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ベータ水素脱離

索引 ベータ水素脱離

ベータ水素脱離(ベータすいそだつり、β-水素脱離、β-hydrogen elimination)とは、有機金属化合物に見られる反応形式のひとつ。ベータ脱離、β脱離 とも。金属中心にアルキル基が結合している基質から、脱離が起こりアルケンと金属ヒドリドに分かれる反応を指す。アルキル基には、金属から見てベータ位の炭素上に水素原子を持っている必要がある。例えばブチル基を持つ有機金属化合物ではベータ水素脱離が起こり得るが、メチル基ではβ炭素がないため起こらない。ほか、ベータ水素脱離が起こるためには中心金属の上、アルキル基とシスの位置に空の配位点がなければならない。 上の式のように、ベータ水素が金属とシン配座をとった状態から脱離反応が起こるシン脱離である。 ベータ水素脱離は金属触媒反応のなかで鍵反応、あるいは望まれない副反応として含まれる。シェル高級オレフィンプロセス (Shell higher olefin process, SHOP) は、界面活性剤の製造のためのα-オレフィンを作る反応であるが、その中ではベータ水素脱離の過程が含まれる。ベータ水素脱離はヘック反応にも含まれる。 ベータ水素脱離が望まれない場面で起こる例はチーグラー・ナッタ反応である。この場合、ベータ水素脱離が起こると分子量の低下につながる。ニッケルやパラジウム触媒を用いてアルキルグリニャール試薬とハロゲン化アリールをクロスカップリングさせる際もベータ水素脱離が問題となり、収率の低下とアルケンの副生につながる。 反応によっては、ベータ水素脱離が最初の段階として現れる。塩化ルテニウム(III) RuCl3 とトリフェニルホスフィン PPh3 と2-メトキシエタノールから RuHCl(CO)(PPh3)3 を合成する反応では、最初に生成するRuアルコキシドからベータ水素脱離によって Ru-H 種とアルデヒドが生じる。.

21 関係: 塩化ルテニウム(III)チーグラー・ナッタ触媒ハロゲン化アリールメチル基トランス (化学)トリフェニルホスフィンヘック反応ブチル基パラジウムニッケルアルデヒドアルカンアルケンカップリング反応グリニャール試薬シス (化学)界面活性剤Α炭素水素化合物有機金属化学1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン

塩化ルテニウム(III)

塩化ルテニウム(III)(えんかルテニウム さん、ruthenium(III) chloride)は化学式 RuCl3で表される無機化合物である。通常は水和物 RuCl3·xH2O として存在しており、無水物、水和物いずれも暗褐色~黒色である。3水和物を形成する事も可能であり、ルテニウム化合物の原料として広く用いられる。.

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チーグラー・ナッタ触媒

チーグラー・ナッタ触媒(—しょくばい、Ziegler-Natta catalyst)は、オレフィンの重合に用いる触媒。ツィーグラー・ナッタ触媒とも言う。 通常、四塩化チタンまたは三塩化チタンをトリエチルアルミニウムやメチルアルミノキサン(en:Methylaluminoxane) (n, MAO) のような有機アルミニウム化合物と混合し調製する。エチレンやプロピレン、ブタジエン、イソプレン、アセチレン等の重合や、エチレン-プロピレンの共重合に用いられる。 1953年、ドイツのマックス・プランク研究所において、科学者カール・ツィーグラー(Karl Ziegler)がそれまで高圧が必要だったエチレンの重合反応の研究中に四塩化チタンを用いて発見した。この触媒によって、エチレンの常圧重合が可能になった。その後、イタリアのミラノ工科大学のジュリオ・ナッタ(Giulio Natta)が、三塩化チタンを用いることによって、それまで重合が困難と考えられていたプロピレンの重合に成功した。二人は、これらの業績により1963年、揃ってノーベル化学賞を受賞した(ただし、ツィーグラーがナッタの改良を軽視して、業績を全面的に自分に帰するよう求める発言を行ったため、二人の関係は険悪であったと言われている)。 重合触媒として石油化学工業に多大な功績があったばかりでなく、その反応機構の研究からは有機金属化学が盛んになるきっかけを与えた。.

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ハロゲン化アリール

ハロゲン化アリール(ハロゲンかアリール)とは、芳香族化合物のうち、芳香環上の水素の1個がハロゲン原子 (F, Cl, Br, I) に置換したものの総称。一般構造式は Ar-X と表される。アリールハライド (aryl halide) とも呼ばれる。複数のハロゲン原子で置換された化合物も含む総称として、ハロアレーン (haloarene) という呼び名も用いられる。.

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メチル基

メチル基の構造式 メチル基(メチルき、methyl group)とは、有機化学において、-CH3 と表される最も分子量の小さいアルキル置換基である。特にヒドロキシ基やメルカプト基(チオール基)に対する保護基にも利用される。この名称は、IUPAC命名法の置換命名法のルールによりメタン (methane) の呼称から誘導されたものである。そして構造式で表記する場合はMeと略される。 メチル基は隣接基効果として、電子供与性を示す。このことは、超共役の考え方で説明される。(記事 有機電子論に詳しい).

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トランス (化学)

トランス (trans) とは、有機化合物や無機化合物の立体化学について、2個の置換基の位置関係を示す用語のひとつで、「シス」(cis) との対として用いられる。ほか、いくつかの化学用語で接頭語とされている。.

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トリフェニルホスフィン

トリフェニルホスフィン (triphenylphosphine) は、分子式 Ph3P(Ph はフェニル基を示す)で表される一般的な有機リン化合物である。IUPACではトリフェニルホスファン (triphenylphosphane) という名称が推奨されている。TPPと省略されることもある。空気に対しても比較的安定で、室温では結晶性の固体であり、ベンゼンなどの非極性有機溶媒に可溶である。.

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ヘック反応

ヘック反応(ヘックはんのう、Heck reaction)あるいは溝呂木・ヘック反応(みぞろきヘックはんのう、Mizoroki-Heck reaction)は、パラジウム錯体を触媒として塩基存在下、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アルケニルでアルケンの水素を置換する反応である。反応名は、本反応の発見者である溝呂木勉およびリチャード・ヘックに因む。2010年、ヘックはこの反応の発見および開発の功績により、ノーベル化学賞を授与された。 ヘック反応はパラジウム触媒存在下で行われる。ハロゲン化物 (I, Br, Cl) あるいはトリフラートは、アリル、ベンジル、ビニル化合物が用いられる。アルケンは、少なくとも一つの水素原子を有し、電子不足であるアクリラート、エステル、アクリロニトリル等のオレフィンが用いられる。触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、配位子としてはトリフェニルホスフィンやBINAP、塩基としてはトリエチルアミン、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等が使用される。 例:ヨードベンゼンを酢酸パラジウムを触媒としてアクリル酸メチルと反応させると、アクリル酸メチルのβ位の水素がフェニル基で置換されてケイ皮酸メチルが生成する。 詳細は総説を参照されたい。.

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ブチル基

ブチル基(ブチルき、butyl group)とは、ブタン、あるいはイソブタンから水素が1つ取り除かれた形を持つ1価の基のこと。アルキル基の一種。元のブタンの構造と、取り除かれた水素の位置からいくつかの種類がある。.

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パラジウム

パラジウム(palladium)は原子番号46の元素。元素記号は Pd。白金族元素の1つ。貴金属にも分類される。 常温、常圧で安定な結晶構造は、面心立方構造 (FCC)。銀白色の金属(遷移金属)で、比重は12.0、融点は1555 (実験条件等により若干値が異なることあり)。酸化力のある酸(硝酸など)には溶ける。希少金属の1つ。.

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ニッケル

ニッケル (nikkel, nickel, niccolum) は、原子番号28の金属元素である。元素記号は Ni。 地殻中の存在比は約105 ppmと推定されそれほど多いわけではないが、鉄隕石中には数%含まれる。特に 62Ni の1核子当たりの結合エネルギーが全原子中で最大であるなどの点から、鉄と共に最も安定な元素である。岩石惑星を構成する元素として比較的多量に存在し、地球中心部の核にも数%含まれると推定されている。.

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アルデヒド

最も単純なアルデヒド:ホルムアルデヒド アルデヒド (aldehyde) とは、分子内に、カルボニル炭素に水素原子が一つ置換した構造を有する有機化合物の総称である。カルボニル基とその炭素原子に結合した水素原子および任意の基(-R)から構成されるため、一般式は R-CHO で表される。任意の基(-R)を取り除いた部分をホルミル基(formyl group)、またはアルデヒド基という。アルデヒドとケトンとでは、前者は炭素骨格の終端となるが、ケトンは炭素骨格の中間点となる点で異なる。多くのアルデヒドは特有の臭気を持つ。.

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アルカン

アルカン(、)とは、一般式 で表される鎖式飽和炭化水素である。メタン系炭化水素、パラフィン系炭化水素や脂肪族化合物McMurry(2004)、p.39。とも呼ばれる。炭素数が大きいものはパラフィンとも呼ばれる。アルカンが置換基となった場合、一価の置換基をアルキル基、二価の置換基をアルキレン基と呼ぶ。環状の飽和炭化水素はシクロアルカンと呼ばれる。 IUPACの定義によれば、正式には、環状のもの(シクロアルカン)はアルカンに含まれない。しかし両者の性質がよく似ていることや言葉の逐語訳から、シクロアルカンを「環状アルカン」と称し、本来の意味でのアルカンを「非環状アルカン」と呼ぶことがある。結果的に、あたかも飽和炭化水素全体の別称であるかのように「アルカン」の語が用いられることもあるが、不適切である。 主に石油に含まれ、分留によって取り出される。個別の物理的性質などについてはデータページを参照。生物由来の脂肪油に対して、石油由来のアルカン類を鉱油(mineral oil)と呼ぶ。.

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アルケン

アルケン(、)は化学式 CnH2n (n≧2) で表される有機化合物で、C-C間の二重結合を1つ持つ。すなわち、不飽和炭化水素の一種。エチレン系炭化水素、オレフィン (olefin)、オレフィン系炭化水素とも呼ばれる。C-C二重結合を構成している2つπ結合1つとσ結合1つから成り立っており、このうちπ結合の結合エネルギーはC-H結合のものよりも小さく、付加反応が起こりやすい。例えばエテン(エチレン)と塩素の混合物に熱を与えると 1,2-ジクロロエタンが生成する。.

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カップリング反応

ップリング反応(coupling reaction)とは、2つの化学物質を選択的に結合させる反応のこと。特に、それぞれの物質が比較的大きな構造(ユニット)を持っているときに用いられることが多い。天然物の全合成などで多用される。.

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グリニャール試薬

リニャール試薬(グリニャールしやく、Grignard reagent)はヴィクトル・グリニャールが発見した有機マグネシウムハロゲン化物で、一般式が R−MgX と表される有機金属試薬である(R は有機基、X はハロゲンを示す)。昨今の有機合成にはもはや欠かせない有機金属化学の黎明期を支えた試薬であり、今もなおその多彩な用途が広く利用される有機反応試剤として、近代有機化学を通して非常に重要な位置を占めている。 その調製は比較的容易であり、ハロゲン化アルキルにエーテル溶媒中で金属マグネシウムを作用させると、炭素-ハロゲン結合が炭素-マグネシウム結合に置き換わりグリニャール試薬が生成する。生成する炭素-マグネシウム結合では炭素が陰性、マグネシウムが陽性に強く分極しているため、グリニャール試薬の有機基は強い求核試薬 (形式的には R−)としての性質を示す。 また、強力な塩基性を示すため、酸性プロトンが存在すると、酸塩基反応によりグリニャール試薬は炭化水素になってしまう。そのため、水の存在下では取り扱うことができず、グリニャール試薬を合成する際には原料や器具を十分に乾燥させておく必要がある。これらの反応性や取り扱いはアルキルリチウムと類似している。.

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シス (化学)

(cis) とは、有機化合物や無機化合物の立体化学について、2個の置換基の位置関係を示す用語のひとつで、「トランス」(trans) との対として用いられる。.

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界面活性剤

面活性剤(かいめんかっせいざい、surface active agent, surfactant)とは、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質の総称。両親媒性分子と呼ばれることも多い。ミセルやベシクル、ラメラ構造を形成することで、極性物質と非極性物質を均一に混合させる働きをする。また、表面張力を弱める作用を持つ。 石鹸をはじめとする洗剤の主成分である。多数の界面活性剤が存在し、サポニンやリン脂質、ペプチドなどの天然にも界面活性剤としてはたらく物質は多い。.

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Α炭素

ルボニル化合物のα炭素、β炭素、・・・の位置関係。 α炭素(アルファたんそ)は、官能基と隣接した1番目の炭素のことを指す。その隣の2番目のものはβ炭素と呼ぶ。また、この命名法は炭素に結合した水素原子にも適用される。α炭素に結合した水素原子はα水素と呼ばれ、β炭素に結合したそれはβ水素と呼ばれる。 この命名法はIUPAC命名法には従っていない(炭素はギリシア文字ではなく番号で特定する)。しかし、カルボニルなどの官能基に結合する炭素の相対的位置を識別するのに便利であるため依然として使用されている。代表的な例としては、カルボキシル基のα炭素にアミノ基が結合したアミノ酸のことをα-アミノ酸と呼ぶ事が挙げられる。.

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水素化合物

水素化合物(すいそかごうぶつ、ハイドライド、)とは、水素と化合した物質のことである。特に、狭義には水素と他の元素とから構成される2元素化合物が水素化物と呼ばれる。また、2元素化合物以外の水素化合物も含めて水素化物と呼ぶ場合も多い。 また化学反応で水素と化合することを水素化という。.

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有機金属化学

有機金属化学(ゆうききんぞくかがく、英語:organometallic chemistry)とは金属と炭素との化学結合を含む化合物である有機金属化合物を研究する学問であり、有機金属化学は無機化学と有機化学とが融合した領域である。なお、類似の語である合成有機金属 (organic metal) の場合は、ポリアセチレンなど金属を含まないが電荷移動錯体を形成することで導電性を示す純粋な有機化合物を示し、有機金属化学の範疇外である。 有機金属化合物は「有機パラジウム化合物」のように頭に「有機-」を付けた形で呼ばれる。典型的な有機金属化合物にはクロロ(エトキシカルボニルメチル)亜鉛 (ClZnCH2C(.

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1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン

1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(1,1'-Bis(diphenylphosphino)ferrocene、dppf)は有機リン化合物のひとつで、フェロセン骨格上に2個のホスフィン部位を持っている。1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン (dppm) および 1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン (dppe) 、BINAP のような他の架橋ジフェニルホスフィンと同様、遷移金属触媒の二座配位子として用いられる。市販品が入手可能である。.

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