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BINAP

索引 BINAP

BINAPの球棒モデル。 BINAP(バイナップ、IUPAC名: 2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル; (2,2'-bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl)は不斉合成において広く利用されている重要な不斉配位子である。BINAPはその構造中に不斉中心原子を持たないが、ナフチル基が2個単結合で繋がれた1,1'-ビナフチル構造に由来した軸不斉を持つ。2個のナフチル基のπ平面は剛直なので、ジフェニルホスフィノ基とペリ位の水素の立体障害が効いてナフチル基間の単結合の回転が制限されるためである。BINAPでは2個のナフチル基のπ平面が成す角度は約90°に固定され、2種のエナンチオマー、アトロプ異性体が存在する。 有機合成においてBINAPのキラルな構造は高いエナンチオ選択的な反応を可能にする。ルテニウムやロジウム、またパラジウムのような遷移金属を中心とするBINAP錯体によるエナンチオ選択的な触媒反応が報告されている。例えばRh-BINAPやRu-BINAPによって触媒された不斉水素化(野依不斉水素化反応)は野依良治らによって開発され、彼はこの功績により2001年のノーベル化学賞を受賞した。最も重要でよく知られている野依らの研究はRh-BINAPを用いた (−)-メントールの不斉合成である。(−)-メントールは広く使われている香料・医薬品であるが、その立体選択的な化学合成が高砂香料工業により工業化された。 BINAPはBINOL(1,1'-ビ(2-ナフトール))からトリフルオロメタンスルホン酸エステルを経て合成される。(R),(S)-エナンチオマー共に市販品が入手可能である。.

18 関係: 不斉合成ナプロキセンノーベル化学賞メントールルテニウムロジウムトリフルオロメタンスルホン酸パラジウムキラリティーキラル中心遷移元素触媒高砂香料工業軸不斉野依不斉水素化反応野依良治IUPAC命名法水素化

不斉合成

不斉合成(ふせいごうせい)とは化学的な処理過程のひとつ。光学活性(キラル)な物質を作り分けることである。 光学活性な物質とは、分子構造が非対称なために鏡写しの構造をとった分子(鏡像体、エナンチオマー)が元の分子とは異なる物質のことである。これらは、化学反応性や物性がほぼ等しいため分離が困難であるが、生体への作用はまったく異なっている場合がある。そのため、鏡写しの分子のうち有用な物質を選択的に合成することが医薬品、農薬の開発に大きな貢献をした。 光学活性な化合物の合成手法としては、ジアステレオ選択的な方法とエナンチオ選択的な合成方法がある。ジアステレオ選択的な方法とは、すでに不斉の要素を持つ化合物に対して反応を行うことで、一方のジアステレオマーを優先的に合成する方法である。 エナンチオ選択的な方法とは、不斉の要素を持たない化合物に対して反応を行うことで、一方のエナンチオマーを優先的に合成する方法である。野依良治は不斉な配位子を持つ金属錯体を触媒として、不斉要素を持たない化合物のエナンチオ選択的還元反応において有用な方法を開発し、2001年のノーベル化学賞を受賞している。 ちなみに、光学活性な化合物を得る不斉合成以外の方法としては、ラセミ体に対して光学活性な基質を反応させて、ジアステレオマーにして分離することで光学活性な化合物を単離する方法(ジアステレオマー塩法)や、ラセミ体のうち一方と選択的に反応させることで光学的に純粋な原料と生成物とを得る方法(速度論的分割)などがある。 エナンチオ選択的不斉合成反応では基質の側鎖を少し変化させただけで、選択性(異性体の片方が過剰にできる割合)が劇的に変化する。モデル化合物で選択性の高い反応が見つかっても、有用な化合物の生産には全く役立たず、不斉触媒を使うよりもエナンチオマーの等量混合物であるラセミ体を合成して、それを分離するほうが手間がかからず、安価になる場合もある。.

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ナプロキセン

ナプロキセン (naproxen) は、芳香族カルボン酸に分類される有機化合物で、鎮痛、解熱、抗炎症薬として用いられる非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の一種である。光学活性化合物であり、薬物として有効なのは (S)-(+)体 のエナンチオマーである。.

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ノーベル化学賞

ノーベル化学賞(ノーベルかがくしょう、Nobelpriset i kemi)はノーベル賞の一部門。アルフレッド・ノーベルの遺言によって創設された6部門のうちの一つ。化学の分野において重要な発見あるいは改良を成し遂げた人物に授与される。 ノーベル化学賞のメダルは、表面にはアルフレッド・ノーベルの横顔(各賞共通)、裏面には宝箱を持ち雲の中から現れた自然の女神のベールを科学の神が持ち上げて素顔を眺めている姿(物理学賞と共通)がデザインされている。.

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メントール

メントール (Menthol) は環式モノテルペン、アルコールの一種の有機化合物。IUPAC命名法の系統名は 2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール (2-isopropyl-5-methylcyclohexanol)、母骨格がp-メンタンというIUPAC許容慣用名を持つため、そこから p-メンタン-3-オール (menthan-3-ol) という名称も誘導される。和名では薄荷脳という。メンスォール(メンソール、Menthol)とも呼ばれる。 ハッカ臭を持つ、揮発性の無色結晶である。メントールにはいくつかのジアステレオマー、鏡像異性体がある。そのうちの l-メントールは歯磨きやチューインガムなどの菓子類、口中清涼剤などに多用されるほか、局所血管拡張作用、皮膚刺激作用等を有するため、医薬品にも用いられる。 薄荷(ニホンハッカ)、ミント(ペパーミント)に多く含まれる。.

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ルテニウム

ルテニウム(ruthenium)は原子番号44の元素。元素記号は Ru。漢字では釕(かねへんに了)と表記される。白金族元素の1つ。貴金属にも分類される。銀白色の硬くて脆い金属(遷移金属)で、比重は12.43、融点は2500 、沸点は4100 (融点、沸点とも異なる実験値あり)。常温、常圧で安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP)。酸化力のある酸に溶ける。王水とはゆっくり反応。希少金属である。.

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ロジウム

ウム(rhodium)は原子番号45の元素。元素記号は Rh。白金族元素の1つ。貴金属にも分類される。銀白色の金属(遷移金属)で、比重は12.5 (12.4)、融点は1966 、沸点は3960 (融点、沸点とも異なる実験値あり)。常温、常圧で安定な結晶構造は面心立方構造。加熱下において酸化力のある酸に溶ける。王水には難溶。高温でハロゲン元素と反応。高温で酸化されるが、更に高温になると再び単体へ分離する。酸化数は-1価から+6価までをとり得る。レアメタルである。.

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トリフルオロメタンスルホン酸

トリフルオロメタンスルホン酸(トリフルオロメタンスルホンさん、trifluoromethanesulfonic acid)は、有機化合物の一種で、示性式を CF3SO3H と表されるスルホン酸である。フッ素の高い電気陰性度により、硫酸の約 1000 倍という非常に強い酸性を示す(酸度関数による比較)。英語では、triflic acid とも呼ばれ、有機合成において、酸触媒として用いられる。また、構造式ではトリフルオロメチルスルホニル基 (CF3SO2&minus) を Tf と略することから、トリフルオロメタンスルホン酸を TfOH と略することもある。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。.

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パラジウム

パラジウム(palladium)は原子番号46の元素。元素記号は Pd。白金族元素の1つ。貴金属にも分類される。 常温、常圧で安定な結晶構造は、面心立方構造 (FCC)。銀白色の金属(遷移金属)で、比重は12.0、融点は1555 (実験条件等により若干値が異なることあり)。酸化力のある酸(硝酸など)には溶ける。希少金属の1つ。.

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キラリティー

ラリティー (chirality) は、3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質。掌性。 キラリティがあることをキラル (chiral) という。英語風の発音でカイラリティ、カイラルともいう。これらの語はギリシャ語で「手」を意味するχειρ (cheir) が語源である。手はキラルなものの一例で、右手とその鏡像である左手は互いに重ね合わせられない(右手の掌と左手の甲を向かい合わせたときに重なり合わないということである)。一方でキラリティがない、つまり鏡像と重ね合わせられることをアキラル (achiral) という。キラルな図形とその鏡像を互いに(たとえば右手に対する左手を)enantiomorphsと言い、ギリシャ語で「反対」を意味するεναντιος (enantios) が語源である。 対掌性(たいしょうせい)ともいう。対掌とは右と左の手のひらの対を意味している。対称性と紛らわしいが、キラリティとは鏡像対称性の欠如であり、むしろ逆の意味になる。 幾何学的な図形のほか、分子、結晶、スピン構造などについて使われる。以下では分子のキラリティを中心に述べる。.

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キラル中心

ラル中心(キラルちゅうしん)とは、分子のキラリティーを生じさせる元となる原子をいう。不斉原子または不斉中心ともいう。 最も多く見られるキラル中心は、異なる 4 つの原子または置換基に共有結合している炭素(不斉炭素原子)である。かつて当用漢字時代には不整という字が当てられたことがあり、不整という表記が残っている辞書もある。常用漢字には斉の字が追加されたので、再び不斉が使われることになった。.

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遷移元素

遷移元素(せんいげんそ、transition element)とは、周期表で第3族元素から第11族元素の間に存在する元素の総称である IUPAC.

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触媒

触媒(しょくばい)とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。また、反応によって消費されても、反応の完了と同時に再生し、変化していないように見えるものも触媒とされる。「触媒」という用語は明治の化学者が英語の catalyser、ドイツ語の Katalysator を翻訳したものである。今日では、触媒は英語では catalyst、触媒の作用を catalysis という。 今日では反応の種類に応じて多くの種類の触媒が開発されている。特に化学工業や有機化学では欠くことができない。また、生物にとっては酵素が重要な触媒としてはたらいている。.

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高砂香料工業

香料工業株式会社(たかさごこうりょうこうぎょう、Takasago International Corporation)は、日本最大の香料メーカー。本社所在地は東京都大田区蒲田5-37-1アロマスクエア17F。1920年2月に創業。資本金92億円。東京証券取引所一部上場企業(化学に分類)。売上高国内首位、2013年の世界市場におけるシェアは5.2%で5番目。 1920年に甲斐荘楠香ら12名の香料技術者により創設された高砂香料を母体として,1951年に現社名として設立。 現在では世界28の国と地域にてフレーバーを中核に、フレグランス・アロマイングリディエンツ・ファインケミカルの4つの事業について開発・製造・販売を展開している。 支店は大阪・名古屋・福岡、出張所・連絡所は札幌・仙台・静岡・広島・徳島、総合研究所が平塚(神奈川県)、工場が平塚・磐田(静岡県)・鹿島(茨城県) にある。 2001年のノーベル化学賞を受賞した野依良治(名古屋大学教授)は同社の取締役のひとり。 現在、本社が置かれているアロマスクエアは同社東京工場跡地である。.

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軸不斉

軸不斉(じくふせい、axial chirality)は、分子が不斉中心(有機化合物のキラリティーの最も一般的な形)を持たないが、キラリティー軸(置換基の組がその鏡像と重ね合わせることができない空間的配置に固定されている軸)を有するキラリティーの特別な形式の一つである。軸不斉は、アリール-アリール結合の回転が制限されているビアリール化合物において最もよく見られる(例: ビフェニル化合物、1,1'-ビ-2-ナフトールといったビナフチル化合物、ジヒドロアントラセノン化合物など)。軸不斉化合物の鏡像異性体は通常、RaおよびSaと表される。この命名は正四面体型不斉中心で使われるものと同じカーン・インゴルド・プレローグ順位則に基づき、さらに「不斉軸に沿って見た場合に手前側にある置換基は奥側にある置換基よりも順位が高い」という規則が加わる。不斉軸を真横から見た時の、2つの「近い」置換基と2つの「遠い」置換基の順位が決められる。 構造の軸がらせん、プロペラあるいはスクリュー型の配置を有しているため、この性質はヘリシティー(helicity、らせん構造)とも呼ばれる。P(プラス)あるいはΔは右巻きらせんを示し、M(マイナス)あるいはΛは左巻きらせんを示す。P/MあるいはΔ/Λという用語は、ヘキサヘリセンといった実際にらせんに似た分子に対して特に使用される。また、「前」と「後」のカーン・インゴルド・プレローグ順位則のらせん方向を考えることによって軸不斉を有するその他の構造に対しても適用することができる。.

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野依不斉水素化反応

野依不斉水素化反応(のよりふせいすいそかはんのう、Noyori asymmetric hydrogenation)は、β-ケトエステルを不斉還元する化学反応である。 野依不斉水素化反応 BINAPの双方のエナンチオマーが市販されており、また、BINAPのエナンチオマーは(±)-1,1'-ビ-2-ナフトールから合成することができる。 いくつかのレビューが刊行されている。 野依良治は1987年にこの触媒還元系を発見し、2001年にウィリアム・ノールズ、バリー・シャープレスと共にノーベル化学賞を受賞した。.

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野依良治

野依 良治(のより りょうじ、1938年9月3日 - )は、日本の化学者(有機化学)。学位は工学博士(京都大学・1967年)。2001年に「キラル触媒による不斉反応の研究」が評価されノーベル化学賞を受賞した。 国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター長、名古屋大学特別教授、名城大学客員教授、高砂香料工業株式会社取締役。名古屋大学大学院理学研究科研究科長、理学部長、物質科学国際研究センター長、独立行政法人理化学研究所理事長などを歴任した。日本学士院会員。.

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IUPAC命名法

IUPAC命名法(アイユーパックめいめいほう)は、IUPACが定める、化合物の体系名の命名法の全体を指す言葉。IUPAC命名法は、化学界における国際的な標準としての地位を確立している。 有機・無機化合物の命名法についての勧告は2冊の出版物としてまとめられ、英語ではそれぞれ「ブルー・ブック」「レッド・ブック」の愛称を持つ。 広義には、その他各種の定義集の一部として含まれる化合物の命名法を含む。IUPAPとの共同編集で、記号および物理量を扱った「グリーン・ブック」、その他化学における多数の専門用語を扱った「ゴールド・ブック」のほか、生化学(ホワイト・ブック;IUBMBとの共同編集)、分析化学(オレンジ・ブック)、高分子化学(パープル・ブック)、臨床化学(シルバー・ブック)があり、各分野の用語法の拠り所となっている。 これらの「カラー・ブック」について、IUPACはPure and Applied Chemistry誌上で、特定の状況に対応するための補足勧告を継続的に発表している。.

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水素化

水素化(すいそか、hydrogenation)とは、水素ガスを還元剤として化合物に対して水素原子を付加する還元反応のことである。水素添加反応(すいそてんかはんのう)、略して水添(すいてん)と呼ばれることもある。この反応は触媒を必要とするため、接触水素化(せっしょくすいそか、catalytic hydrogenation)とも呼ばれる。文脈によっては水素化反応を使用した実験手法・技術のことを指す場合もある。 より広義には還元剤が何であるかを問わず、化合物に水素原子を付加する還元反応全般のことを指す場合もある。.

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2,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1-ビナフチル

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