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抗うつ薬と精神障害

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抗うつ薬と精神障害の違い

抗うつ薬 vs. 精神障害

抗うつ薬(こううつやく、Antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害(MD)に用いられる精神科の薬である。不安障害のうち全般性不安障害やパニック障害、社交不安障害(SAD)、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも処方される。慢性疼痛、月経困難症などへの適応外使用が行われる場合がある。適用外の処方には議論があり、アメリカでは司法省による制裁が行われている例もある。 抗うつ薬の種類としては、1950年代にモノアミン酸化酵素阻害薬と三環系抗うつ薬の抗うつ作用が偶然に発見されて以降、セロトニンとノルアドレナリンの挙動に着目した。一方1970年代には、化学的にはセロトニンは関係がないという結論に達している(化学的不均衡も参照)。四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)等が開発されてきた。多くの抗うつ薬は効果の発現が服薬開始から2-6週間遅れるが、しばしば1週間後までに効果が見られることもある。抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。統計的には偽薬との差があるが効果は小さく、臨床的に意味がない差だとされる。1990年代後半からの約30年間の抗うつ薬の大幅な増加は、測定可能な公衆の利益を生み出していない。使用にあたっても1種類の抗うつ薬のみを使用することが原則とされる。もし抗うつ薬に対して反応がない場合でも複数の抗うつ薬の併用はせず、有害作用が臨床上問題にならない範囲で十分量まで増量を行い、十分量まで増量しても反応が見られない場合は薬剤の変更を、一部の抑うつ症状に改善がみられるがそれ以上の改善がない場合は抗うつ効果増強療法を行う。ケタミンは、治療抵抗性うつ病に対しても時間単位で効果が現れるという即効性から諸外国では用いられるケースがある。ただケタミンは解離性麻酔薬であり乱用されうる薬剤でもあることから製薬会社はケタミンの薬理学的作用に注目したケタミン様薬物の研究を進めている。 抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。また2型糖尿病の危険性を増加させる。さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。治験における健康な被験者でも自殺念慮や暴力の危険性が2倍であった。日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。WHOガイドラインでは12歳未満の子供については禁忌である。急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状(抗うつ薬中断症候群)を生じさせる可能性がある。離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1-2週間でおさまる。離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。副作用に関するデータは過小評価されており、利益よりも害のほうが大きい可能性がある。 製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。. 精神障害(せいしんしょうがい、mental disorder)は、精神や行動における特定の症状を呈することによって、機能的な障害を伴っている状態である。世界保健機関は、症状と苦痛とを組み合わせた機能不全とし、アメリカ精神医学会によれば著しい苦痛や社会的な機能の低下を伴っているものであり、死別など喪失によるありうる反応や、文化的に許容できる反応は精神障害ではない。精神疾患(mental disease)の語が用いられるが、厳密に正しい用語は精神障害である。従来のイメージである不可逆的なものとは異なるため、診断名に「症」の字を当てはめる動きについては議論がある。発達上の問題や統合失調症、うつ病や双極性障害といった気分障害や、パニック障害といった不安障害、性機能障害、また薬物依存症といった物質関連障害など様々な症状を呈する状態がある。知的障害やパーソナリティ障害が含まれる。診断された者は精神障害者と呼ばれる。 罹患者は世界では4500万人と推定され、4人に1人は生涯に1回以上の精神障害を経験する。任意の時点で、成人人口の10人に1人は精神疾患を罹患しており、また18歳以下の児童青年では8人に1人は罹患し、これは障害児においては5人に1人となる。神経精神疾患は世界の障害調整生命年(DALY)の13%を占め、2015年には15%に増加するとWHOは推定している。米国では精神障害関連のコストは1470億ドルに上り、これはがん、呼吸器疾患、AIDSらを上回る。 症状を呈する原因としては、先に甲状腺機能の異常や栄養欠乏、またなど医学的に生じているとか、医薬品や向精神薬によって薬理学的に生じているといった状態を除外して、それ以外の固有の症状であると仮定される。つまり精神の障害は、髄膜炎、内分泌疾患などの身体疾患によって引き起こされる場合もあるし、単にアルコールやカフェイン、また精神科の薬によって薬物の作用で生じている場合もある。それ以外にストレスによって生じたり、脳の機能的な変調によって生じている可能性もある。決定的な原因は判明しておらず、様々な仮説が検討されている状態である。 従って、精神障害を診断するための合意された生物学的指標(検査)は存在しない。つまり未だ、診断のための理解という部分から十分に高度というわけではなく、その基礎となる脳の研究の進展を要請している段階である。軽い日常的な出来事が医療化されることに弱く、製薬会社による病気喧伝も加わって患者の数が激増している。金融危機より先に先進国各国で患者数が増加し、薬物治療は人々を復帰させていない。治療法も決定的なものは存在しない。自然に軽快することもある。 精神障害は精神医学によって扱われる。日本では、担当は主に精神科医(精神科)であるが、患者の症状や状況によっては内科(心療内科が多い)など、他の科で診察、治療が行われている場合もある。.

抗うつ薬と精神障害間の類似点

抗うつ薬と精神障害は(ユニオンペディアに)共通で31ものを持っています: 厚生労働省うつ病双極性障害向精神薬多剤大量処方不安障害世界保健機関強迫性障害心的外傷後ストレス障害心理療法化学的不均衡ハミルトンうつ病評価尺度トーマス・インセルパニック障害アメリカ精神医学会アービング・カーシュ精神科の薬精神障害の診断と統計マニュアル統合失調症病気喧伝認知行動療法躁病自殺英国国立医療技術評価機構離脱電気けいれん療法抗精神病薬抑うつ気分障害摂食障害...性機能障害 インデックスを展開 (1 もっと) »

厚生労働省

厚生労働省(こうせいろうどうしょう、略称:厚労省(こうろうしょう)、Ministry of Health, Labour and Welfare、略称:MHLW)は、国家行政組織法が規定する「国の行政機関」である省の一つである。 健康・医療、子ども・子育て、福祉・介護、雇用・労働、年金に関する政策分野を主に所管する。 2001年(平成13年)1月の中央省庁再編により、厚生省と労働省を廃止・統合して誕生した。 その責務は「国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ること」(厚生労働省設置法第3条第1項)および「引揚援護、戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族等の援護及び旧陸海軍の残務の整理を行うこと」(同法第3条第2項)と規定されている。.

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うつ病

うつ病(うつびょう、鬱病、欝病、Clinical Depression)は、気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である。 『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版 (DSM-5) には、うつ病の診断名と大うつ病性障害(だいうつびょうせいしょうがい、Major depressive disorder)が併記されており、この記事では主にこれらについて取り上げる。これは1日のほとんどや、ほぼ毎日、2、3週間は抑うつであり、さらに著しい機能の障害を引き起こすほど重症である場合である。1 - 2年続く死別の反応、経済破綻、重い病気への反応は理解可能な正常な反応である場合がある。 有病者数は世界で3.5億人ほどで一般的であり、世界の障害調整生命年(DALY)において第3位(4.3%)に位置づけられる。しかし多くの国にて治療につながっておらず、先進国であろうと適切にうつ病と診断されていない事が多く、その一方ではうつ病と誤診されたために間違った抗うつ薬投与がなされている。WHOはうつ病の未治療率を56.3%と推定し(2004年)、mhGAPプログラムにて診療ガイドラインおよびクリニカルパスを公開している。.

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双極性障害

双極性障害(そうきょくせいしょうがい、Bipolar disorder)は、躁病(そうびょう)と抑うつの病相(エピソード)を循環する精神障害である。 ICD-10と以前のDSM-IV(1994年)では、うつ病とともに気分障害に分類されている。ICD-10における診断名は双極性感情障害であり『ICD-10』 第5章 「精神及び行動の障害」 F31 双極性感情障害<躁うつ病>、もっと古くはと呼ばれた。 双極I型障害と、より軽い軽躁病のエピソードを持つ双極II型障害とがある。双極性障害の躁状態、うつ状態はほとんどの場合回復するが、90%以上再発する。単極性の(躁病のない)うつ病は異なる経過をたどる。発病のメカニズムや使われる薬は異なる。 気分安定薬による予防が必要となることが一般的である。双極II型障害に対しては証拠が少なく薬物療法はケースバイケースで判断する。生活習慣の改善が必要となる。障害とは生涯にわたるつきあいとなる。20年後の自殺率は6%以上高く、その他の不安障害、薬物乱用などの併発も多い。 世界保健機関(WHO)は世界で6000万人が罹患していると推定している。好発年齢は25歳で、初回発病は15-19歳からであり12歳以下は稀である。35歳以上でも別の原因が念頭に入れられる。一卵性双生児における一致率は50 - 80%と、二卵性双生児 (5 - 30%) よりも高いことから、遺伝要因の関与が高いことが指摘されている。.

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向精神薬

向精神薬(こうせいしんやく、Psychoactive drug, Psychotropic)とは、中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称である。主として精神医学や精神薬理学の分野で、脳に対する作用の研究が行われている薬物であり、また精神科で用いられる精神科の薬、また薬物乱用と使用による害に懸念のあるタバコやアルコール、また法律上の定義である麻薬のようなが含まれる。.

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多剤大量処方

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不安障害

不安障害(ふあんしょうがい、英:Anxiety disorder)とは、過剰なや心配、恐怖の特徴を有するいくつかの異なる種類の一般的な精神障害を含んだ総称である。不安は、身体と精神の健康に影響を及ぼす可能性がある不確かで現実に基づかないか、あるいは想像上の将来についてである。 不安障害は、さまざまな要因を有し、を含む可能性もある。不安障害の診断は2つの分類に分けられ、それは持続しているか、一時的な症状かどうかに基づく。たびたび全般性不安障害として誤診される、不安障害に類似した症状を有する甲状腺機能亢進症のような医学的疾患も存在する。 不安障害は、全般性不安障害、特定の恐怖症、およびパニック障害に分けられ、各々が特徴と症状を持ち、異なる治療を要する。不安障害が発現させる感情は、単なる緊張から恐怖による発作までにわたる。 やのような標準化された検査用の臨床アンケートを、不安症状の検出に用いることが可能で、不安障害の正式な診断評価のために必要であることが示唆される。.

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世界保健機関

世界保健機関(せかいほけんきかん、World Health Organization, WHO、Organisation mondiale de la santé, OMS)は、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関(国際連合機関)である。略称は英語式(WHO)と仏語式(OMS)で異なる。日本をはじめ多くの国では英語略称のWHO(ダブリュー・エイチ・オー)が多用される。(以下「WHO」と表記する。読みについては後述) 1948年設立。本部はスイス・ジュネーヴ。設立日である4月7日は、世界保健デーになっている。 WHOでは「健康」を「身体的、精神的、社会的に完全な良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」(WHO憲章前文)と定義しており、非常に広範な目標を掲げている。 そのために、病気の撲滅のための研究、適正な医療・医薬品の普及だけでなく、基本的人間要請 (basic human needs, BHN) の達成や健康的なライフスタイルの推進にも力を入れている。また組織の肥大化と共に企業との癒着構造が問題として指摘されている。.

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強迫性障害

強迫性障害(きょうはくせいしょうがい、Obsessive–compulsive disorder, OCD)は、不合理な行為や思考を自分の意に反して反復してしまう精神障害の一種である。1994年以前は強迫神経症の診断名であった。同じ行為を繰り返してしまう「強迫行為」と、同じ思考を繰り返してしまう「強迫観念」からなる。アメリカ精神医学会発行のDSM-IV(精神障害の診断と統計マニュアル)において、不安障害に分類されている。多くはその行為に日あたり1時間以上を費やしてしまう。2013年のDSM-5では強迫症の診断名も併記される。 その原因は不明である。同様の症状を生み出す複数の疾患の基盤にある連続性に注目し、それらを強迫スペクトラム障害 (OCSD) として、その特異な関連の研究が行われている。このスペクトラムには自閉症、アスペルガー症候群、チック、トゥレット障害、抜毛症、皮膚むしり症、自傷行為、身体醜形恐怖、摂食障害、依存症などが含まれている。 人口の約2.3%は、人生のある時点で強迫性障害を経験する。年間の患者数は、全世界では約1.2%ほど。35歳以降で発症することは少なく、患者の半数は20歳以下で発症している。男性も女性も、ほぼ等しく発症する。 治療は主に心理療法によって行い、認知行動療法(CBT)や曝露反応妨害法(ERP)などが用いられ、時には薬物療法(SSRI)などが行われる。治療されなければ、その症状は数十年続きえる。.

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心的外傷後ストレス障害

心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい、Post Traumatic Stress Disorder、PTSD)は、命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害である『』2003年1月。27頁。「外傷後ストレス障害」項目A。症状がまだ1か月を経ていないものは急性ストレス障害である。 心的外傷(トラウマ)には事故・災害時の急性トラウマと、児童虐待など繰り返し加害される慢性の心的外傷がある。 治療では、精神療法においては認知行動療法やEMDR、ストレス管理法である。成人のPTSDにおける薬物療法はSSRI系の抗うつ薬であるが、中等度以上のうつ病が併存しているか、精神療法が成果を上げないあるいは利用できない場合の選択肢である。日本および国際的なガイドラインにおいて、ベンゾジアゼピン系の薬剤の効果は疑問視されている。.

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心理療法

ポジティブ心理療法 心理療法(しんりりょうほう、psychotherapy:サイコセラピー)、精神療法(せいしんりょうほう)、心理セラピーとは、物理的また化学的手段に拠らず、教示、対話、訓練を通して認知、情緒、行動などに変容をもたらすことで、精神障害や心身症の治療、心理的な問題、不適応な行動などの解決に寄与し、人々の精神的健康の回復、保持、増進を図ろうとする理論と技法の体系のことである。 臨床心理学においては心理療法、精神医学においては精神療法の呼称が通常用いられ、事実上同じものを指す。この違いは、明治期以降に西洋学問を輸入した際、psycheの語に心理と精神という2通りの訳語が当てられ、それが心理学界と医学界に別々に定着したことに由来する。 心理療法を行う者を心理療法士、心理療法家、精神療法家、心理セラピスト、サイコセラピスト(psychotherapist)などと呼び、専門家が立脚する学派により精神分析家や行動療法家などと呼び分けることもある。また、心理療法を受ける者をクライエント(client)、来談者、患者などと呼ぶ。.

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化学的不均衡

化学的不均衡(かがくてきふきんこう、chemical imbalance)は精神障害の原因に関する一つの仮説である。他の原因の仮説には、心理的、社会的な原因がある。 基本概念は、脳内の神経伝達物質の不均衡が精神状態の主な原因であり、これらの不均衡を正す薬物は精神状態を改善し得るというものである。この言葉は、脳化学の研究に由来する。1950年代、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)と三環系抗うつ薬がうつ病の治療に効果があると偶然発見されたTrujillo, Keith A. 。 統合失調症など、他の精神的な病気の研究でも発見があった。セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、モノアミン神経伝達物質の活動に精神的な病気との相関が見られた。この仮説はモノアミン仮説と呼ばれ、病態生理学や薬物治療の分野で25年以上研究の中心にあるJohan A Den Boer.

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ハミルトンうつ病評価尺度

うつ病用ハミルトン評価尺度(Hamilton Rating Scale for Depression, HRSD)とは、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale, HDRS)とも呼ばれ、うつ病の指標を提供する多重項目質問票であり、回復を評価する指標となる。略称はHAM-D。1960年に、が最初にこの尺度を公開し、改定はそれぞれ1966年、1967年、1969年、1980年である。質問票は成人に対して設計されており、厳密な気分、罪悪感、自殺念慮、不眠症、 動揺や遅延、不安、体重減少また身体症状によって、うつ病の重症度を評価するのに用いられる。 当初、臨床研究におけるうつ病評価の「ゴールドスタンダード」(英語版)とみなされたが、自殺念慮やそのしるしよりも、不眠症により重点を置いたことを1つの理由として、臨床実務のための検査手段としては批判された。自殺を考えることが増えても、抗うつ薬が睡眠を改善すれば、統計的な有効性を示す可能性がある。ハミルトンは、この評価を診断用検査に用いるべきではないと主張していた。 初版の1960年版(HRSD-17)は17の項目から評価したが、3つの他の質問は総点数には加算されず、追加の臨床上の情報を提供するものとして用いられた。質問票の各々の項目は、項目により3点か5点までの評価であり、総点数は対応する記述と比較される。評価時間は、約20分である。 採点 0~7点の評価は正常であるとみなされる。20点以上の評価は、中等度、重度、あるいは非常に重度のうつ病を示唆し、この状態は臨床試験の参加登録に通常要求されるものである。.

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トーマス・インセル

トーマス・ローランド・インセル(Thomas Roland Insel、1951年10月19日 - )は、アメリカの神経科学者ならびに精神科医であり、2002年以降アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)を率いてきた。2015年までである。NIMH所長になるのに先立って、彼はジョージア州アトランタにあるエモリー大学の行動神経科学センターの所長を務めた。 彼は、親による世話と愛着のような、複雑な社会的行動に関与する2つのペプチドホルモン、オキシトシンとバソプレッシンについての研究で最もよく知られている。.

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パニック障害

パニック障害(パニックしょうがい、Panic disorder; PD)とは、予期しないパニック発作(Panic attacks, PA)が繰り返し起こっており、1か月以上にわたりパニック発作について心配したり、行動を変えているという特徴を持つ不安障害に分類される精神障害である。 きっかけのないパニック発作は、4つ以上の特定の症状が急速に、10分以内に、頂点に達する『DSM-IV-TR』§パニック発作。典型的な悪化の仕方では最終的に広場恐怖症へと進展する。まれに幻聴や幻覚が起こることで知られるが、統合失調症ではない。 『精神障害の診断と統計マニュアル』第2版(DSM-II)における不安神経症は、1980年の第3版のDSM-IIIでは本項のパニック障害と、パニックがなく不安―心配―だけが持続している全般性不安障害へと分離された。1992年には、世界保健機関(WHO)の『国際疾病分類』(ICD-10)にも記載された。DSM-5ではパニック症の診断名も併記されている。 近年の研究によってその多くは心理的葛藤によるものではなく、脳機能障害として扱われるようになってきている。具体的には、脳内のノルアドレナリン系の核にあたる青斑核におけるGABA系システムの制御機能障害である。 治療には認知行動療法や薬物療法が推奨されている。治療には抗うつ薬が有効だが、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が多用されているという2008年の指摘がある。45歳以降の発症では、身体疾患や薬物が原因である可能性がある『DSM-IV-TR』§パニック障害-鑑別診断。カフェインを中止することが良い結果をもたらすことがある。.

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アメリカ精神医学会

アメリカ精神医学会(アメリカせいしんいがくかい、American Psychiatric Association; APA)は、アメリカ合衆国における医学者、精神科医および精神科領域をも専門とする内科医師の学会。会員(会員数:約36,000名 )はアメリカ、カナダを中心に世界各国に及ぶ。 アメリカ精神医学会は数多くの専門誌を編集、刊行しているほか、DSMとして知られる『精神障害の診断と統計マニュアル』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)を発行し、50万部以上を出版。.

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アービング・カーシュ

アービング・カーシュ(キルシュとも、Irving Kirsch、1943年3月7日 - )は、ハーバード大学医学大学院で偽薬学計画(Program in Placebo Studies)の副主任(Associate Director)、で医学の講師をしている。また、イギリスのプリマス大学の心理学教授、ならびにイギリスのハル大学とアメリカ合衆国のコネチカット大学の心理学名誉教授である。カーシュは偽薬効果、抗うつ薬、予測、および催眠に関する彼の研究で名高い。反応予測理論の提唱者であり、彼による抗うつ薬の臨床試験の解析は、イギリスの公式な診療ガイドラインに影響を与えた。.

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精神科の薬

精神科の薬(せいしんかのくすり、psychiatric medication)は、脳の様々な回路と神経系に対して化学的に作用をもたらす目的で摂取される、認可された向精神薬である。つまり精神疾患の治療に用いられる薬物である。通常、精神科の機関において処方されるこれらの薬の大半は合成化合物だが、一部は天然由来か天然にも存在する物質である。ハイリスク薬も多い。20世紀半ばから、こうした薬は多様な精神疾患の治療を開拓し、長期入院が減った結果、精神保健看護にかかる負担を低下させた。日本では逆にこれらの薬の導入以降、入院数(社会的入院)は増大してきた。 製薬会社は、商業的に成功した医薬品の類似の化学構造を持つあるいは似たような作用をもたらす医薬品を医薬品設計し、特許を取得しなおし販売してきた、Saving Normal, 2013。製薬会社は、病気喧伝を通して市場を拡大してきており、生物学的検査の不要な精神科はこの境界の操作に弱かった。金融危機に先行して、先進国における精神障害の障害給付金は増加してきており、これらの薬が回復をもたらさないことを示している。これらの薬の売れ行きとは裏腹に、障害の罹患率や死亡率は減少していない。その陰では、およそ60年にわたる似たような有効性と、開発資金の不足から精神科の薬の開発から撤退しはじめた。そしてさらなる懸念は国際的に過剰摂取による死亡が増加していることである2010年のアメリカでは、オピオイド系鎮痛薬の過剰摂取による死亡が、16651人であり、しかしこれらの精神科の薬ではベンゾジアゼピンが6497人、抗うつ薬3889人、抗てんかん・抗パーキンソン薬1717人、抗精神病薬1351人と合計していけば、数字は近くなっていく。 。 大部分の医薬品が、日本の薬事法において劇薬に指定されている。そうでなくても、睡眠薬や抗不安薬のような抑制剤は習慣性医薬品に指定されるか麻薬及び向精神薬取締法における向精神薬に指定され、添付文書にて依存性や、幻覚やせん妄が生じることもある離脱症状に関する注意が記載されている。添付文書において、内臓の機能障害を監視する旨や、自殺の危険性を増加させていないか慎重に監視する旨や、自動車運転などの機械の操作に従事させないよう注意する旨や、新生児の離脱症候群に関する旨、アルコールとの併用を避ける旨を加えたこれら薬剤との薬物相互作用に関する併用注意がずらずらと記載されている医薬品である。 しかしながら、これらの薬は安全を考慮して使用されていないことが問題となっている。 医薬品を、認可された病気以外に用いる適応外使用の処方が問題となっており、アメリカでは、そのような違法な使用を促すマーケティング活動を行った製薬会社に対して史上最高額の罰金が課されることが繰り返されている。日本においては1990年代より適正な薬剤の使用法が模索されたが、それ以前の多剤大量処方が根強く残っていることが指摘される。最悪の場合、医師の処方通りに服薬することによって、有毒域に達するような1日13種類40錠、一度に同じ種類を7種類といった投薬になり死亡する。そもそも精神科の医師が薬理学を知らないということが指摘されている。その多剤大量処方を抑制する目的で診療ガイドラインが活用されているという状況である。後に示されるように診療ガイドラインは主に危険性と有効性に関する利益についての証拠の精査である。基本的な注意事項は、医療訴訟が増加しているため、医薬品の添付文書に詳細に記載されている。 薬物乱用の危険性がある医薬品は、向精神薬に関する条約により国際的な管理下にあり、各国はそれに批准するため同様の法律を有する。覚醒剤や睡眠薬など、この条約によって乱用の危険性のために国際的な管理下にある医薬品も多い。 身体に離脱症状を生じる身体的依存を示す薬物がある。とりわけベンゾジアゼピン系やバルビツール酸系薬の抗不安睡眠薬は、アルコールにおける振戦せん妄(DT)のような致命的な発作を引き起こす場合があり、大量であるか長期間の投薬はそうした危険性を増加させる。しかしながら、処方薬に対する薬物依存症の増加の問題や、離脱症状について知らない医師が存在することが報告されている。医療専門家の薬物依存症についての知識が欠けていることが指摘されている。.

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精神障害の診断と統計マニュアル

精神障害の診断と統計マニュアル(せいしんしょうがいのしんだんととうけいマニュアル、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)は、のための共通言語と標準的な基準を提示するものであり、アメリカ精神医学会によって出版された書籍である。 DSMは当初、統計調査のために作成された。DSMの第3版より、明確な診断基準を設けることで、精神科医間で精神障害の診断が異なるという診断の信頼性の問題に対応した。 DSMは、世界保健機関による疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)とともに、国際的に広く用いられている。いずれも記述精神医学であり、「特定の状態が特定の期間に存在する」という具体的な診断基準を設けた操作的診断基準に属する。疾病の解明に加え、各々の医師等の間における結果の比較を可能とし、また、疫学的調査に有用である。「したがって、極言すれば、診断基準は元々、個々の患者での診断を正確に行うために作られたものではない」と言うことも出来るここまで。 においても、診断を正確に行うものではないという一文を重要であるとしている。。 明示的な診断基準がないため、以前の診断基準では、アメリカと欧州、また日本での東西によって診断の不一致が見られた。このような診断の信頼性の問題により、明示的な診断基準を含む操作的診断基準が1980年のDSM-IIIから採用され、操作主義の精神医学への導入であり画期的ではあった。一方で、恣意的に適用されてはならないといった弱点はいまだ存在する。依然として、どの基準が最も妥当性があるかという問題の解決法を持たず、他の診断基準体系との間で診断の不一致が存在するため、原理的に信頼性の問題から逃れられないという指摘が存在する。 DSMは、その日本語訳書において「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」と訳されている。「精神障害/疾患の分類と診断の手引」の訳は、DSMの早見表のものである。最新のDSMは第5版で、2013年5月18日に出版された。日本語訳は2014年6月30日に「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」は同10月23日に出版された。 DSMは精神医学上の診断カテゴリーと基準の標準化に貢献したとして称賛されてきたが、一方で論争と批判も生み出した。批判者には、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)も含まれ、DSMは非科学的で主観的なシステムを叙述するものだと主張している。診断カテゴリのと、外面的な症状に依存すること、カテゴリー間および正常とのあいだの人為的な境界線の使用、文化的バイアスの可能性、人としての苦悩を医療の対象としてしまうこと--これらに関する諸問題が、現在も存在しつづけているイーサン・ウォッターズ 著 『クレイジー・ライク・アメリカ 心の病はいかに輸出されたか』 阿部宏美 訳、紀伊國屋書店、2013年。 DSMの出版には厳格な著作権管理が行われ、アメリカ精神医学会は年間500万ドル以上、通算1億ドル以上をもたらしている。.

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統合失調症

統合失調症(とうごうしっちょうしょう)またはスキゾフレニア(Schizophrenie、Schizophrénie、Schizophrenia、SZ)とは、思考、知覚、感情、言語、自己の感覚、および行動における他者との歪みによって特徴付けられる症状を持つ精神障害の一つ。一般的には幻聴、幻覚、異常行動などを伴うが、罹患者によって症状のスペクトラムも多様である。エミール・クレペリン、オイゲン・ブロイラー、クルト・シュナイダーが共通して挙げている当該疾患の特徴的で頻発の症状は「思考途絶(連合障害)」と「思考化声(自生思考)」である。日本では2002年(平成14年)まで、精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)と呼ばれていた。 統合失調症は、精神病理学あるいは臨床単位上の精神障害の診断・統計カテゴリーの一つである。この疾患群は、自閉症状と連合障害(認知障害)を基礎疾患とする複数の脳代謝疾患群と考えられている。各症状が同根の神経生物学的基礎を有するか否かは、現在のところ全く不明である。発症のメカニズムや根本的な原因は解明されておらず、また、単一の疾患ではない可能性が指摘されており、症候群である可能性がある。様々な仮説が提唱されているものの、未だに決定的な定説の確立を見ない。 有病者数は世界で2,100万人(男性1,200万人、女性900万人)ほどで、患者は一般人口より死亡率が2.0 - 2.5倍ほど高い。成人の年間有病率は0.1 - 7.5%、生涯有病率は0.1 - 1.8%と世界保健機関は報告している。世界の障害調整生命年()のうち約1%を占める。日本では71万3千人の患者がいると推計されている。 精神疾患としては深刻なもの(Severe mental disorder)に位置づけられるが、治療可能な病気でありながら、患者の大部分(2人に1人)は受診につながっていない。この疾患の担当診療科は精神科であり、精神科医が診療に当たる。世界保健機関は、低中所得国を対象とした改善計画 を開始し、クリニカルパスおよび診療ガイドラインを作成し公開している。.

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病気喧伝

病気喧伝(びょうきけんでん Disease mongering)は、製薬会社や精神科医、また他の専門家あるいは消費者団体などが、市場を拡大するために、販売したり治療法を伝える目的で、病気の診断に用いる境界を拡大したり、そのような啓発を市民に宣伝することに対する、蔑称である。例として、男性型脱毛症(AGA)や社交不安障害(SAD)が挙げられる。典型的には「医師に相談を」で締めくくられる広告である。.

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認知行動療法

認知行動療法(にんちこうどうりょうほう、英:Cognitive behavioral therapy:CBT)は、従来の行動に焦点をあてた行動療法から、アルバート・エリスの論理療法や、アーロン・ベックの認知療法の登場によって、思考など認知に焦点をあてることで発展してきた心理療法の技法の総称である。「認知行動療法」の用語は、アメリカ以外の国でしばしばアーロン・ベックの認知療法(Cognitive therapy)を指しているが、本項では本来の意味である総称としての認知行動療法の説明に力点を置く。哲学的には、古代ローマのストア派や仏教の影響を受けてはいるが、1950年〜60年代の論理療法や認知療法に起源をもつ。共に、不適切な反応の原因である、思考の論理上の誤りに修正を加えることを目的としており、認知、感情、行動は密接に関係しているとされる。従来の精神分析における無意識とは異なり、観察可能な意識的な思考に焦点があり、ゆえに測定可能であり、多くの調査研究が実施されてきた。 認知行動療法は、うつ病、パニック障害、強迫性障害、不眠症、薬物依存症、摂食障害、統合失調症などにおいて、科学的根拠に基づいて有効性が報告されている。また自殺企図を半分程度に減少させる。専門家によって実施されるほかに、こうした技法はマニュアル化できるため、セルフヘルプ・マニュアルのように自身で行うこともできる。コンピューターCBTと呼ばれるパソコンプログラムとの対話も存在する。コンピューターCBTは、施術者の不足する地方で有用である。 また、行動療法の側面の強いのは強迫性障害に対する曝露反応妨害法や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する持続エクスポージャー療法である。後者のものは「トラウマに焦点化した認知行動療法」に含まれる。 第三世代の認知行動療法には、マインドフルネス認知療法、アクセプタンス&コミットメント・セラピーなどがあり、うつ病や不安だけでなく、疼痛にも効果が見られている。境界性パーソナリティ障害に特化された技法は弁証法的行動療法であり、これは瞑想の技法と認知行動療法を組み合わせたような構成である。.

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躁病

躁病(そうびょう、Mania)は、気分が異常に高揚し、夜も眠らずに、支離滅裂な言動を発したり、危険を顧みなくなるような状態になる期間(病相)。19世紀の診断分類の登場時から躁うつ病の、あるいは現行では双極I型障害の、躁病の期間である。以上では、躁病とうつ病が循環すると考えらるが、循環しない単極性躁病の概念も存在する。躁病の用語は双極I型障害の場合に用い、より軽い双極II型障害では軽躁病を用いる。 躁病 Mania については、紀元前にヒポクラテスが人々の気分について悲しみの性質のあるメランコリー melancholia と共に言及しており、ローマの医師Caelius Aurelianusによれば7つの語源があるとし、プラトンは身体、神あるいは閃きから生じる精神的緊張を伴うものとした。その後(1世紀)が、この2つの状態が対応したものだとした。 19世紀まで、躁 Mania と うつ melancholia はまったく異なる障害だとみなされたが、1851年にがこの2つの間を循環するという初の概念を提示し、19世紀末までには広く認識されていった。 ファルレと、初期の精神病の分類を行ったから、着想を得てエミール・クレペリンは分類体系を手掛け、躁と鬱を一体化し、また精神病状態を、早発性痴呆と躁鬱狂気 manic-depressive insanity に組み入れ、現在の双極性障害よりも広い概念といえる。当時の、躁病の用語では幻覚なども含まれ現代的な意味とは必ずしも一致するものではない。 クレペリンの偉業は国際的に評価され『精神病学』(1899年)が著され、日本では呉秀三の門下生である石田昇らが、1906年クレペリンに基づく精神病学を紹介し、1908年には三宅鑛一らが『精神病診断及治療学』を著し、躁鬱狂を紹介した。呉は「狂」の字を除き躁鬱病とした。 これはDSM-IIでは、まだ躁鬱病 manic-depressive illness であったが、1980年の『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版(DSM-III)の登場によって、双極性障害 Bipolar Disorder となった。単極性躁病の概念は残されている。双極性障害においては、躁病エピソードは双極I型障害における名称となる。双極II型障害では軽躁病エピソードのみとなる。 バルプロ酸ナトリウムのように、医薬品の添付文書では躁病の言葉が使われている場合がある。 躁病の状態では、気分が高揚しエネルギーに満ち、素晴らしいもので、言葉は絶えず出てくる、睡眠や食事も必要ないように思え、衝動的な無茶をやらかす。怪我、経済的リスクなどを顧みれなくなっている場合、安全の確保のために入院も必要となる。大半の双極I型障害では、躁病エピソードに続くうつ病エピソードが待っている。35歳以上での躁病エピソードの発症はまれで、抗うつ薬、身体疾患、薬物の影響が考えられる。.

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自殺

自殺(じさつ)とは、自分で自分を殺すこと。自害、自死、自決、自尽、自裁などとも言い、状況や方法で表現を使い分ける場合がある。 世界保健機関(WHO)によると、世界で2014年時点で毎年約80万人が自殺している。世界の自殺の75%は低中所得国で起こり、自殺は各国において死因の10位以内に入り、特に15〜29歳の年代では2位になっている(2012年)と報告している。 自殺は様々な事情が複雑に絡み合って生じる場合が多い。高所得国における主な理由は精神疾患(特にうつ病とアルコール乱用)であり、ほか金銭的問題、人間関係の破綻、慢性痛や病気などがある。WHOは「自殺は、そのほとんどが防ぐことのできる社会的な問題。適切な防止策を打てば自殺が防止できる」としている。そのうえでWHOは、一人一人のこの上なく尊い生命を守るため、本格的な予防戦略である世界自殺予防戦略(SUPRE)を実施している。このようなWHOに準ずる形で、各国で行政・公的機関・NPO・有志の方々による多種多様な自殺予防活動が行われている。日本では『支援情報検索サイト』『いきる・ささえる相談窓口』などが設けられていて「もしあなたが悩みを抱えていたら、ぜひ相談してください」と呼びかけている。日本では景気の回復に伴い、1978年から統計が始まった10万人あたりの自殺率が過去最低を下回った。.

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英国国立医療技術評価機構

イギリスの国立医療技術評価機構(こくりついりょうぎじゅつひょうかきこう、)は、イギリス保健省配下の執行型非政府部門公共機関の一つ。イングランドNHSとウェールズNHSに属する。 NICEの発行するガイドラインは4つの領域に及び、「国民保健サービス(NHS)が用いる医療技術」(新薬や普及薬の使用、治療法、手順)、「臨床適用」(疾患および徴候別ごとの手技、治療法の適応)、「健康づくりと防疫の公的機関向けガイドライン」がある。ガイドラインは様々なケースを想定して効果性と費用対効果が評価されている。健康アウトカムの尺度には主に質調整生存年(QALY)が用いられる。これらガイドラインの対象は、公式には英国イングランドに限定されるが、しかしウェールズ、スコットランド、北アイルランドでも活用されている。 かつてイングランドやウェールズの医療は「郵便番号を使った宝くじ(Postcode lottery)」と酷評されていた。それは患者が受けられる治療の品質が、在住地域のNHSプライマリヘルスケアによりけりだった為である。その払拭のため、ブレア政権にてNICEが設立され、NICEは臨床ガイドライン開発のためのロールモデルとして国際的に高い評価を受けている。 NICEの卓越点の一つは、ある医療技術について費用対効果のラインを明示的に定義したことである。またNICEは、健康資産管理のパイオニアとして重要な役割を果たしており、 2008年4月に NICE International を設立し、外国政府と医療制度について連携を深めている。.

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離脱

離脱(りだつ、)とは、医薬品やのように依存を形成する薬物を減量あるいは断薬することによって一連の症状を生じることを意味する。また、その症状(離脱症状)のことを単に「離脱」と表現することもある。以前は退薬の訳語も併記された。アメリカでは1960年代後半以前に禁断の語が用いられたが、薬物を完全に断った場合のみならず、服用を続けながら減量した状態でも症状が現れるため、現在ではこの語は避けられている。減量とは逆に、薬物を過剰摂取したことによって生じる状態は薬物中毒とよばれる。 薬物の危険性と法的規制とが合致していないことが指摘されている。離脱症状には、身体的依存と精神的依存があり、身体症状をはっきりと示すものと示さないものとがある。離脱によって発作を起こし、致命的となる可能性がある物質は、アルコールと、ベンゾジアゼピン系・バルビツール酸系の鎮静催眠薬である。入院を要するものには、これらに加えモルヒネのようなオピオイドがある。つまり、これらの薬物に対しては、離脱時に身体症状を示す身体的依存が形成されている。とりわけアルコールと、ベンゾジアゼピン系薬、バルビツール酸系は振戦せん妄(DT)を引き起こし致命的となる可能性があり、また長期にわって離脱症状に苦しむ遷延性離脱症候群となる可能性がある。この他に身体的依存を示す薬物には、抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬がある。 アルコールとバルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系の鎮静/催眠薬では、共にGABAA受容体に作用し、離脱症状や副作用も互いに類似している。これらの薬物には、互いに交叉耐性があり、相互に離脱症状を抑えることができ依存対象が移行する可能性があるため、とりわけ、このどれかに依存症がある場合には、それ以外のものが禁忌となる。例外的に、アルコールの離脱を管理する目的でベンゾジアゼピン系薬が用いられる。 離脱が致命的でなく比較的安全なものは次の通りである。ニコチンからの離脱は、比較的安全とみなされ、外来で管理可能である。コカインのような精神刺激薬や、大麻からの離脱も同様に入院を要さない。LSDのような幻覚剤には離脱症状はなく、大麻や幻覚剤のように不快な離脱症状を避けるために薬物を摂取するという行動が認められない薬物がある。 このように見れば、依存性の最も強い部類のニコチンからの離脱は、比較的安全とみなされ、薬物に耐性を生じる幻覚剤には離脱症状はないというように、依存性や耐性は離脱症状の強さの予測因子ではない。また、離脱症状と依存症には因果関係はないというのは、離脱症状が軽度であれば離脱は困難ではなく、断薬できるということは依存症の基準を満たさないためである。.

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電気けいれん療法

電気けいれん療法(でんきけいれんりょうほう、電気痙攣療法)は、頭部(両前頭葉上の皮膚に電極をあてる)に通電することで人為的にけいれん発作を誘発する治療法である。ECT(electroconvulsive therapy)、電撃療法(electroshock theraphy: EST)、電気ショック療法(ES)とも言う。 ECTには大きく分けて、四肢や体幹の筋にけいれんを実際に起こすもの(有けいれんECT)と、筋弛緩剤を用いて筋のけいれんを起こさせないもの(修正型ECT、無けいれんECT)に分類され、用いる電流も「サイン波」型と「パルス波」型に分類できる。 1938年、イタリア・ローマのウーゴ・チェルレッティとによって創始された、元は精神分裂病(現在の統合失調症)に対する特殊療法として考案されたものである。日本では1939年に九州大学の安河内五郎と向笠広次によって創始された。その後、他の疾患にも広く応用されて急速に普及し、精神科領域における特殊療法中、最も一般化した治療法である。作用機序は不明であるフランク・ゴンザレス・クルッシ『医学が歩んだ道』堤理華・訳、武田ランダムハウスジャパン、2008年。ISBN 9784270003657。p.275.

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抗精神病薬

抗精神病薬(こうせいしんびょうやく、Antipsychotics)は、広義の向精神薬の一種で、主に統合失調症や躁状態の治療に承認されている精神科の薬である。過去には、神経遮断薬(Neuroleptics)、あるいはメジャートランキライザー(Major tranquilizers)とも呼ばれ、1950年代には単にトランキライザーと呼ばれた。薬事法における劇薬に指定されるものが多い。抗精神病薬は、それ以外にも幅広い精神障害に使用される。 抗精神病薬は大きく2分類することができ、古い定型抗精神病薬と、新世代型の非定型抗精神病薬がある。非定型抗精神病薬は、双極性障害のうつ状態やうつ病にも適応がある薬がある。非定型抗精神病薬は、従来の定型抗精神病薬と比較してドーパミンD2受容体拮抗作用に加えてセロトニン5HT2A受容体拮抗作用を有したり、「緩い」ドーパミンD2受容体拮抗作用を有するなどの特徴をもった薬剤である。非定型抗精神病薬は、錐体外路症状、口が渇く、便秘といった副作用が少なく、統合失調症の陰性症状にも効果が認められる場合があるとされる。しかし#定型対非定型節に見られるように、大規模な試験による分析によれば、非定型抗精神病薬が定型抗精神病薬よりも優れているという根拠は乏しい。 副作用として、口渇、便秘、無意識的に身体が動く錐体外路症状や、肥満といった代謝の異常、母乳が出るといった高プロラクチン血症などがある。代謝の異常は、特に非定型抗精神病薬に特徴的である。抗精神病薬を服用している患者の代謝のチェックが日常的に適切に行われていないことが多く、約90%の患者が1つ以上の代謝性の危険因子を持ち、約30%がメタボリックシンドロームである。さらに抗精神病薬の使用は高い無職率の原因となっている。また服薬を中断する場合#離脱症状が生じる可能性がある。#有効性節以下で示されるが、効果がなかったり副作用のため服薬の中止が多い薬剤である。 抗精神病薬の過剰処方が問題となっている。投与量の増大に伴う治療効果は頭打ちになるが、副作用発現率は上昇していくため、世界保健機関および英米の診療ガイドラインでは単剤療法を推奨している。日本でも2010年に、抗精神病薬の種類が2種類以下である場合に診療報酬が有利になる改定が行われた。厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチームが「統合失調症に対する抗精神病薬多剤処方の是正に関するガイドライン」の策定を計画しており、2013年10月にSCAP法という減薬ガイドラインが公開された。抗精神病薬の大量処方からの減量は、過感受性精神病という離脱症状による精神症状の悪化を引き起こす可能性があり注意が必要である。 抗精神病薬の使用は脳の容積を減少させるかについてはさらなる研究を要する。抗精神病薬の使用は若年認知症発症の危険因子である。.

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抑うつ

抑うつ(抑鬱、抑欝、よくうつ、depression)とは、気分が落ち込んで活動を嫌っている状況であり、そのため思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のこと。抑うつというだけでは原因不明の症状である。うつ状態とは、状態像であり、抑うつの症状が精神状態の中心となっていることを意味する。 死別や経済破綻、災害や重篤な病気などへの反応は、理解可能な正常な悲観反応である。抑うつの原因が全て精神障害であるとは限らない。認知症の初期症状や、甲状腺機能低下症あるいは亢進症など他の医学的疾患も抑うつの原因となりえる。抑うつは人生の出来事の一つに対する通常の反応としても起こり、ごく一部の医学的な症候についてが医学的治療や薬物療法の対象となる。うつ病として扱われるのは、ほぼ毎日、2、3週間は抑うつであり、さらに著しい機能の障害を引き起こすほど重症である場合である。 また、うつ病という1つの診断がついたので他は考慮しないというような短絡的な診断は行われがちである。他の精神障害も原因となりえ、誤診も報告されている。安易な投薬も行われがちであるが、WHOならびに日英のうつ病の診療ガイドラインは、軽症のうつ病に抗うつ薬の使用を推奨していない。.

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気分障害

気分障害(きぶんしょうがい、mood disorder)は、気分に関する障害を持つ精神疾患の一群である。世界保健機関の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)においては、カッコして感情障害(かんじょうしょうがい)と記述される。 ある程度の期間にわたって持続する気分(感情)の変調により、苦痛を感じたり、日常生活に著しい支障をきたしたりする状態のことをいう。うつ病と双極性障害など広範囲な精神的疾病がこの名称にあてはまる。 精神疾患の主要な分類法であるICD-10とDSM-IVの両者において用いられている語であり、この2者間で細かい分類の仕方は異なるものの含まれる概念はほぼ同一である。.

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摂食障害

摂食障害(せっしょくしょうがい、Eating disorder; ED)は、食行動の重篤な障害を呈する精神障害の一種である。近年では嚥下障害等の機能的な摂食障害との区別をつけるため、中枢性摂食異常症とも呼ばれる。厚生労働省の難治性疾患(難病)に指定されている。患者の極端な食事制限や、過度な量の食事の摂取などを伴い、それによって患者の健康に様々な問題が引き起こされる。主に拒食症と過食症の総称である。人間関係の問題などの心理的なストレスが原因となる場合が多い。 摂食障害は大きく拒食症、過食症に分類される。拒食と過食は相反するもののように捉えがちだが、拒食症から過食症に移行するケースが約60 - 70%みられたり、「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」などが共通し、病気のステージが異なるだけの同一疾患と考えられている。よって拒食症、過食症を区別する指標は、基本的には正常最低限体重を維持しているかどうかのみである。アメリカではBMIによる標準体重の85%以下が拒食症に分類されているが、日本では80%以下とされている。 一定時間に渡り、食べ物を口に入れ咀嚼し、飲み込まずにビニール袋などに吐き捨てるという行動を繰り返すチューイング(噛み吐き・噛み砕き)と呼ばれる行為も存在する。一見、拒食とも過食とも取られる行為で、特定不能の摂食障害の一部にまとめられる。 また、リストカットなどの自傷行為を行う患者では高確率で拒食・過食などの摂食障害の合併がみられ、摂食障害患者の59 - 76%に自傷行為、アルコールや薬物の乱用、重篤な爪噛み、抜け毛といった行為がみられ、摂食障害、自傷行為、薬物依存は密接な関係があるとされる。これらの行為は、衝動性の高いパーソナリティや、自罰・禁欲嗜好のパーソナリティなど、特定のパーソナリティ傾向にのみ限局しない所見である。なお、摂食障害の患者は強迫的な性格傾向が強いとされる。拒食症・過食症ともに、嘔吐を伴う患者は例外なく強迫性性格である。ローゼンバーグは摂食障害を「現代的な強迫神経症」と称している。 また、精神分析医のヒルデ・ブルックは摂食障害を「これは食欲の病気ではありません。人からどう見られるのかということに関連する自尊心の病理です」と指摘している。摂食障害患者は根源的否定感を抱えており、食行動の異常の背景には茫漠たる自己不信が横たわっていると理解される。その不安を振り払うために強迫的に完全を目指すのである。摂食障害は境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害との合併、あるいはそれらパーソナリティ障害の部分症状として顕在化しているケースも多い。 日本では伝統的に1960年代から摂食障害を心療内科で治療してきたが、現在では主に精神科と心療内科で治療が行われている。経管栄養、中心静脈栄養が必要な場合(BMI15.5以下)では精神療法が不可能なため、初期は入院治療が必要である。九州大学病院心療内科では「軽症の摂食障害」、「中核的な摂食障害」、「境界性パーソナリティ障害的な摂食障害」の3つに分類し、境界性パーソナリティ障害的な摂食障害患者に関しては精神科で取り扱っている。.

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性機能障害

性機能障害(せいきのうしょうがい、英:Sexual Dysfunction:SD)は、主に男性において、生殖や性行為に支障を来す症状のこと。大きくは勃起不全と射精障害に分けられる。また、広義には男性不妊症の一種でもあるが、不妊症の定義は「正常な性交渉を継続しているにもかかわらず妊娠に至らないもの」であるため、勃起不全など、正常な性交渉を継続していないかし得ない一部の性機能障害は男性不妊症ではない。 性機能不全の名称は、世界保健機関による『ICD-10 第5章:精神と行動の障害』やアメリカ精神医学会による『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)における、様々な性機能不全を含めた一群のための診断分類名である。 本項の現行版では特記無き場合男性の性機能障害について述べる。.

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上記のリストは以下の質問に答えます

抗うつ薬と精神障害の間の比較

精神障害が267を有している抗うつ薬は、165の関係を有しています。 彼らは一般的な31で持っているように、ジャカード指数は7.18%です = 31 / (165 + 267)。

参考文献

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