と呼ばれる長鎖アルコールがエステル結合した基本構造をもつ。環構造や置換基が異なる数種類が知られ、ひとつの生物が複数種類をもつことも珍しくない。植物では葉緑体のチラコイドに多く存在する。 天然に存在するものは一般にマグネシウムがテトラピロール環中心に配位した構造をもつ。マグネシウム以外では、亜鉛が配位した例が紅色光合成細菌 Acidiphilium rubrum において報告されている。金属がはずれ、2つの水素で置換された物質はフェオフィチンと呼ばれる。抽出されたクロロフィルでは、化学反応によって中心元素を人工的に置換することができる。特に銅が配位したものはマグネシウムのものよりも光や酸に対して安定であり、化粧品や食品への添加物として利用される。 2010年にクロロフィルfの発見が報告された。NMR、質量分析法等のデータから構造式はC55H70O6N4Mgだと考えられている。.

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コレステロール

レステロール (cholesterol) とは、ステロイドに分類され、その中でもステロールと呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種である。1784年に胆石からコレステロールが初めて単離された。室温で単離された場合は白色ないしは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからラノステロールを経て生合成される。 コレステロール分子自体は、動物細胞にとっては生体膜の構成物質であったり、さまざまな生命現象に関わる重要な化合物である。よって生体において、広く分布しており、主要な生体分子といえる。また、化粧品・医薬品・液晶の原材料など工業原料としても利用される。 食物由来のコレステロールのほとんどは動物性食品に由来する。卵黄に多量に含まれる。そのため卵の摂取量はしばしば研究の対象となる。植物のフィトステロールは血漿中のコレステロール量を下げるとされる。 いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物は、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示し、コレステロール分子自体を指すものではない。善玉と悪玉の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これにより血管内での振る舞いが変わることに由来する。これらのコレステロールを原料とする複合体分子が血液の状態を計る血液検査の指標となっている。.

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シアノコバラミン

アノコバラミン(cyanocobalamin)は、ヒドロキソコバラミンなどと共にビタミンB12とも呼ばれる代表的なコバラミンの一種であり、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。化学式 C63H88O14N14PCo。分子量 1355.4 g/mol。赤色又はピンク色を呈する。.

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タデウシュ・ライヒスタイン

タデウス・ライヒスタイン(Tadeus Reichstein, 1897年7月20日 - 1996年8月1日)は、ポーランド出身の化学者である。1950年ノーベル生理学・医学賞受賞。スイス国籍。 ロシア帝国支配下のポーランド・ヴウォツワヴェクで生まれ。父はエンジニアだった。幼年期をウクライナのキエフで過ごし、ドイツのイェーナの寄宿学校で初めての教育を受けた。 1933年、スイスのチューリッヒでの研究でイギリスのウォルター・ハースと共同研究者とは別にビタミンCの合成に成功した。1937年からチューリッヒ工科大学助教授、1938年からバーゼル大学の生化学研究所教授、1960年には同研究所の所長を歴任した。 1950年にエドワード・カルビン・ケンダルとフィリップ・ショウォルター・ヘンチと共に副腎皮質ホルモンからコルチゾンを単離する研究により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。1968年王立協会からコプリ・メダルを受賞し、外国人会員となった。 1996年、スイスのバーゼルで死去。ビタミンCの工業的な人工合成法に彼の名が見える。.

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全合成

有機化学における全合成(ぜんごうせい、total synthesis)は、原則として、より単純な部品から、通常は生物学的過程の助けを受けずに行われる、複雑な有機分子の完全な化学合成である。実際上は、これらの単純な部品はまとまった量で市販されており、ほとんどの場合は石油化学前駆体である。時には、大量の天然物(糖など)が出発物質として使用される。標的分子は天然物(生体分子)、医学的に重要な活性成分、あるいは化学あるいは生物学において理論的に興味深い有機化合物などである。合成のための新たな経路は研究の過程で開発され、この経路は目的物質を開発するための初の経路となる。.

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立体特異性

化学において、立体特異性(りったいとくいせい、Stereospecificity)は、異なる立体異性の反応物から異なる立体異性の反応生成物がもたらされる反応機構、または立体異性体の一方(または一部)のみに作用する反応機構の特性である。 その一方、立体選択性(stereoselectivity)は、非立体特異的機構によって複数の生成物の形成が可能であるが、反応機構とは独立な立体障害といった因子によって生成物の一方(または一部)の形成が有利となる反応混合物の特性である。 立体特異的機構は任意の反応物の立体化学的結果を「特定」するのに対して、立体選択的反応は任意の反応物に作用する同一の非特異的機構によって入手可能な生成物から生成物を「選択」する。単一で立体異性的に純粋な出発物質を考えてみると、立体特異的機構は100%の特定の立体異性体を与える(または無反応)が、立体化学的完全性の欠如は異なる立体化学的結果をもたらす競合機構を通じて容易に起こり得る。立体選択的過程は、立体異性的に純粋な出発物質に唯一の機構が作用したとしても、通常複数の生成物を与える。 立体特異的反応という用語は曖昧である。これは、「反応」という用語自身が立体選択的でもあり得る(ディールス・アルダー反応といった)単一機構の変換、あるいは、複数の競合機構(特異的および非特異的)を経る反応混合物の結果、を意味することがあり得るためである。後者の意味では、「立体特異的反応」という用語は「高度に立体選択的反応」を意味するために一般に誤用されている。 不斉合成は(存在する立体中心の相互変換のための)立体特異的変換と(新たな立体中心を作るための)立体選択的変換の組み合わせによって構築される。ここでは化合物の光学活性も保存される。 立体特異性の質は反応物とそれらの立体化学を中心とする。生成物にも関係しているが、反応物間での挙動の違いの証拠を与えるのみである。.

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立体障害

立体障害(りったいしょうがい, steric effects)とは分子内および分子間で分子を構成する各部分がぶつかることによる回転などの制限のこと。 立体障害は化学では非常に大きな意味を持ち、(有機化学の試験で基質の反応性が違う理由の多くは立体障害、ほかには電子状態、溶媒効果、各種相互作用など)非常に重要である。一般の置換反応や付加反応における分子の反応中心への接近、LDAに代表される求核剤と塩基、アトロプ異性などのような結合周りの回転の制限や、不安定化合物の安定化、不斉合成における配位子設計など多くの場面に関わっている。 立体障害の大きな置換基としてはイソプロピル基、tert-ブチル基、メシチル基などが挙げられる。分子模型としてよく用いられている球棒モデル(原子を表す球と原子間の結合を表す棒からなる模型、右図右)ではあまり実感がわかないが、CPKモデル(右図左)を用いると立体障害がいかに大きな意味を持つかがよく分かる。.

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立体配座

立体配座(りったいはいざ、Conformation)とは、単結合についての回転や孤立電子対を持つ原子についての立体反転によって相互に変換可能な空間的な原子の配置のことである。 二重結合についての回転や不斉炭素についての立体反転のように通常の条件では相互に変換不可能な空間的な原子の配置は立体配置という。.

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結合角

結合角(けつごうかく、bond angle)とは分子構造の構造要素の一つで、それぞれの原子から伸びている2つの化学結合のなす角度を示す。ともいう。結合相手の原子の方向が化学結合の方向だとして計算される角度を結合角とみなすこともあるが、曲がった結合を形成していると考える場合はこれらは一致しない。 分子軌道は混成軌道関数の方向因子によって決定づけられるため、結合角も結合の不飽和度の違いにより変化する。すなわち炭素の場合sp3軌道のメタンは109.5°のであり、sp2軌道のエチレンは120度、sp軌道のアセチレンは180度の結合角をもつ。 結合角は孤立電子対が存在すると混成軌道に影響を与えるため、同一元素周期元素の水素化物であるメタン、アンモニア、水とを比較すると、孤立電子対の数に応じてアンモニア(1つ)、水(2つ)の順に結合角がわずかに小さくなっている。すなわち、sp3軌道と孤立電子対の軌道との反発あるいは孤立電子対軌道同士の反発により結合角はわずかに変化する(記事 原子価殻電子対反発則 に詳しい)。 結合角に関する「3つの原子の位置で作られる角度」と「結合角」とは必ずしも一致しない。これはσ結合が同一軸上に存在する場合に結合力が最大ではあるが、並行するπ軌道から構成されるπ結合にも結合力が働くように、σ結合が同一軸上無くとも結合力が減弱するだけで結合自体は形成される。この様に同一軸上に無いσ結合による結合は曲がった結合と呼ばれる。.

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無機化学

無機化学(むきかがく、英語:inorganic chemistry)とは、研究対象として元素、単体および無機化合物を研究する化学の一分野である。通常有機化学の対概念として無機化学が定義されている為、非有機化合物を研究対象とする化学と考えて差し支えない。.

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香料

香料(こうりょう、flavor)は、食品に香りと味の一部を付与する食品添加物(フレーバー)と、食品以外のものに香りを付けるフレグランス(香粧品香料)に大別される。 一般に香料は、様々な植物や一部の動物から抽出された天然香料(てんねんこうりょう)、あるいは化学的に合成された合成香料(ごうせいこうりょう)を多数調合して作られる。これらはフレーバー、フレグランスにかかわらず調合香料(ちょうごうこうりょう)と呼ばれる。調合香料を作成する際の調合品目やその割合、調合の順序などを記載した処方箋(レシピ)を作成すること、あるいは実際に調合香料を作成する行為を調香といい(調合香料を作成する行為は調合(ちょうごう)と呼ばれ、この二つは混同されることも多いが、意図的に語を使いわける場合もある)、調香を行う専門職は調香師と呼ばれる。特にフレーバーを調香する調香師はフレーバリスト、フレグランスを調香する調香師はパフューマーと呼ばれる。.

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農薬

農薬(のうやく、agricultural chemical)とは、農業の効率化、あるいは農作物の保存に使用される薬剤の総称。殺菌剤、防黴剤(ぼうばいざい)、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤(さっそざい)、植物成長調整剤(通称植調:植物ホルモン剤など)等をいう。また、日本の農薬取締法(Agricultural Chemicals Control Act)等では、稲作で使うアイガモなどの生物も、害虫を駆除することから特定農薬として指定されている。 虫害や病気の予防や対策、除虫や除草の簡素化、農作物の安定供給・長期保存を目的として、近代化された農業では大量に使用されている。一方、人体に対する影響をもたらす農薬も多くあることから使用できる物質や量は法律等で制限されている。.

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追試

追試(ついし).

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英語

アメリカ英語とイギリス英語は特徴がある 英語(えいご、)は、イ・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属し、イギリス・イングランド地方を発祥とする言語である。.

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機器分析化学

機器分析化学(ききぶんせきかがく)は分析化学の中で分析機器を用いた内容で、分光学や構造解析学をひっくるめた総称である。機器分析学(ききぶんせきがく)とも呼ばれる。.

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水素結合

doi.

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有機合成化学協会誌

有機合成化学協会誌(ゆうきごうせいかがくきょうかいし)は査読付きである。有機合成化学、有機合成化学工業に関する総合論文と総説が掲載される。英語名称はJournal of Synthetic Organic Chemistry, Japan(略称J.

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有機化学

有機化学(ゆうきかがく、英語:organic chemistry)は、有機化合物の製法、構造、用途、性質についての研究をする化学の部門である。 構造有機化学、反応有機化学(有機反応論)、合成有機化学、生物有機化学などの分野がある。 炭素化合物の多くは有機化合物である。また、生体を構成するタンパク質や核酸、糖、脂質といった化合物はすべて炭素化合物である。ケイ素はいくぶん似た性質を持つが、炭素に比べると Si−Si 結合やSi.

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